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ウィンブルドンで初めてベスト8進出を果たした先駆者を支えた基金

「全豪オープン」でのジャバー

世界ランキング24位のオンス・ジャバー(チュニジア)は、先駆的で人を鼓舞するようなテニスによって、ロジャー・フェデラー(スイス)からお祝いの言葉をもらい、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)から称えられ、テニス界の各方面から賞賛を受けている。

「ウィンブルドン」2週目初日の「マニック・マンデー(熱狂の月曜日)」に前全仏女王イガ・シフィオンテク(ポーランド)を堂々たるプレーで破ったジャバーは、1974年以降で初めて同大会の準々決勝に進出したアラブ系選手となった。「ウィンブルドン」の公式オンラインメディアが伝えている。


2020年の「全豪オープン」に並ぶ勝ち上がりを見せ、グランドスラムの準々決勝に2度進出したジャバーは、「今回は違うわ」と認める。「今は、グランドスラムに出場するとほぼ毎回、2週目まで勝ち残っている。安定感が増してきたのね。私が2週目に残ることを、みんなある意味予期していたんじゃないかしら。私の目標は準々決勝の壁を破って、準決勝に、そしてもちろん決勝に進むこと」


ジャバーがこうした言葉で語っているのは、彼女自身の驚異的な進歩の表れだ。彼女は2週間前の「WTA250 バーミンガム」で、アラブ系女性として初めてWTAのタイトルを獲得した。


現在26歳のジャバーは、チュニジアの小さな町の出身だ。チュニジアでは、テニスで国際的な成功を収めるための道がしっかりと整っているわけではない。ジャバーのテニスの成長は長年じわじわと燃えるような形で進んできたが、その途上では障害を乗り越え、画期的な記録を次々に残してきた。今回、四大大会で2度目のベスト8進出を果たし、さらに過去2回の「全仏オープン」でも2週目に残るという実績を手にし、その火は燃え盛る大きな炎へと姿を変えた。


2017年、まだ世界ランキング100位圏外にいた頃、ジャバーは他の11人の選手と共に、グランドスラム開発基金(GSDF)による5万ドル(約550万円)のグランドスラム選手助成金の対象者に選ばれた。彼女の才能と努力は一目瞭然であり、金銭的な後押しによってプロの世界で真に頭角を現すことができると期待されたのだ。4年前のその時点で、ジャバーはグランドスラムには2度しか出場した経験がなかった。2014年の「全米オープン」と2015年の「全豪オープン」であるが、いずれも1回戦で敗退している。


助成金によって、旅費やコーチ料、そしてプレー向上のための費用に対する心配から解放され、ジャバーはまもなく2017年の「全仏オープン」で3回戦に進出するというキャリア最高の勝ち上がりを見せた。それ以降、彼女の上昇軌道は現在も続いている。2017年に受けた支援についてジャバーは幾度も「それは私が今ここにいて、私が試合に勝っている理由の一つ」と語っているが、「ウィンブルドン」での初めての準々決勝進出を受け、あらためて基金の重要性を振り返った。


「素晴らしいプログラムだと思う。私は幸運なことに国際テニス連盟(ITF)に選んでもらえた。それは助けになったわ。2017年のことだったと思うけど、その時私は初めて世界ランキング100位の壁を突破したの。テニスはとてもお金がかかるスポーツだから、あの支援にとても助けられた。そういうサポートがあれば、テニスをプレーすることにもっと集中できる。それが私のしたことよ。コーチを雇って、私を支えてくれるチームを作った。お金のことよりももっとテニスに集中するために、それが必要だったと思う」


彼女のテニスを次のレベルへ引き上げるのに役立った2017年の5万ドルの助成金の他にも、ジャバーはキャリアのもっと早い段階から、GSDFから何度も支援を受けていた。ジャバーは、2008年にITFとGSDFが行った14歳以下のアフリカの選手をヨーロッパに派遣するプログラムの一員で、2009年から2011年の期間にはジュニア大会に出場するために4つの助成金を受け取った。2013年には、女子の大会に出場するための助成金も獲得している。


ジャバーの物語には、1986年の創設以来5,500万ドル(約60億5,193万円)をテニスの発展のために投じてきたこのプログラムの価値が明確に示されている。直近のグランドスラム選手助成金の受給者である22ヶ国からの29人の選手たちも、ジャバーに続いて良い結果を出すだろう。ジャバー自身の表現を借りれば、彼女は夢想家かもしれないが、夢から目覚めるのはまだ少し先でいい。


※為替レートは2021年7月9日時点


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全豪オープン」でのジャバー
(Photo by Mike Owen/Getty Images)

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