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コラム

日本を席捲、世界も注目。大坂なおみは、世界で愛され続けるスターになれるか?

弱冠二十歳にして「全米オープン」制覇、日本人初のグランドスラム大会優勝という偉業を成し遂げ、いまや日本中に「なおみフィーバー」を巻き起こしている大坂なおみ(日本/日清食品)。世界は四大大会初戴冠の前後で彼女をどのように見ているのだろうか。

■WTAの分析で見える「全米オープン」優勝の原動力

直近の四大大会で優勝したのだから、当然のようにWTA(女子テニス協会)のサイトは大坂の記事であふれている。「東レ パン・パシフィック・オープン」での活躍、「BNP パリバ WTAファイナルズ・シンガポール」への出場権争い、「全米オープン」について「後悔はない」と言った記者会見、そしてあの物議を醸した決勝戦に関するもの、優勝後いくつものアメリカのTV番組に出演したこと、バジンコーチが与えた影響、など。

その中に、数字で見る大坂はいかにして「全米オープン」制覇を成し遂げたか、という記事がある。これによると、同大会で大坂がサービスゲームをキープした率は91.5%。ツアー初優勝を遂げた「BNPパリバ・オープン」では80.3%、今年のそれ以外の大会での平均は73.7%なので、大坂がどれだけ「全米オープン」という大舞台にその調子を、そしてギアを上げて臨んでいたかがうかがえる。前年準優勝のマディソン・キーズ(アメリカ)との準決勝では13回のブレークポイントを13回ともセーブし、決勝の相手、元世界女王セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にすら1回しかブレークを許さなかった。それについてセレナは「ブレークポイントになる度に、彼女は素晴らしいサーブを打ってセーブした。本当に、私は今日の彼女の試合から多くを学ぶことができるわ」と賞賛を惜しまなかった。キーズも「何とかブレークしようと頑張っても、その度に彼女がすごいショットを放つ。いつか、どこかにスキが出るはず、とチャンスを待ったけど、彼女はスキを見せなかった。脱帽よ」と、プレッシャーをものともしなかった大坂の強いメンタルを讃えた。

また、「全米オープン」終了時点で、2018年に大坂が1度もブレークされなかった試合数は10で、アシュリー・バーティ(オーストラリア)とペトラ・クビトバ(チェコ)の9試合を抑えてツアー最多。2017年から今年「全米オープン」終了までの進化を見ると、サービスゲーム取得率が昨年は69.6%、今年は76.2%。ブレークポイントのセーブ率は昨年の50.6%に対し今年60.1%と、10%近くも上昇。そしてランキングは、60位から7位に駆け上がった(9月17日時点)。

とはいえ、WTAでは80年ぶりに四大大会で8大会続けて異なる選手が優勝と、まさに群雄割拠時代。そんな中、大坂はグランドスラムを一度制した「そこそこ強い選手」ではなく、期待されるような、常勝の「本当に強い選手」になることができるだろうか。

■「全米オープン」前から時の人、今後は世界で愛され続けるスターになっていくのだろうか?

アメリカで広く読まれている一般紙ニューヨーク・タイムズの日曜版は何部にも分かれた分厚いもので、薄いマガジンも入っている。そのマガジンには時の人や時の話題が長め、深めの記事になって掲載される。ニューヨークで開催される「全米オープン」を目前に控えた8月23日号に、大坂なおみが取り上げられ、そのルーツやテニスを始めた経緯、これまでの足跡などが紹介された。つまり、大坂は「全米オープン」前に既にアメリカで注目される選手であり、人物であったのだ。

日本の社会は、親が日本人ではなかったり、日本語があまり上手でなかったりすると、日本人として受け入れないようなところがいまだにある。だが日本に限らず一般の社会でもスポーツ界でも、その国以外のルーツを持つ国際的な人々は増え続けている。大坂は生まれた時から、母親の母国である日本と、自身が暮らすアメリカ、そして父親のルーツであるハイチという3カ国の文化のバランスを取りながら生きてきて、様々な文化を内包していることで、世界中にファンを作ることができる可能性に気づき始めている。「もしかしたら私がどこの国の人間なのか判別しがたいから、多くの人が私を応援してくれるのかもしれない」と大坂は語る。日本人初の快挙を成し遂げた大坂は、グローバル化する世界を代表するコスモポリタンなスターとなっていくのだろうか。

(文/月島ゆみ)

※写真は「全米オープン」で優勝した大坂なおみ

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