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秋山英宏コラム

絶好調と言えた大坂の1回戦、2回戦で振り返るコーチが授けたマインドセットと新たな武器

写真は「全豪オープン」での大坂なおみ

とにかく強いなと思わせる大坂なおみの大会序盤の戦いである。1回戦、2回戦とも圧勝だったが、にもかかわらず、プレーの中味はまだまだエンジン全開とは思えない。そこにまず驚かされる。

初戦のアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)、2回戦のカロリーヌ・ガルシア(フランス)とも、四大大会の序盤では当たりたくない相手だ。パブリウチェンコワは、全豪では直近の4年間で3度も8強入りを果たしている。世界ランキングの自己最高は13位だ。ガルシアは2018年10月に自己最高の世界ランキング4位をマークしている。その実力者たちを相手に、1回戦は6-1,6-2、2回戦は6-2,6-3、盤石の安定感だ。


1回戦は、試合に臨む心構えがポイントになった。大坂は試合後、「すごく緊張していた」と振り返った。前夜はあまり眠れなかったという。試合ぶりからはとてもそうは見えなかったが、言葉に嘘はないだろう。


試合前、大坂はナーバスになっていることをウィム・フィセッテコーチに打ち明けた。オフシーズンにどれだけ厳しいトレーニングをこなしてきたか、この試合はそれを生かす絶好の機会なんだ--二人でそんな話をした。大坂は気持ちを整えてコートに入り、難しい初戦を見事に乗り切った。


2回戦でのマインドセットは、自分のプレーに集中することだった。


ガルシアは試合巧者だ。ボールの緩急を使い、コースを巧みに打ち分ける。スルスルッと前に入り、ネットで仕留めるプレーもうまい。公式戦では初対戦。大坂は「彼女はいつ打ち込んでくるか分からない」と相手のトリッキーなスタイルを警戒していた。実際、第1セットはその緩急をつけたプレーにリズムがつかめなかった。それでも落ち着いてゲームを進められたのは、「彼女のプレーはコントロールできないけれど、自分がやろうとしていることはコントロールできる」と自分に言い聞かせていたからだった。


じっくりボールを見極め、ウィナーを打てるボールを待った。深いボールで崩し、決められるボールを確実に決めた。パンパンパンッと強打を連発するいつもの大坂ではなかったが、ラリーのうまいガルシアに対しては、最善の策だったのではないか。


サーブ力のあるガルシアとの対戦は、シーズンオフに集中して練習したリターンを試す好機でもあった。相手のファーストサーブ時のポイント獲得率は43%、セカンドサーブ時では47%、リターンからのウィナーは0と数字は平凡だったが、内容は充実していた。


終盤のターニングポイントとなったのが、第2セット3-2からの相手のサービスゲームだった。最初の2ポイントを失ったが、まず、フォアハンドの強烈なリターンで相手のラケットをはじいた。さらに、確実なリターンから次のショットで一気に仕留める速攻。これで大坂にスイッチが入る。ブレークで4-2として、試合の行方を決めた。


「ウィムにもっとも力を貸してほしかったのがそこ(リターン)でした。その部分では絶対にいいプレーをしたかったし、少しは成果が出ているかもしれない。うまくいけば、もっとよくなると思う」


と大坂は話した。新たな武器が手に入りそうな予感があるのだろう。繰り返すが、この試合でリターン・ウィナーはゼロ。だが、リターンに手応えを得て、クリーンなリターンエースを決めなくても優位に立てると分かったことは、上位との対戦が続く大会終盤に向けて好材料となる。


2セットで10本のサービスエースはもちろん勝因のひとつだが、この試合では、ツアー屈指のサーブ力を持つガルシアからもぎ取った計3度のブレークを評価したい。


練習と実戦で身につけた新たな武器、そして、フィセッテコーチが授けてくれたマインドセットとプレーの幅広さで、大坂は大会序盤を完璧に乗り切った。エンジン全開とは思えない、と書いたのは、それだけ余裕を持っての勝ち上がりという意味である。


まだ使っていない武器もある。走り負けないフィジカルと、勝負どころでの集中力だ。大会終盤に、これらがものを言う機会が来るだろう。



秋山英宏


※写真は「全豪オープン」での大坂なおみ
(Photo by Jason Heidrich/Icon Sportswire via Getty Images)


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2019年に全豪を制覇、2020年全米では2度目の優勝を果たし、世界に影響力を持つ大坂なおみ。アスリートとしてだけではなく、"人種差別問題"にも問題提議を続けた勇気ある行動を示した彼女の今シーズンの活躍から目が離せない。

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