秋山英宏コラム

ウォズニアッキとセレナが去り、ハレプが浮上。頭脳派カサキナは要注目[全仏オープン]

4回戦で対決したカサキナ(左)とウォズニアッキ(右)

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の負傷による棄権で、マリア・シャラポワ(ロシア)との大一番が流れてしまった。

16年全豪でのセレナの勝利を最後に2年以上対戦していないが、セレナは対戦成績で19勝2敗と圧倒、現在18連勝中だった。しかし、今回に限っては楽観はできなかった。出産で長いブランクがあり、四大大会出場は昨年の全豪以来となる。ランキングは451位まで落ちている。シャラポワもドーピング違反による出場停止があったが、復帰から1年以上経ち、故障がちとはいえ調子はかなり戻った。

セレナは「今回は確実に彼女が有利。彼女は復帰して1年以上プレーしているのに、私は戻ったばかり。私にとってこの試合はテスト。どこまで戻っているか、このまま前に進めるどうかを知る機会だと思います」と会見で話していた。

セレナの予防線ともとれるが、現状はこの通り。したがって、今回の対戦はシャラポワが連敗に終止符を打つ千載一遇のチャンスだった。その記者会見では両者の過去の因縁が蒸し返され、メディアを通じての前哨戦も盛り上がったが、シャラポワのウォークオーバーという、まさかの結果となった。

セレナが棄権を発表する数時間前には、第2シードカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)が大会から去っている。前日、日没順延となったダリア・カサキナ(ロシア)との4回戦は6(5)-7、3-3から再開されたが、3ゲームを続けて落とし、あっさり敗れた。ウォズニアッキは再開後のプレーについて、こう話した。

「自分のプレーが悪かったとは正直、思いません。彼女が一つのミスもせず、しかも、ライン際でプレーしていました。私はできることをしようとしましたが、十分ではありませんでした」

第2シードのウォズニアッキと、"隠れ第1シード"すなわち公傷制度の適用を受けたスペシャルランキング1位のセレナが消えた。さらに、第7シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)も敗れ、グランドスラム初制覇を狙う第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)が大きく浮上してきた。

しかし、まだまだ何が起きるか分からない。この日の番狂わせの主役、第14シードのカサキナはさらに波乱を起こしそうな匂いを漂わせる。

ウォズニアッキは「クレーコートは彼女のサーフェス」と証言する。「彼女はペースダウンしてくるし、同じボールを続けて打たない、つまりペースを変えてくるのです。そして、チャンスを見つけたら前に入ってハードヒット、そうしてまたスローダウン......。タッチがよくて、角度をつけるのがうまくて、何でもできる。そう、彼女にはクレーが合っています」

確かにクレーは合っている。また、パワーテニス全盛の女子テニスにあって、その理詰めのテニスは魅力的でもある。カサキナは、頭を使ってプレーすることが楽しいと言う。

「より戦略的なゲームができるように努めています。強打するだけの体格があるわけではないので、勝つためには他の手段を探さなくてはなりません」

そのカサキナ、8強入りを決めたその夜に、宿替えの予定を入れていた。Airbnb、いわゆる民泊で予約した家をこの日に出なければならず、ホテルに移るという。料金は前払い制で、大会の2週目まで残れるか定かでなかったため、予約はこの日までしか入れていなかったのだ。

カサキナは「ホテルに移るのは気分のいいこと。だから、不平を言っているのではありません」と報道陣に事の次第を説明した。

ベスト8の賞金は38万ユーロ、日本円で約4870万円。快適なホテルで、昨年の全米女王、スローン・スティーブンス(アメリカ)との準々決勝に備えることだろう。

(秋山英宏)

※写真は4回戦で対決したカサキナ(左)とウォズニアッキ(右)
(Photo by Mustafa Yalcin/Anadolu Agency/Getty Images)

友だち追加

人気記事ランキング

PAGE TOP
menu