秋山英宏コラム

ブレーク率50%超のハレプ対ビッグサーバーのセレナ。女子決勝は「矛と盾」の対決

ウィンブルドンでのハレプ(左)とセレナ(右)

第7シードで、元世界ランキング1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)が初めてウィンブルドンの決勝に勝ち進んだ。ルーマニアの女子選手としても初の決勝進出だ。

 第8シードエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)との準決勝は6-1、6-3で決着したが、スコアが示すほど簡単な試合ではなかった。立ち上がりのハレプのサービスゲームは5度のデュースを繰り返し、次のスビトリーナのサービスも同じく5度のデュースの末に決着した。


 たった2ゲームで、試合開始から約20分が経過していた。ゲームを奪ったのはいずれもハレプだった。


「この2ゲームがキーになったとは思いませんが、私はチャンスを生かすことができませんでした」とスビトリーナが悔やんだ。


 このセットはハレプが5-1と大きくリードしたが、サービング・フォー・ザ・セットではまたも苦しんだ。スコアの上では劣勢のスビトリーナが、ここでは思い切りが良かった。デュースを繰り返すこと8回。それでも、ゲームを取ったのはやはりハレプだった。セットポイントを5度逃したが、6度目でとうとうものにした。


 4回戦で30本、準々決勝で24本と、ウィナーを量産したスビトリーナだったが、ハレプから奪ったウィナーは10本に過ぎなかった。


「彼女はほとんどのボールを返してきます。他のプレーヤーとやるときより我慢が必要になります」とスビトリーナが嘆いた。


 粘りはハレプの代名詞。確かにロングラリーでもよく粘ったが、それより、ラリーの序盤からハレプが支配する展開が目立った。カウンターパンチャー同士だが、ハレプは攻めの速さ、動きの良さで、常に主導権を握った。これだけ競ったゲームがあったのに、一方的な試合のように見えたのは、ハレプが自分からボールを動かす展開が多かったからだろう。安定したクロスを土台に、正確なダウン・ザ・ラインで振り回した。スビトリーナは終始、受け身のテニスを強いられ、一か八かのショットに頼るしかなかった。


 ハレプは「簡単ではなかったが、正しい戦術でプレーできた。メンタル面、フィジカル面もよかった」と、ほぼ完璧な1時間13分を振り返った。


 決勝では、初優勝を懸けて、過去7度優勝のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に挑む。元世界ランキング1位同士の対戦となる。


ここまで1勝9敗の対戦成績が残っているが、ハレプは「多くが接戦だった」と見ている。今年の全豪では6-1、4-6、6-4、16年の全米では6-2、4-6、6-3、初対戦の11年ウィンブルドンでは3-6、6-2、6-1と、四大大会での対戦ではいずれもセレナが勝っているが、3試合とも最終セットにもつれた。セレナも四大大会では力を発揮するが、その点はハレプも同じだ。


「彼女に対してチャンスがあることは、これまでの対戦から学びました。勝てると信じて戦うつもりです。彼女の実績と今の姿は尊敬に値しますが、私も彼女に対して強いメンタルで立ち向かうことができると感じています。大きなチャレンジになります」 とハレプは意気込みを語った。二人が四大大会のタイトルを懸けて戦うのはこれが初めて。楽しみな決勝になる。


 ハレプは、全仏を制したアシュリー・バーティ(オーストラリア)に近い、アスリートタイプの選手だ。脚力を生かして広いエリアをカバーし、相手のショットが甘くなれば、すかさず鋭いカウンターパンチを見舞う。セレナのパワーに対抗できる能力の持ち主であることは、過去のスコアが示している。


 興味深いデータがある。ハレプは準決勝までの6試合で相手のサービスゲームを31回もブレークした。キープを許したのが28回だから、ブレーク率は53%に達する。


 もちろん、セレナの最大の武器はサーブ。「矛と盾」の対決が最大の見どころとなる。


(秋山英宏)


※写真は「ウィンブルドン」でのハレプ(左:Photo by TPN/Getty Images)とセレナ(右:Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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