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コラム

年間900万円!?世界一の選手が教える有名テニスアカデミー大解剖

写真は2019年豪州ブリスベンにてナダルが子供達にレッスンをする様子

テニスアカデミーは、いまやプロテニスプレーヤーになるための正攻法になった。なにしろ快適な練習施設を与えられ、優秀なコーチ陣からあらゆるノウハウを手ほどきしてもらえるのだ。定期的にトーナメントで腕試しもできるし、国際人になるための教育さえ受けられる。


プロを目指す卵たちは、こうして地球上のあらゆるアカデミーで日々練習に励んでいる。温暖なアメリカのフロリダ州やスペインだけでなく、まさしく地球上のあらゆる土地でテニスアカデミーは著しく増加している。すると問題になるのは、果たしてどのアカデミーを選ぶべきか。重視すべきは何だろう。料金か、進学率か、コーチの質か、それともコートそのものか。

■小学生のレッスン代が年間865万円!


プロへの道は、決してお安くはない。


かつてアンドレ・アガシ(アメリカ)やマリア・シャラポワ(ロシア)、ボリス・ベッカー(ドイツ)、モニカ・セレス(アメリカ)といった数々のスターを輩出し、錦織圭(日本/日清食品)や望月慎太郎(日本)も通ったフロリダのIMGアカデミーは、実績や施設が「世界一」との評判を誇ると同時に、学費もまた「世界一」と言われる。ちなみに、その額は2020年「全豪オープン」2回戦の賞金(12万8000豪ドル=約934万円)を…ほんのわずかに下回る。


例えば2020年秋から始まる年度の場合、レッスン代・学費・寮費・3食込みの費用は8万900USドル(小学6年生)~8万3900USドル(大学生)。すなわち日本円にして年間約865万円~900万円が必要になる。奨学金や特待生などの資金援助制度は、一切存在しない。


フランスのムラトグルー・テニスアカデミーは、欧州で最も有名なアカデミーの一つに数えられるが、IMGアカデミーに比べると費用はかなり安い。


9月から翌年6月までの授業料は3万2170ユーロ(約385万円)。ただこれに寮費や食費は含まれない。もしも寮に住む場合は、授業料にプラスして3人部屋3食込み1万4250ユーロ~1人部屋3食込み2万5000ユーロ(約170万円~300万円)を用意しなければならない。自宅からの通学を希望する場合、昼食のみ込みの年間2500ユーロ(約30万円)もチョイスできる。さらに洗濯代800ユーロ(約9万6000円)、お誕生日代50ユーロ(約6000円)というオプションもあり。つまりセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)やノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)が定期的に通ったアカデミーで学ぶお値段は、全部ひっくるめて年間約700万円になる。


■偏差値の高いアカデミーは?


テニスアカデミーは、単なるテニススクールやプロ養成機関ではない。故郷を離れ、ひたすらテニスに打ち込むティーンエイジャーたちに、学校教育の機会を与える場所でもあるのだ。


たとえばIMGアカデミーでは、日本の小学6年生~高校3年生に当たるアカデミー生に対して、英語、数学、科学、社会科、美術、英語、外国語の授業を行う。遠征先ではオンライン授業が受けられるし、中学3年生以上の生徒には大学進学に向けたサポートもある。これまでUSニューズ&ワールド・レポート誌の選ぶ大学トップ100校のうち、90校に卒業生を送り込んできた。


「文武両道」を謳うのはムラトグルーアカデミーも同じ。「すべての子供がチャンピオンになれるわけではない」(byパトリック・ムラトグルー)からこそ、立派な社会人育成に力を入れる。10歳から18歳に開かれた同校に通うのは、世界45ヶ国の200人。フランスとアメリカの学校制度をミックスしたカリキュラムを、約30人の教師陣が指導する。しかも1クラス15人という少人数教育のおかげで、大学入学資格試験合格率は95%。アメリカの大学進学のための奨学金獲得率さえ、実に90%に達する。


2016年に自らのアカデミーを設立したラファエル・ナダル(スペイン)は、学校作りに人一倍こだわった。「多くのテニス選手が、大学進学に向けた過程に至る前に退学を余儀なくされてしまう。これは長期的なハンディキャップであり、将来の選択肢を狭めてしまう可能性がある」ことを、常々憂いていたのだそう。


こうして作られたインターナショナル・スクールは…なんと保育園児(3歳)から高校生まで幅広く受け入れる!


