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コラム

大坂なおみ、日本中の注目を集めた快進撃の3月を振り返る。

大坂なおみ(右)とコーチのサーシャ・ベイジン(左)

日本女子テニス界の希望として、期待を背負った大坂なおみ(日本/日清食品)が、日本時間3月19日に待望の初のツアータイトルを獲得した。それも、グランドスラムに次ぐ「プレミア・マンダトリー」と呼ばれるカテゴリの大会で、日本人女子として初となる快挙だ。今回は優勝した「BNPパリバ・オープン」と続く「マイアミ・オープン」の試合の中で、特に印象的だった試合を振り返り、大坂の急激な成長の理由と今後のグランドスラムの展望を紹介する。

マリア・シャラポワ(ロシア)戦(「BNPパリバ・オープン」 1回戦)

大坂の快進撃は元世界ランキング1位から奪った勝利で始まった。スコアは6-4、6-4の快勝だったが、試合内容は激しいショットを打ち合う良い試合だった。元々シャラポワはサーブもショットも強打が持ち味で、多くの選手はその連続攻撃に耐えきれず敗れる場合が多い。しかし、粘り強くリターンをしてくる選手に対しては、ストロークの安定性に問題があるため試合を落とすことがある。今回は、その典型的な形だった。大坂は現在のシャラポワのボールのスピードと強さに負けないどころか、それ以上のものを持っている。さらに、サーブが強く安定していること、左右に振られてバランスが崩れてもショットが安定していること、フォアもバックも同じくらいの強度・安定性で打てることなどがシャラポワに勝っていた。

アグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)戦(「BNPパリバ・オープン」 2回戦)

パワーヒッター相手だけでなく、試合巧者のラドバンスカに対して6-3、6-2で勝った事は大きい。パワーヒッターには強くても、色々な技術を繰り出す技巧派に弱い選手は多い。大坂の場合はスコアの上では圧勝だが、やはりかなり苦労しており、それでも粘り強く返球していく姿勢が素晴らしい。力ではなく技術や戦術で優れたラドバンスカに勝ったことは大きく、打ち合いで粘られても対応できることを示した。テニスは、ブレークポイントなどのここぞという場面で勝ち取るかor守り切るかが勝敗を左右するスポーツのため、粘ってもいいから勝とうという気持ちが特に大切だろう。大坂は、足も速いしよく動き回れることも大きな魅力だ。

カロリーナ・プリスコバ(チェコ)戦(「BNPパリバ・オープン」 準々決勝)

強打のプリスコバが顔色なしだった。6-2、6-3でスコアだけでなく内容的にも大坂の圧勝であった。プリスコバはフォアが強力で、バックも構えて打てばクロスが素晴らしいが、左右のフットワークに難がある。大坂は強打では問題なく打ち返せるし、プリスコバのバックにボールを出すと、プリスコバはほとんど拾えない状態だった。最後の方はほとんど戦意喪失しているようにも見える、珍しい光景だった。

シモナ・ハレプ(ルーマニア)戦(「BNPパリバ・オープン」 準決勝)

過去0勝3敗、そして現世界ランキング1位に対しても、スコアは6-3、6-0で圧勝だった。大坂はストロークで圧倒し、粘りのハレプに対して負けず劣らず粘りを見せた。フットワークも対等で、ストロークの強打でハレプをなぎ倒した。これまで高い壁だったハレプをこのスコアで破ったことは、大坂の快進撃がまぐれでないことを物語っている。

ダリア・カサキナ(ロシア)戦(BNPパリバ・オープン 決勝)

カサキナは大坂と同じ20歳で伸び盛りの選手である。彼女も世界ランキング2位のカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、10位のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)、8位のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)といった大坂と同じくらいタフなドローを勝ち抜き、決勝の舞台に立った。既にタイトルの獲得経験があったこと、世界ランキングが大坂より上の19位で彼女も勢いづいていることを考えると、厳しい戦いが予想された。しかし決勝も6-3、6-2の圧勝。大坂は最後の最後までトーナメントを勝ち切る強さを、このチャンスで見事に発揮した。

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)戦(マイアミ・オープン 1回戦)

セレナは産休明けで、体調が不十分な部分があったかもしれない。しかし体も絞れており、勝つためにできるだけの準備をしてきたことは見て取れた。実際、試合は両者の激しい打ち合いに終始。大坂はセレナに対してフォアもバックもパワーでほとんど引けを取らず、ポテンシャルの高さを見せた。ただ大坂の方が左右の動きは良く、それが勝敗を決したと思われる。セレナはボールに追いつくのがやっとなので、その後のストロークがコースアウトする場面が多く、スコアは6-3、6-2で圧勝だった。

■急激な成長の理由とグランドスラムへの道

大坂はこれまでもケルバーやビーナスといった格上に度々勝利している一方、ランキングが下の選手に簡単に負けることも多く、精神的なもろさやネガティブな性格を指摘されてきた。若さもあり、仕方がない部分はあっただろう。

しかし、今年になりコーチがサーシャ・ベイジンに代わってから大きく成長した。ベイジンはこれまでセレナ、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、ウォズニアッキのヒッティングパートナーを務めてきた著名な人物。

試合でうまくいかずネガティブになりそうな場面があっても、ベイジンが話しかけてポジティブさを引き出しているように見える。

全てのスポーツは、心、技、体が必要だとよく言われるが、特に女子テニスの場合は心の安定性が重要視されている。高い能力を持ちながら、短命のチャンピオンで終わった選手はたくさんいる。大坂の場合、この部分が新しいコーチの元でかなり強化されたのだろう。少なくとも現実的にグランドスラムの頂点を目指すレベルには到達していると言って良い。

(テニスデイリー編集部)

※写真は大坂なおみ(右)とコーチのサーシャ・ベイジン(左)
(Photo by Harry How/Getty Images)

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