マイページ

コラム

全仏オープンでの偉業、フェデラーとの闘い...ナダル1,000勝への軌跡

写真は「ATP1000 パリ」でのナダル

2020年11月4日、ラファエル・ナダル(スペイン)が通算1,000勝をあげた。そしてその翌週、11月9日付けの世界ランキングで2位をキープしたナダルは、トップ10連続在位週でジミー・コナーズ(アメリカ)を抜いて、歴代1位となる790週に。数々の偉業を達成し続けるナダルの、1,000勝への軌跡を振り返ってみよう。

■初勝利から100勝まで(2002年4月‐2005年7月、15歳‐19歳)


ナダルのツアーレベルでの初勝利は、まだ15歳だった2002年4月29日、故郷マヨルカでの大会でだった。それから3年3ヶ月、137試合を戦って、最初の100勝に到達。その間の特筆すべき勝利は、2003年「ATP1000 モンテカルロ」で当時世界7位のアルベルト・コスタ(スペイン)戦であげたトップ10選手からの初勝利、そして2003年の「ウィンブルドン」では、マリオ・アンチッチ(クロアチア)との試合でグランドスラムでの初勝利をあげている。


2004年「ATP1000 マイアミ」ではロジャー・フェデラー(スイス)と初対戦し、初めて世界ランキング1位の選手を破る。同年8月にソポトの大会で、ツアー初優勝を遂げた。


2005年にはモンテカルロで、マスターズ1000大会初優勝。同年6月、19歳の誕生日の2日後に、「全仏オープン」でグランドスラム初優勝を飾った。


当時ナダルは語っている。「何もかもがあっという間に起こった。年の初めの50位台から、“全仏オープン”の優勝を懸けて戦うまで。でも頭の中で冷静にシミュレーションすることができた。こんなことが起こった時どうすればいいか、十分に教えられてきた。すべてを普通のことのように受け入れた、だからこれまでと同じ情熱とモチベーションを持って努力を続けることができたと思う」


この間の通算成績は100勝37敗(勝率73%)、優勝8回。ランキングでは2005年4月25日に初めてトップ10入りし、以後15年間一度もトップ10から落ちることなく今日に至っている。


101勝から200勝まで(2005年7月‐2007年3月、19歳‐20歳)


すい星のごとくテニス界に出現したナダルの活躍は、その後も続く。2005年「ATP1000 モントリオール」では決勝でアンドレ・アガシ(アメリカ)を破り、ハードコートで初めてのタイトルを獲得。同年10月には「ATP1000 マドリード」で、キャリア初、そして現在に至るまで唯一の、室内ハードコートでの優勝を遂げた。


2006年「ATP1000 モンテカルロ」では初めての大会連覇。同年「全仏オープン」も連覇し、「ウィンブルドン」では初めての決勝進出を果たす。この間の戦績は100勝18敗、84.7%と最初の100勝よりさらに勝率を上げ、10度の優勝を飾っている。


201勝から300勝まで(2007年4月‐2008年6月、20歳‐22歳)


ナダルのクレーコートでの手のつけようのない強さは既にこの頃から明らかだった。「ATP1000 モンテカルロ」「ATP500 バルセロナ」「全仏オープン」ではいずれも4連覇。2007年「ATP1000 ハンブルク」ではクレーコートで81連勝という記録を打ち立てた。また2008年「全仏オープン」では、初めてグランドスラムで1セットも落とすことなく優勝を遂げた。


この間の通算戦績は100勝18敗、9大会で優勝。


301勝から400勝まで(2008年6月‐2009年12月 、22歳‐23歳)


2008年8月18日に、ナダルは初めてフェデラーを引きずり下ろし、世界ランキング1位の座についた。2005年7月25日から3年の長きにわたり、2位から下がることなく戦い続けてきたのだ。


そのカギとなったのは2008年6月の、ロンドン・クイーンズクラブでのグラスコート大会初優勝、そしてそれに続く今も「テニス史上のベストマッチ」の一つに数えられる決勝でフルセット激闘の末フェデラーを破った、「ウィンブルドン」初優勝だ。


その決勝でナダルは最初の2セットを取りながら、続く2セットをいずれもタイブレークで奪われ、その間に2度のマッチポイントを逃した。だが最終セット9-7で、ナダルは当時「ウィンブルドン」決勝の最長記録だった4時間48分の死闘を制した。


それまで「ウィンブルドン」決勝で2年連続でフェデラーの前に涙をのんだナダルは、試合の後で語っている。「フェデラーは偉大なチャンピオンだ。勝敗に関わらず、彼の態度はいつもポジティブだ。僕はいつも彼をとても尊敬している」


またナダルは2008年の「北京オリンピック」で金メダルを獲得。この間の戦績は100勝18敗、優勝9回。


401勝から500勝まで(2009年12月‐2011年4月、23歳‐24歳)


2009年の「全仏オープン」4回戦でロビン・ソダーリング(スウェーデン)により同大会で初めての負けを喫したナダルだったが、2010年には決勝でソダーリングにリベンジを果たして5回目の優勝を遂げる。同年「ウィンブルドン」では2度目の優勝。