中高生は朝8時半から学校開始。途中に15分の休憩を挟んで13時までしっかり授業を受けた後、午後はテニス練習やフィットネスにたっぷり時間を費やす。夕飯後には「宿題の時間」だって1時間しっかり設けてある。もちろんスペイン政府から正式に認可された学校であり、ここを卒業さえすれば、NCAA(全米大学体育協会)の入会資格も得られるのだ。


■世界ナンバー1に習いたいなら


通算200週以上も世界ランキング1位の座に就いてきたナダルは、自身のアカデミーもナンバー1に育て上げるつもりのようで、故郷マヨルカ島の広大な土地に豪華スポーツリゾート顔負けの施設を作り上げてしまった。内訳はハードコート19・クレーコート7・室内コート1・パデルコート7・スカッシュコート2、さらにマルチスポーツグラウンド・サッカーグラウンド・屋内プール・屋外プール・カフェテリア・スポーツショップ・グッズショップ・博物館・学生寮・学校・学生用フィットネスジム・大人向け宿泊施設・一般向けフィットネスジム・スパ…。


アカデミー経営に乗り出した「世界1位」の大先輩と言えば、1996年にフロリダでアカデミーを開設したクリス・エバート(アメリカ)だろう。ジョン・マッケンロー(アメリカ)も2010年からニューヨークで同業に励んでいる。


同じ時代に同じベルギーで生まれた2人、2003年8月に初めて世界1位に登り詰めたキム・クライシュテルスと、同年10月に1位の座に就いたジュスティーヌ・エナンもまた、揃って自らの名を冠するアカデミーを経営している。いずれも少数精鋭で、自らが先頭に立ってラケットを振る、そんなタイプのアカデミーだ。2007年設立のエナンアカデミーには現在23人が在籍。また2014年にオープンしたクライシュテルスアカデミーでは、在籍生たちは一軒家で共同生活を送り、小さなバンで地元学校へ通っている。


2人と同じく、やはり2003年に8週間にわたり世界1位を守ったフアン カルロス・フェレロ(スペイン)にも、自らの名を冠するアカデミーがある。ただしアカデミー自体が誕生したのは1995年…つまりフェレロが15歳の時!


当時師事していたコーチが、スペインのコスタブランカに小さな家とテニスコート2面を購入したのが、すべての始まりだった。フェレロが強くなると共に、アカデミーも大きくなっていった。シャラポワやダビド・フェレール(スペイン)、エナン、マラト・サフィン(ロシア)などが時に同地でテニスを鍛え直し、アカデミーの名を高めてくれた。もちろん引退後はフェレロ本人が、豊かな自然に包まれた12万平方メートル(東京ドーム約2.5個分)の広大な土地で、アカデミー専任コーチとして指導を行っている。


■クレーなら欧州、芝は…イギリス


コートの数なら、やはりIMGアカデミーの55面が抜きん出ている。うちハードが屋外34(+屋内4)あるのに対し、クレーは屋外17と半分しかない。ムラトグルーアカデミーはトータルで34面を有する。セレナに2013年の「全仏オープン」を獲らせたことで有名な同アカデミーは、ハード、クレーともに17面(屋外13+屋内4)だ。


クレーでのプレーを学びたいなら、バルセロナ・テニスアカデミーが最適かもしれない。スイスでジュニア時代のロジャー・フェデラーマルチナ・ヒンギスを指導してきたラファエル・モレーがスペインで創設したアカデミーには、クレーコートが21面もある。しかもクレーのミニコートさえ2面もあるというのに…ハードコートはたったの1面。クレーコートでの必須テク、スライドフットワークが得意なクライシュテルスのアカデミーも、やはり赤土に偏重気味。屋外クレーは9面(+ミニ2面)も有しているのに、ハードは屋内に3面のみだ。


管理の難しさゆえか、天然芝コートを保有しているアカデミーは多くない。全部で45面のコートを有し、4つのグランドスラムと同じサーフェスをすべて揃えているのが自慢のフロリダにあるサドルブルック・テニスアカデミーでさえ、芝はかろうじて2面ある程度。IMGアカデミーさえ、「屋根付きの人工芝施設」なるものを持っているだけである。


芝で練習したいなら、やはりイギリスへ飛ぶしかない。ロンドン郊外のクイーンズウッドにあるエース・テニスキャンパスになら、13面もの芝コートがある。残念ながら、人工芝だけれど。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2019年豪州ブリスベンにてナダルが子供達にレッスンをする様子                                  (Photo by Bradley Kanaris/Getty Images)

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