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今さら聞けないテニスのイロハ ~第17回 審判の仕事、なり方、年収は?~

写真は選手と話す審判

ネットの横の高い椅子に座り「ラブ・フォーティ」などとコールする主審。ラインの後ろに構えて立ち、サーブがアウトなら「フォールト!」と大声で叫ぶ線審。その他に審判の仕事とは?そもそも審判にはどうやってなるのでしょう。今回はテニスの審判についてご説明します。

■最終決定権を持つのは主審でなくスーパーバイザー/レフェリー


大きな規模の大会では、主審も線審も何人も必要になります。その審判団のトップとなるのは、国際テニス連盟(ITF)派遣の「スーパーバイザー」と呼ばれる人か、ローカルの「レフェリー」です。この「スーパーバイザー」あるいは「レフェリー」は、規則のことで揉めたような場合に、その場での最終決定権を持ちます。また主審や線審の試合の担当を決めたり、必要ならば事前に訓練をしたり、ネットやコートが規則にしたがって整備されているかチェックもします。日々の試合時間やコートを知らせる試合予定表を作るのも彼らの責任で、前週に開催された大会の責任者と連絡を取って、連続して出場する選手の移動時間なども考慮しなければなりません。


■コート上には出てこないナンバー2、チーフ・アンパイア


スーパーバイザー/レフェリーの次の地位にいるのがチーフ・アンパイアです。大会に必要な審判団の人数を揃えるのは彼らの責任です。そして毎日のどの試合をどの主審、線審が担当するかを決めます。チーフ・アンパイアは通常、その大会で主審や線審を務めることはありません。


■チェア・アンパイア(主審)はコート上で起きるすべての監督役


いよいよ実際に試合でコールする主審ですが、彼らはまず選手の名前の正しい発音を知らなければなりません!そして選手より前にコートに来なければなりません。選手の服装に規則違反があれば、直させるのも彼らの仕事です。ウォームアップやポイント間、コートチェンジなどの時間が守られているかどうかストップウォッチで計り、決められたタイミングで「タイム」と声をかけます。必要数のボールが用意されているか確認するのも主審の仕事。線審がいない小さな大会では、イン/アウトの最終的な判定も主審の責任です。そしてもちろん、ポイントごとにスコアをコールします。線審のコールが明らかに間違っている場合は、すぐに訂正します。明らかなフットフォルトを線審がコールしなかった場合も、主審がコールします。


また主審は、選手たちにコードオブコンダクト(行動規範、倫理規定)を守らせなければなりません。つまりラケット破壊、汚い言葉の使用、コーチングといったコードバイオレーション(規則違反)があった場合に、まず警告し、次に相手に1ポイント、その次には相手に1ゲームを与える、などの罰則を科します。2018年の「全米オープン」決勝では、大坂なおみ(日本/日清食品)と対戦したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が、まずコーチングで警告を受け、次にラケット破壊で相手に1ポイント、更に審判に対する暴言で相手に1ゲームを与えることになりました。


主審はさらに、観客が試合を妨げているような場合は彼らに試合進行に協力するよう要請します。ボールパーソンたちに関しても、その行動が試合を助けるもので、邪魔になったりしないよう監督します。天気や、コートのコンディションが試合続行にふさわしいかの判断もしなければなりません。


■ライン・アンパイア(線審)は主審のサポート役


線審の仕事は、もちろん担当するライン/エリアのボールがインかアウトかを判定することです。フットフォルトのコールもします。主審が気付かなかった反則に気付いた場合は、すぐに主審に報告しなければなりません。選手がトイレ/着替えのためにコートを離れる時は、それ以外のことをしないよう、線審が付き添います。自分のコールが主審によって覆されても、何も言ってはいけません。また、選手に拍手や歓声を送ったり、観客と会話をしてはいけません。


■審判になるには?


審判はまず線審から始めて、試験や審査、経験を経てより大きな大会で審判を務められるようになります。国際チェア・アンパイアはレベル3という審査に通ると、その時点でまずブロンズ・バッジとなり、以降は働きぶりによってシルバー・バッジ、ゴールド・バッジへと昇格。ゴールド・バッジの主審たちは四大大会のような大きな大会のセンターコートで主審を務めます。


■一流の審判たちはいくら稼ぐ?


国際審判たちは基本的に参加した大会ごとに報酬と、交通費や宿泊費などの経費を支払われますが、その金額は大会によっても、審判らの格付けによっても異なります。主審の最高レベルであるゴールド・バッジの審判は世界で30人ほどしかいません。2018年の「全米オープン」では、ゴールド・バッジの審判の日給は450ドル(約49,000円)で、これは同年の四大大会の中では最低だそうです。しかも一日の労働時間が長いなど条件も悪いので、審判たちの間で「全米オープン」は人気がないという話。ちなみに2018年「ウィンブルドン」でのゴールド・バッジの審判の日給は380ポンド(約53,000円)。大会規模が小さくなるほど審判への報酬も当然小さくなりますが、ゴールド・バッジの審判が一年間フルに働けば7万~8万ドル(約760万~870万円)の年収にはなるのではないでしょうか。


思ったよりも多い審判たちの仕事。四大大会の決勝のコートでネット脇の高いチェアに座り、名選手たちの白熱の試合をコールするのはどんな気分でしょう。スポーツの主役は選手たちで、審判たちは決して主役ではない、また主役になってはならない(議論噴出のコールなどがあってはならないということ)とも言われますが、同時に試合を円滑に、公正に進めるためになくてはならない脇役でもあります。テニスの試合を見る時に、そんな審判たちの献身的な仕事ぶりにも少し目をやってみられてはいかがでしょうか。


(文/月島ゆみ)


※写真は選手と話す審判(2018年全仏オープンのときのもの)(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

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