マイページ

イロハ

今さら聞けないテニスのイロハ ~第13回 チャレンジについて~

写真は2018年ウィンブルドンにてチャレンジの成功率が高かったナダル

選手が、審判のイン・アウトのコールが間違っていると思った時に、機械による判定を求めることができるチャレンジ・システム。一試合の中でチャレンジを求めることのできる回数やそのやり方、成功率などを説明します。

■チャレンジは1セットにつき3回失敗するまで

各選手、ダブルスの場合なら各チームは、1セットにつき3回チャレンジに失敗するまで、原則的には何度でもチャレンジを行うことができます。さらに、ゲームカウントが6-6になりタイブレークに突入すれば、あと1回が追加されます。ただし「全仏オープン」を含む多くのクレーコートの大会では、コート上にボールが当たった跡が残るので、チャレンジ・システムは採用されていません。なお、チャレンジによる判定は最終判断であり、その結果に抗議することはできません。

「ウィンブルドン」のように、6-6でもタイブレークが採用されない最終セット(男子なら第5セット、女子なら第3セット)では、ゲームカウントが6-6になった時点でリセットされ、各選手/各チームは新たに3回失敗するまでチャレンジできる権利を与えられます。2018年までは「ウィンブルドン」と「全豪オープン」では、最終セットだと2ゲーム差がつくまで戦い続けたので、12-12、18-18と双方が6ゲームずつ取るたびにチャレンジの回数はリセットされたのですが、2019年からは「全豪オープン」は第5セット6-6で10ポイント先取のタイブレーク、「ウィンブルドン」は12-12になった時点で7ポイント先取のタイブレークを行うことになったので、今後18-18、24-24といったセットは「全仏オープン」以外ではなくなったわけです。

■チャレンジ申請はすぐに、ラリー中でもラリーを止めて行う

チャレンジをする場合は、審判のコールが行われてすぐにチャレンジの意図があることを主審に知らせなければなりません。また、ラリーの途中で相手の球がアウトだと思ったのにアウトのコールがなかったような場合は、その球を打ち返さずにラリーを中断するか、返球してすぐにラリーを中断してチャレンジしなければなりません。時折、選手のチャレンジ要求が遅い場合、審判に却下されたり、相手選手が「遅すぎる」と不満を述べることもあるようです。

また審判が「アウト」あるいは「フォルト」のコールをすると返球しないのが普通ですが、その球がチャレンジによりインであったことが判明した場合、「アウト」あるいは「フォルト」のコールがあったから返球されなかった、と主審が判断すればそのポイントはやり直し。でもコールに関わらず返球「できなかった」と判断されればその球を打った側のポイントになります。

2019年「全豪オープン」4回戦、錦織圭(日本/日清食品)とパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)の試合での最終セットタイブレークでは、カレーニョ ブスタの打った短い球に「アウト」のコールがあったのですが、錦織は鋭いクロスコートを返球、錦織のポイントとなりました。カレーニョ ブスタがチャレンジを要求し、「アウト」のコールは間違っていたことが判明しましたが、主審は「カレーニョ ブスタは錦織の球を返せなかった」としてそのままポイントを認めました。これに対しカレーニョ ブスタは猛抗議。アウトのコールがあったから返球しなかったので、そのポイントを最初からやり直すべきだと主張したのですが通らず。動揺したカレーニョ ブスタはその後1ポイントも取れず敗れ、試合終了直後も錦織とは健闘を讃え合っていましたが主審には怒りを爆発させ、熱戦であったのに少し後味の悪い幕切れとなってしまいました。

■チャレンジの成功率は?

2018年の「ウィンブルドン」でのチャレンジの統計を見てみると、大会中に10回以上チャレンジを行った選手のうち最も成功率が高いのはラファエル・ナダル(スペイン)の60パーセントで20回中12回成功していますが、10回以上チャレンジを行った選手で成功率が50パーセントを超えている選手は他にはいません。最多の31回チャレンジをしているケビン・アンダーソン(南アフリカ)はそのうち7回成功、23パーセントです。これは約5回に1回ですから、率が低いようにも思えますが、サーブがとても重要なアンダーソンのような選手の場合は特に、5回「フォルト」と言われたうち1回がやり直し、あるいはエースになるのなら、チャレンジしてみる価値はあるとも思えます。

チャレンジの利点の一つは、観客が皆でスクリーンを見てインかアウトか盛り上がる、エンターテイメント性でしょう。2000年代半ばにシステムが取り入れられた当初はその正確さについて選手から疑問の声もあったようですが、皆がチャレンジという制度に慣れたのか、機器が改善されたのか、今ではむしろクレーコートでもチャレンジ・システムを取り入れるべきだ、という声もあるようです。

(文/月島ゆみ)

※写真は2018年ウィンブルドンにてチャレンジの成功率が高かったナダル(Photo by Charlotte Wilson/Offside/Getty Images)

イロハの関連記事

PAGE TOP
menu