2010年「全米オープン」決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、キャリア・ゴールデンスラムを達成。同年の「ATPファイナルズ」では初めて決勝に進出した。


ランキングでは2009年7月に1位の座をフェデラーに奪い返されたが、2010年6月にナダルが取り返すという熾烈な争いを繰り広げた。


戦績は101勝から400勝までずっと100勝18敗のペースを保っていたが、401勝から500勝までは100勝14敗と、更に勝率を上げて87.7%とした。この間の優勝は8回。


501勝から600勝まで(2011年4月‐2013年3月、24歳‐26歳)


2012年の「全仏オープン」で、ナダルはビヨン・ボルグ(スウェーデン)が保持していたテニスのオープン化以降の記録を破る7回目の優勝を遂げる。だが2012年後半は、怪我のため大会に出場することができなかった。


しかし2013年2月に復帰すると、「全仏オープン」までの出場9大会すべてで決勝進出という離れ業を見せた。この間の戦績は100勝18敗、優勝9回。


ランキングでは2011年7月に1位から陥落。ジョコビッチが初めて世界1位となった。


601勝から700勝まで(2013年4月‐2014年6月、26歳‐28歳)


この期間にナダルは100勝13敗、88.4%という最高の勝率を達成。「全仏オープン」の優勝回数は9回に。北米のハードコートシーズンでは、「ATP1000 モントリオール」「ATP1000 シンシナティ」「全米オープン」で3大会連続優勝を遂げた。この間の優勝は11回、ランキングも2013年10月から2014年6月まで1位をキープした。


701勝から800勝まで(2014年6月‐2016年8月、28歳‐30歳)


怪我に悩まされたナダルは、2年と2ヶ月の間に優勝を5回しかあげられなかった(他のほとんどの選手にとっては十分に素晴らしい数字だが)。また2015年、2016年の2年にわたり、グランドスラムの優勝もなかった。この間の戦績は100勝32敗。


世界ランキング1位の座も2014年7月にジョコビッチに取って代わられ、2016年11月には、その夏「ウィンブルドン」で2度目の優勝を果たしたアンディ・マレー(イギリス)が初の世界1位となる。この期間にナダルが1位になることはなく、2015年6月には10位まで下がっている。


801勝から900勝まで(2016年8月‐2018年6月、30歳‐31歳


しかしナダルはまた不死鳥のようによみがえる。2017年8月、31歳で再び世界1位に返り咲くと、36歳のフェデラーとまたもや熾烈な1位争いを繰り広げた。


2017年「全豪オープン」では2014年以来となるグランドスラム決勝に進出。同年のクレーコートでの戦績は24勝1敗、「ATP1000 モンテカルロ」「ATP500 バルセロナ」「全仏オープン」でそれぞれ10度目の優勝を果たす。「全米オープン」では3度目のタイトルを獲得、1年で2度のグランドスラム優勝を飾るのは2013年以来のことだった。


この間の戦績は100勝20敗、優勝9回。


901勝から1,000勝まで(2018年6月‐2020年11月4日、31歳‐34歳)


一番最近のこの期間にナダルはまたも100勝13敗という高勝率をあげるが、さらに驚かされるのはその内容だ。この間に8回優勝しており、そのうち4つがグランドスラム、3つがマスターズ1000大会、残る1つはATP500カテゴリーというレベルの高さだ。


2018年と2019年の「全仏オープン」ではドミニク・ティーム(オーストリア)、2019年「全米オープン」ではダニール・メドベージェフ(ロシア)の若手を決勝で破り、2020年「全仏オープン」決勝では最強のライバルの一人であるジョコビッチをストレートで撃破。「全仏オープン」での最多優勝記録を13に伸ばすとともに、グランドスラム男子シングルス最多優勝20回でフェデラーと並んだ。


そして男子テニス史上4人しか成し遂げていない通算1,000勝を、コナーズ(1,274勝)、フェデラー(1,242勝)、イワン・レンドル(アメリカ、1,068勝)に続いて達成。


2020年「ATP1000 パリ」終了後のナダルのキャリア通算戦績は1,002勝202敗で、勝率83.2%は現在歴代1位。932勝190敗、83.1%のジョコビッチが僅差の2位、3位は654勝140敗、82.4%のボルグで、1,242勝271敗、82.1%のフェデラーが4位だ。


膝丈の白いカプリパンツにノースリーブで逞しい腕をあらわにし、フワフワの長髪をなびかせながら赤土のコートの上を端から端まで駆け回って力強いフォアハンドを決め「バモース!」と叫んでいた十代のナダルは、髪を短くしてコート外で落ち着いた笑みを見せる34歳のナダルとは別人のようだ。だが彼がコート上で見せる闘志と情熱は、今も変わってはいない。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「ATP1000 パリ」でのナダル
(Photo by Jean Catuffe/Getty Images)

コラムの関連記事

PAGE TOP
menu