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今さら聞けないテニスのイロハ ~第11回 シードについて~

写真は左からジョコビッチ、ナダル、フェデラー、マレー

プロテニスの大会はそのほとんどがトーナメント制。横書きのトーナメント表では、参加者の中で一番強いと目される第1シードの選手名が一番上にきます。そのシードとは、どうやって決まるのでしょう? そもそもどうしてシードがあるのか、その利点と合わせて説明しましょう。

■シードはランキングで決定。1回戦免除の特権も

シードは、基本的に直近のATP/WTAランキングに従って決められます。その大会に参加する選手の中で最もランキングが上の選手から、第1シード・第2シード...となります。第2シードの選手は勝ち抜けば決勝まで第1シードの選手とは当たらないように、グランドスラムなどのドロー表では一番下に入ります。同様に第3・4シードの選手は勝ち抜いても準決勝までは第1~4シードの選手とは当たらない、第5~8シードは準々決勝まで...という具合に、それぞれ違うブロックに入ります。

本選に128人が参加する四大大会では、シードの数は全体の25%に当たる32。これでは多過ぎるから半分の16に減らそう...という提案もあったようですが、とりあえず2019年は32のままにすることに決まりました。シングルスでは28~32選手が参加する大会ではシード数8、48~64選手ではシード数16、96~128選手ではシード数は32。そして28選手参加の大会では上位4選手に、48選手なら上位16選手に、56選手なら上位8選手に、96選手なら上位32選手に1回戦免除(BYE)が与えられます。

また、四大大会の中でも「ウィンブルドン」の男子シングルスでは、32人のシード選手はランキング上位32人を選んでいますが、シードの順番は必ずしもランキングの順番どおりではなく、過去2年間の芝のコートでの成績を考慮に入れてシードの順位を決めています。

各大会の本選に参加するためには、大会により決められた以上のランキングであればストレートイン(予選免除で本選参加出場権が与えられること)となりますが、ランキングが低くても、ワイルドカードと呼ばれる予選免除の出場権を大会運営側から特別に与えられることもあります。ワイルドカードは大会地元の有望選手、あるいはケガや出産などでしばらく欠場していてランキングが下がってしまった選手に与えられます。ワイルドカードの選手でも、大会運営側がシードすべき実力があると考えればシードを与えることもあります。

■組み合わせの不均衡を避ける目的。ビッグ4の"独占"にも貢献

シード制が採用されている理由は、全ての組み合わせを抽選にすると、強い選手と弱い選手の振り分けが偏ってしまう可能性があるため。シード制がないことで、一方では早い段階で強い選手同士が潰し合い、その一方ではあまり強くない選手同士の戦いに勝った選手が残ってしまい、準決勝や決勝に勝ち進んだ選手間の実力差が大きくなり盛り上がりに欠けた試合になることを避けるのが目的です。

男子テニス界ではノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、アンディ・マレー(イギリス)の4人が長く「ビッグ4」と呼ばれてきましたが、男子シングルスのランキングでは2004年2月にフェデラーが初めて1位になって以降、2018年末まで約15年間、この4人以外の誰も1位の座に就いていません。さらに2位の座も2005年7月にナダルが2位になってから、この4人以外に明け渡したことはありません。つまり、四大大会の第1・2シードはケガなどで欠場の場合を除いて常にビッグ4が占めており、フェデラーが「ウィンブルドン」初優勝を果たした2003年大会以降、4人合わせて62大会中54大会で優勝。そのうち30回はビッグ4同士で決勝を戦い、数々の名勝負を生んでいます。もしシード制がなかったら、彼らは1回戦や2回戦でお互いと当たって死闘を演じ、準決勝や決勝ではずっとランキングが下の相手に観客にとって見応えのない試合をしていたかもしれません。

■「強い=上位」とは限らないケースも。シード制の思わぬ落とし穴

強い選手が実力どおり勝ち進めば、1回戦・2回戦...と大会が進むに従って対戦相手同士の実力が伯仲し、ますます面白い試合が見られる、というのがシード制のセオリー。とはいえそれまであまり知られていなかった若い選手や、突然に覚醒したベテランや中堅の選手が思わぬ下克上を演じる、というのもまたスポーツの見どころの一つではあります。また、基本的にはランキングが上の選手ほど実力があるわけですが、2018年ではジョコビッチや錦織圭(日本/日清食品)、スタン・ワウリンカ(スイス)のように、実力はあってもケガで戦線離脱している間にランキングが下がったことでノーシードだったりシードが下の方になったりすると、早い段階で実力者同士の熱戦が見られたりします。観客にとってはそれもまた楽しいことですが、当たってしまったシード選手にとっては「なんでこんなところにジョコビッチ」的な、思わぬ落とし穴だったりします。

(文/月島ゆみ)

※写真は左からジョコビッチ(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)、ナダル(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)、フェデラー(Photo by Justin Setterfield/Getty Images)、マレー(Photo by Julian Finney/Getty Images)

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