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ナダルがドリンクの向きを揃える理由 繊細な王者が見せる数々のルーティーン

ATP男子シングルス世界ランキング1位に輝くナダルは、コートで見せる繊細な振る舞いでも話題を振りまいている。試合中の限られた時間の中で、スポーツドリンクを飲むたびに、2本のペットボトルのラベルを正確に同じ方向に向けて揃える。一度気がつくとつい気になってしまうナダルの習慣は、他にも様々なバリエーションがあるようだ。世界王者のこだわりには、どんな意味が隠されているのだろうか?

◆コート内外でのこだわり
ナダルの細部へのこだわりはよく知られるところ。前述のドリンクの整列を紹介しているのは豪メディアnews.com.au。サーブの前にドリンクのペットボトルを整列し、時間をかけて几帳面にもラベルを同じ向きに揃える。

その他にもコートでの行動にはあちこちに独特の習慣が。Sportskeeda誌はナダルの様々な癖を紹介している。プレイヤーが汗を拭うのはサービスゲームごとが一般的だが、ナダルの場合はポイントごと。また、チェンジオーバーの際は、必ず相手がこちら側のコートに移るのを待ってから移動を開始する。ありとあらゆる場面でジャンプするのも彼の特徴。さらに細かい点を挙げれば、相手のサーブを待っている時間に、耳の後ろの髪をヘアバンドの内側に押し戻す姿もおなじみだ。

コート外での験担ぎを紹介するのは英紙Express。手に絆創膏を貼り、クラブには20分前に到着するようにしているという。試合後のシャワーは、更衣室右手の一番奥にあるシャワーをいつも使用する。こうした行動はいつも固定というわけではなく、必要に応じて変化してゆくとナダル本人は説明している。

◆時間のロス? 厳しい声も
一流選手ならではのユニークなこだわりは、知れば知るほど親しみが湧いてくる。ただ、ライバル選手やコメンテーターからは、時間のムダだという厳しい指摘も。news.com.auでは、サービスを打つまでの制限時間である25秒をナダルは目一杯使う傾向があり、超過することも多いと解説。テニス専門家のブレット・フィリップス氏は、試合時間が長引く原因になっていると非難する。元プロ選手のジム・クーリエ氏は、ナダルはトッププレイヤーであるために遅延行為を見逃されているケースがあると指摘。今年の全豪オープンの準々決勝、ナダルの途中棄権が世界を驚かせたチリッチ戦では、チリッチがタイム・バイオレーションを宣告されている。チリッチは「冗談だろう」と反応。全ショットの40%で規定の25秒を超過したチリッチに対し、ナダルは45%でオーバーするもお咎めなしだった。

ただし、ウインブルドンではナダル自身も遅延行為で罰を課されている。Express紙は、ウインブルドンの第1週に椅子の上で長く時間を取りすぎ、タイム・バイオレーションを何度も課されたと報じる。独自のルーティーンが多数あり、すべて行うと制限の90秒を超えることが原因となった。

◆その意味とは?
ペットボトルを並べる習慣は一見ムダにも思えるが、試合の流れを整理し、ゲームに意識を集中するという狙いがあるようだ。Express紙によると、習慣について質問されたナダルは、「ボトルを正しい向きに並べているんだ」とジョークを飛ばした後で、自分の行動を振り返り分析していると答えている。手を動かしつつも、ここ数試合で上手くいったことと直すべき点を分析しているという。ウィンブルドン4回戦のイリ・ベセリ戦では、いつものようにボトルを整列。良い流れではありつつもアグレッシブさが足りない、と心中で状況を整理し、ショットに集中しろと自分自身に言い聞かせた。

ゲンを担ぐルーティーンを行ったりすると、精神的にプラスになる一方、その後に特定の行動をするというパターンが読まれる危険性もある。しかしTennis World誌によると、ナダルにその心配は無用のようだ。世界ランク3位のアレクサンダー・ズベレフは、ナダルの習慣はその後のゲームでの戦略とは一切関係がないため、特に不利益はないだろうと分析する。一風変わった小さなこだわりは、今後もナダルを内側から支えることになりそうだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は独特の習慣を持つナダル(Christian Bertrand / Shutterstock.com)

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