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コラム

テニス界を沸かせたライバル関係 ~第6回 ロジャー・フェデラー×ラファエル・ナダル~

テニス界を沸かせてきた様々なライバル関係。それにより追われる者は強さを増し、追う者も戦いを通じて磨き上げられ、緊張感を増していく対戦に観客はいっそう熱狂する。時には社会をも動かすほど印象的なライバルたちの関係が築かれることもある。本稿では、10年以上にわたってテニス界を牽引し、コート内外で大きな影響を与えてきたロジャー・フェデラー(スイス)VSラファエル・ナダル(スペイン)のライバル関係を紹介していこう。

グランドスラム通算優勝回数が歴代1位と2位(フェデラーは20回、ナダルは17回)であるほか、2005年7月から2009年8月までの4年あまりにわたって世界ランキングでトップ2の座をキープするなど、数々の記録を打ち立ててきた二人。1981年生まれのフェデラーに対しナダルは1986年生まれと5つ離れているが、ナダルが2005年の「全仏オープン」で19歳にしてグランドスラム初優勝したように早くから頭角を現したため、2000年代半ばから切磋琢磨してきた。

初対戦は2004年の「マイアミ・オープン」で、当時17歳のナダルは世界34位だったが世界1位のフェデラーに6-3、6-3のストレート勝利。フェデラーは「ウィンブルドン」では2006年、2007年の決勝でナダルを退けたものの、通算成績で見ると15勝23敗(勝率39%)と、大舞台も含めて苦杯をなめることが多い。ロッド・レーバー(オーストラリア)、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)、アンドレ・アガシ(アメリカ)といったレジェンドから歴代最高の選手と言われるフェデラーだが、ナダルに対しては相性が悪いようだ。

そんな二人の数ある対戦の中でも有名なのが、4時間48分に及ぶ熱戦となった2008年の「ウィンブルドン」決勝。過去2年、同じ舞台で敗れて雪辱に燃えていたナダルは「全仏オープン」4連覇中の勢いそのままに第1セットと第2セットを連取するが、オープン化以降初の6連覇を目指すフェデラーが盛り返し、続く2セットに競り勝つ。タイブレークのないファイナルセットは16ゲームまでもつれ、最後はフェデラーのミスが出てナダルが優勝。"クレーキング"のナダルがフェデラーの得意とする芝でもライバルに勝てることを示した一戦だった。この優勝によってナダルは237週にわたってフェデラーが維持してきた世界ナンバー1の座も獲得している。

以降も二人は頂上争いを続け、2018年にそれぞれ世界1位に返り咲いたように、初対戦から約15年が経過した現在でもトップレベルを保っている。これほど長期にわたるライバル関係は他に例を見ないが、さらに珍しいのがフェデラーとナダルが良い友人であることだ。それまでのテニス界におけるライバルたちは少なくともメディアの前では友好的な態度を見せることがほとんどなかったものの、この二人は互いへの尊敬の念を隠さず、それぞれの慈善活動で協力し合い、ATPの選手カウンシルでは会長・副会長としてテニス界向上のために尽力。テニス一本に絞る前にプレーしていたサッカーの熱心なファンである点も共通だ。

フェデラーは2009年のインタビューで以下のように語っている。「僕自身、こうして仲良くしていることに驚いているよ。僕たちは激しいライバル関係にあり、互いのキャリアを傷つけてきた。でも実際、僕たちは切磋琢磨して今の姿になったんだ。それにこのライバル関係はテニス界を盛り上げるのにも役立った。どんなスポーツであっても、トップ2の選手が仲良くしているのは素晴らしいと思う」

彼の言う通り、潰し合うのではなく高め合い、自分たちだけでなくテニス界全体のレベルを押し上げ、さらにはモラルの向上にも大きく貢献したフェデラーとナダル。今では多くのテニスコートで試合後に選手同士が互いの健闘を称え合い、温かいハグをしているが、その風潮は選手たちからロールモデルと見なされるこの二人から始まったと言えるだろう。ここ数年はケガの影響もあり対戦回数は減ってきた(2014年からの5年間で6回)が、生ける伝説である二人はコート内外でファンやプレーヤーをインスパイアし続けてくれるはずだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真はライバルでありながら尊敬しあうフェデラー(Photo by Shelley Lipton/Icon Sportswire via Getty Images)とナダル(Photo by Francois Nel/Getty Images)

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