マイページ

イロハ

今さら聞けないテニスのイロハ ~第15回 コートのサーフェスで何が変わるのか?~

写真は左から2018年全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン

野球のスタジアムと違いテニスコートのサイズはルールによって統一されていますが、サーフェス(コートの床面)は様々です。サーフェスにはどんなものがあり、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。今回はサーフェスについて説明します。

■主なサーフェスは3種類

主なサーフェスは、「ハードコート」「クレーコート」「グラスコート」の3種類。プロの大会に使われるコートで最も多いのは、「ハードコート」と呼ばれる、アスファルトやコンクリートの上をアクリル素材などで覆ったものです。四大大会では「全豪オープン」「全米オープン」の2つがハードコートです。特徴としては、イレギュラーバウンドなどがあまりなく、バウンドした球の速さは芝に比べると遅く、クレーよりは速く、バウンドした球の高さはクレーよりは低く、芝よりは高いので、他の2つのサーフェスの中間的な存在です。以前は緑色が多かったのですが、2005年の「全米オープン」でブルーのコートが登場して人々を驚かせて以来、世界中の多くのハードコートがブルーになりました。

現役の選手で現在ハードコートでの勝率トップはノバク・ジョコビッチ(セルビア)の84.1%、次いでロジャー・フェデラー(スイス)の83.7%で、この2人は現在のところ、引退した過去の選手を含めても勝率1位、2位となっています。

■球足が遅いクレーコート

「クレーコート」とは、土のコートです。中でも最も有名なのは「全仏オープン」開催場所であるローラン・ギャロス

「クレーコート」とは、土のコートです。中でも最も有名なのは「全仏オープン」開催場所であるローラン・ギャロス[11] の、赤土のコートでしょう。 の、赤土のコートでしょう。ヨーロッパでは赤いものが多いですが、アメリカには先日の錦織圭(日本/日清食品)の練習ビデオで映っていたような、「グリーン・クレー」と呼ばれる緑色のものもあります。クレーコートの特徴は、バウンドしたボールの球足が遅く、高く弾み、スピンがよくかかることです。そのため弾丸サーブやボレースマッシュで決めるよりも、グラウンドストロークで拾いまくって粘り勝ちするようなタイプの選手がクレーを得意とします。現役で最も有名なそういうタイプの選手が、「クレーキング」の異名を持つラファエル・ナダル(スペイン)でしょう。ナダルのクレーコートでの生涯勝率は92%。これは現役・引退選手を合わせても1位の数字で、現役2位のジョコビッチ(79.3%)を12.7%差で大きく引き離しています。スペインや南米にはクレーコートが多いので、ナダルに限らずクレーコートを得意とする選手が多いようです。

クレーコートの表面は滑るので、このコートを得意とする選手が踏み出した足を更に先へスライドさせて球を打ち返す姿がよく見られますが、これは得意な選手たちにとって必須の技と言われています。またクレーコートは、こうした選手たちのスライドや天候の影響でイレギュラーバウンドがよく見られます。晴れて乾燥した日は球がよく弾んで球足も速く、曇った湿度の高い日はバウンドが低く球足が遅くなるようです。更にラインの部分はプラスチック素材が使われていることが多く、球がラインを直撃した場合はかなり球足が速くなるそうです。

■美しい芝のコート、2週間後には...

「ウィンブルドン」は、「グラス」とも呼ばれる芝のコートです。きれいに整備された芝のコートは見た目も美しいですが、当然メンテナンスは大変。「ウィンブルドン」でも、開幕初日にはコート前面を覆っていた芝が、1週間も経つと選手たちが最もよく動くベースライン付近からはげていきます。決勝の頃には、ベースラインのあたりはほぼ茶色の土の上に白いラインがあるだけで、芝の緑が濃く美しいのはネットの付近ぐらいです。芝のコートはメンテナンスに手がかかり過ぎるせいか、あまり多くはありません。そのため大会数も少なく、2019年も「ウィンブルドン」を含めてわずか8大会が開催されるだけです。

芝のコートの特徴はバウンド後の球足がクレーよりもハードよりも速く、弾道が低いことです。そのため、サーブや、サーブ&ボレーの得意な選手が有利と言えます。現役選手で最もグラスコートに強い選手といえばフェデラーで、芝での生涯勝率は87.1%。2位のアンディ・マレー(イギリス)が83.6%、3位のジョコビッチが83%です。

■名選手に苦手なコートなし?

それでは全てのコートを合わせた生涯勝率はどうでしょう。現役・引退選手を合わせての1位はビヨン・ボルグ(スウェーデン)の83.1%。2位ナダル82.9%、3位ジョコビッチ82.7%、4位フェデラー82.1%。そして生涯優勝数は1位ジミー・コナーズ(アメリカ)109回、2位フェデラー101回、3位イワン・レンドル(アメリカ)94回、4位ナダル80回、5位ジョン・マッケンロー(アメリカ)77回、6位ジョコビッチ73回。

コートは様々で、選手により得意不得意はあるようですが、フェデラー、ナダル、ジョコビッチのBIG3は全てを克服しているようです。それでもフェデラーは芝で、ナダルはクレーで、ジョコビッチはハードコートでそれぞれの個性をより発揮し、ますます輝く姿を見せてくれるでしょう。

(文/月島ゆみ)

※データはすべて2019年3月31日時点

イロハの関連記事

PAGE TOP
menu