コラム

水とスポーツドリンク、常温と冷えたもの、どちらを飲むべき?テニスの水分補給のおはなし

水分補給をするジョコビッチ(左)と大坂なおみ(右)

ご存じでしょうか。かつて日本のスポーツの現場で、「練習中は水を飲むべからず!」という時代があったことを。もし今でも、授業中だからとか、みんなが飲んでいないからとか、そんな理由で水分補給をためらっているとしたら、その我慢は今すぐにやめましょう。水は「のどが渇く前に飲むべし!」が鉄則なのです。

■体内の水分が2%失われると運動パフォーマンスが低下する


のどが渇いたと感じるのはすでに脱水が始まっているサイン。もしこれを我慢して水分補給をしなければ、集中力の低下、めまい、頭痛などの症状が出はじめます。この時、体内で水分がどのくらい失われているかというと、わずか2%ほど。脱水が8%を超えると命に危険が及びます。それほどヒトにとって水は大切なものなのです。


スポーツをするときは、パフォーマンスを落とさないためにも、適切に水分補給を行う必要があります。


■いつどのくらい飲むべき?スポーツと水分補給のタイミング


水分補給をしたからといってすぐに体内に吸収されるわけではありません。発汗に備え、運動の2時間から30分前に、250ml~500mlを目安に水分を摂りましょう。何回かに分けて飲んでもかまいません。


そして運動中は、のどが渇く前にこまめに水分を補給します。目安としては、15分~20分おきに100ml~200ml。気温が高い日や、発汗量が多い場合は1時間に1000mlを目安にしましょう。


■スポーツ中の水分補給には何を飲むべき?


水分と一口にいっても、水、お茶、コーヒー、スポーツドリンクなど、様々なものがあります。この中で、スポーツ時の水分補給に適しているのは水とスポーツドリンクです。


スポーツドリンクには、糖質と、発汗で失われるナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれています。軽い運動や、発汗量が少ない場合は水でかまいませんが、運動時間が長い場合や、大量に汗をかく場合はスポーツドリンクがおすすめです。


■糖とナトリウムが水の吸収を助ける


ダイエットをしている方の中には、糖質が入っているからスポーツドリンクは飲みたくないという方もいるのではないでしょうか?しかし、スポーツドリンクに糖質が含まれているのには理由があります。糖が小腸で吸収されるとき、水分も一緒に吸収されるという性質があるのです。さらにこの時、ナトリウムが同時にあると、水分の吸収はより速やかになります。


また、体液より浸透圧が低いか同じ浸透圧の水分は素早く吸収され、浸透圧が高いと吸収が遅くなるという性質があります。これらの性質を利用し、水分を効果的に吸収されるようにした飲料が、スポーツドリンクなのです。


■アイソトニック飲料とハイポトニック飲料どちらを飲むべき?


スポーツドリンクには、「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」の2つがあります。大きな違いは含まれる糖質の量にあります。特徴をまとめます。


・アイソトニック飲料
糖質5~8%程度とナトリウムを含む。
浸透圧は安静時の体液に近く、水よりも速く吸収される。
糖質を多く含むので、エネルギー補給にもなる。
薄めて飲めばハイポトニック飲料になる。
運動前の水分補給や、長時間競技におすすめ。


・ハイポトニック飲料
糖質3~4%程度とナトリウムを含む。
浸透圧は体液より低く、運動中の吸収スピードが速い。
運動中の水分補給や、大量に汗をかくときにおすすめ。


■経口補水液って何?


最近CMでもよく目にする経口補水液。経口補水液は、脱水症状の回復を目的に作られた飲料で、スポーツドリンクに比べて糖質量が少なく、電解質量は多くなります。すでに脱水症状が出始めている場合や、大量発汗時にはこちらを選びましょう。


・経口補水液
糖質2%前後でナトリウム濃度が高い。
浸透圧は体液より低く、脱水時の吸収スピードが速い。
脱水症状が疑われるときや、過度の発汗があるときにおすすめ。


アイソトニック飲料、ハイポトニック飲料、経口補水液、それぞれの特徴をふまえ、運動のレベルや目的に合わせて使い分けると良いでしょう。


■緑茶とコーヒーがNGなワケ


緑茶やコーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があるので、摂り過ぎると練習中や試合中にトイレに行きたくなってしまいます。発汗に加えて尿量も増えれば、当然脱水はすすみ、体内の電解質のバランスも崩れます。


ちなみに、甘い炭酸飲料など糖質が多過ぎる飲み物は浸透圧が高く、水分の吸収が遅くなるので、こちらもスポーツ時の水分補給には向きません。


■常温と冷たいもの、どちらを飲むべき?


身体を冷やさないためと夏でも温かいものや常温の飲み物しかとらない方もいますが、実は、冷たいものの方が「身体にいい」場合もあります。というのも、温度が低いものの方が、胃を速く通過する性質があるからです。


運動中や脱水時のように急いで水分補給をしたい場合は、冷たすぎず、冷蔵庫のポケットで冷やしたくらいの温度(5℃~15℃)のものを選びましょう。


スポーツ中に足がつる、体調は悪くないのにすぐに疲れてしまった、という経験はありませんか?それはもしかして、水分補給を失敗したせいかもしれません。スポーツをしなくても、暑い季節は知らず知らずのうちに身体の水分が失われ、熱中症になってしまうことも。水分補給のコツを覚えておくといいですね。


(アスリートフードマイスター 菊田恵梨)


※写真は水分補給をするジョコビッチ(左/Photo by Ben Radford/Corbis via Getty Images)と大坂なおみ(Photo by Michael Dodge/Getty Images)

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