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コラム

大坂なおみ。誰よりもクールで強くて面白くて将来性抜群!

天性の才能と家族一丸でのひたむきな努力、そこにサーシャ・バジンコーチという強力な味方を得て「全米オープン」優勝という夢を叶えた大坂なおみ(日本/日清食品)。なぜ彼女は世界中から愛され、期待されるのか。海外メディアの見解から紐解いてみよう。

■テニス界で一番クール? コート内外で変わる二面性

大坂を「全米オープン」優勝前、5月の時点で「テニス界で一番クール」と評していたのは、アメリカの男性ファッション誌「GQ」。同誌は、3月の「BNPパリバ・オープン」と「マイアミ・オープン」を例に、大坂の魅力を紹介している。

「BNPパリバ・オープン」での大坂は、正確でパワフルなサーブ、ベースラインからの強烈なフォアハンドなどを駆使して、マリア・シャラポワ(ロシア)、カロリーナ・プリスコバ(チェコ)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)らを撃破し、ノーシードでツアー初優勝を遂げた。だがその後に飛び出したのは、「多分、史上最悪の優勝スピーチ」と自嘲した、愛らしくもたどたどしいスピーチ。かと思えば、直後に出場した「マイアミ・オープン」では、子供の頃からの憧れであるセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と初対戦して勝利。試合後、緊張しなかったのかを問われると、「子供の頃からずっとセレナと試合がしたかった。何も緊張することなどなかったわ」と頼もしく答えている。

そんな大坂の二面性を理解するには、テニスでなくビデオゲーム「オーバーウォッチ」を知っていれば良い。大坂は4時間ほどコートで練習すると、家に帰って姉と4~5時間ゲームで遊ぶ。その時に主に選ぶ「オーバーウォッチ」には様々な攻撃的なキャラクターが登場するが、大坂が好きなのは味方を癒す「ヒーラー」や盾になって味方を守る「タンク」などの守備的なキャラクターたち。「狙いをつけて攻撃するのがヘタだから、盾になる方がいいの」と本人は話すが、テニスコート上の彼女は非常に攻撃的だと思われている。自信に満ちたコート上のキャラクターとシャイなコート外のキャラクターは大坂の中では矛盾なく共存しているようだが、コート上の自分について彼女はゲーム風に説明した。「テニスは言わば私の仕事、つまり成し遂げなきゃいけないミッションなの。だからコート上では他のことは全て忘れて、ミッションを完遂するために全力を尽くす」そんな大坂の大きな悩みは「ツアーにPS4持って行こうかな、どうしよう」

多くのスポーツでそうであるように、テニスでも試合後のインタビューを受けることが義務づけられている(マイアミでの敗戦後にインタビューを受けなかったセレナは、WTAから1,000ドルの罰金を科された)。多くの選手は、努力したとか相手は素晴らしかったとか、お決まりの科白しか言わないが、大坂のインタビューは面白い。それは何も、「オーバーウォッチ」や「スポンジ・ボブ」の話が出てくるからだけではなく、正直で、かわいいからだ。例えばマイアミでのセレナへの勝利後には「セレナは試合で時々一度も『カモン!』って叫ばないことがあって、それだと本気を出してないみたいで、ちょっと悲しくなるの。だから1回でも『カモン!』って言ってほしかった。それが聞けた時は、『やった!』って思ったわ」と、ファン視点で語っていた。

バジンコーチは語る。「彼女は正直で、ありのままなんだ。それがみんなには新鮮で、惹きつけられるんだろう」
今、テニス界で一番注目を集める大坂なおみ、それはもしやギャップ萌えの世界なのかもしれない。

■フォーブスも注目する経済的なポテンシャル

世界的な経済誌「フォーブス」が発表した「世界のスポーツ選手長者番付」の女性版では、1位のセレナを筆頭に上位10人中なんと8人がテニス選手。つまり、女子スポーツ界の稼ぎ頭なのだ。そんな中、「全米オープン」優勝を果たした大坂は、いつか女子テニス界トップ、つまり世界の女子アスリートでトップの稼ぎ頭となるかもしれないと、同誌は見ている。

「全米オープン」前の時点で大坂は既にかなりの額のスポンサー契約を結んでいたが、難しい状況下で憧れのセレナを破っての優勝、という業績が更に彼女の価値を高めた。そしてその勢いはまだ衰えていない。大坂は以前からヨネックス、アディダス、日清食品、WOWOWと契約しており、「全米オープン」直前にはシチズンと、更に大会直後に日産自動車との契約を発表。アディダスとの契約は今年で切れるので、その契約を更改するにしても他社と新しい契約を結ぶにしても、これまでとは桁違いの、多分何百万ドルという契約金を得るだろうと言われている。

日本人としてプレーし、アメリカ在住の大坂は、日本とアメリカという2つの巨大なマーケットに対して大きなアピールがある。リー・ナ(中国)が2011年に「全仏オープン」でアジア出身選手として初めてグランドスラム優勝を遂げて以来、アジアでのテニス選手の契約金はうなぎ上りだ。「世界のスポーツ選手長者番付」の男性版では、錦織圭(日本/日清食品)が35位と、テニス選手中ではロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)に次いで3番目。怪我で多くの試合を欠場し、テニスのランキングは4月時点で39位まで落ち込んでいたにも関わらず、である。

大坂が所属するエージェンシー、IMGのマネージャーは、「大坂が世界中から愛される魅力を保ったまま、更に実力を磨いていけば、『世界は彼女の牡蠣』」と語る。この表現は、簡単に殻をこじ開けて、そのお宝を思いのままにできる、というシェイクスピア由来の英語の慣用表現だそうだ。

(文/月島ゆみ)

※写真は「東レ パン・パシフィック・オープン」での大坂
(Photo by Koji Watanabe/Getty Images)

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