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コラム

次代のテニス界を牽引する若手選手~イタリア生まれのサーブ王マッテオ・ベレッティーニ~

「ATP250 シュツットガルト」で優勝したベレッティーニ

ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が10年以上にわたりトップクラスを誇る一方、台頭する若手の少なさが憂慮されていた男子テニス界。しかし、その状況はようやく変わりつつある。着実に成長している若手選手を、その生い立ちや人となりも合わせて紹介していこう。

今回取り上げるのは、この1年で60位以上もランクを上げ世界トップ20入りを果たしたマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)。


1996年ローマ生まれの23歳は、イタリアの次代の星として期待される逸材。ATPから「サーブ王」と呼ばれる通り、196cmの長身から繰り出す強烈なサーブが最大の武器で、切れ味鋭いバックハンドスライスなどショットのバラエティも豊富だ。また、タイブレークや決勝のようなプレッシャーがかかる場面での精神的な強さも目立つ。それについて、本人は「サービスゲームをキープできるので、自信をもって試合に臨むことができる」と話している。


テニス好きな両親のもと、幼くしてラケットを握ったベレッティーニは、サッカーや水泳、柔道もやっていたものの、2歳下の弟ヤコポ(同じくテニス選手)にせがまれて一緒にプレーしていたことから次第にテニスに熱を入れるようになる。2015年のプロ転向直後に半年以上にわたり膝のケガに苦しんだが、その後は順調に力をつけ、チャレンジャーツアー初優勝を飾った2017年の末には1年前に比べて約300位ものジャンプアップを果たした(433位→136位)。


2018年はさらに成長し、「全豪オープン」で四大大会の本戦に初出場。「全仏オープン」では3回戦で同大会ファイナリストとなるドミニク・ティーム(オーストリア)から1セットを奪い、2ヵ月後の「ATP250 グシュタード」でATPツアー初優勝。それまではATP大会でベスト8入りした経験もなかったにもかかわらず、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、フェリシアーノ・ロペス(スペイン)、ロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)らを相手に5試合すべてストレート勝利という完勝。しかも同大会ではダブルスも制覇し、1週間でシングルス5試合、ダブルス4試合というハードスケジュールをこなした。それをコーチが休暇で不在という状況で成し遂げたのだから驚きだ。


2019年に入ると勢いはさらに増し、「全豪オープン」では同大会ベスト4入りを果たすステファノス・チチパス(ギリシャ)と接戦を演じた。4月の「ATP250 ブダペスト」でノーシードながらも優勝し、続く「ATP250 ミュンヘン」ではファイナリスト。5月にワイルドカードで出場した地元開催の「ATP1000 ローマ」では、同年「全豪オープン」ベスト4のルカ・プイユ(フランス)、世界5位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)から金星をあげている。


さらに6月の「ATP250 シュツットガルト」では優勝するだけでなく、ある偉業も達成。50のサービスゲームをすべてキープし、ニック・キリオス(オーストラリア)、カレン・ハチャノフ(ロシア)、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)らとの全5試合で、1セットも落とさない形でのATPツアー制覇を、グシュタードに続いて成し遂げた。1999年以降で彼以外に複数回それを実現したのは、アンディ・ロディック(アメリカ)、フェデラーら5人のみ。ジョコビッチでさえ1回だけで、ナダルは0回だ。それを可能にしているのが、ここ1年間でBIG3らトップ選手に続いて11位につけるベレッティーニのサービスゲーム獲得率の高さ(87%)である。


「ATP500 ハレ」でベスト4入りし、6月24日付けのランキングでキャリアハイの20位に到達。直後の「ウィンブルドン」では四大大会初の4回戦進出を果たした。この4回戦では自身のアイドルであるフェデラーにストレート負けしたものの、試合後には「レッスンしてくれてありがとう。いくら払えばいいかな?」とジョークを飛ばす余裕も見せた。「この経験は僕のキャリアにとって大きな財産になるだろう。これ(フェデラー相手の完敗)はノーマルなことなんだと自分に言い聞かせていたよ。なんといっても僕にとって初めてのセンターコートでの試合であり、フェデラーとの初対戦だからね」


フェデラーには歯が立たなかったとはいえ、2019年のトップ10選手との戦績は3勝1敗と勝率75%を誇る。同年2月にはデビスカップ初出場と初勝利も飾った。成長著しいベレッティーニは、自身が一番好きなサーフェスと語るハードコートが始まるシーズン後半にさらなる飛躍を見せるかもしれない。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「ATP250 シュツットガルト」で優勝したベレッティーニ
(Photo by Christian Kaspar-Bartke/Bongarts/Getty Images)

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