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コラム

テニスボールは何色? グリーン派とイエロー派に分かれる理由とは

写真はネクストジェネレーション・ATPファイナルズでボールを選ぶ選手

「テニスボールは何色?」こんなツイッターのアンケートがネットを賑わせている。2万9000人以上の回答者のうち52%が「グリーン」に票を投じた一方、「イエロー」も42%を集めた。誰もが見慣れているはずのテニスボールに対して、これほど意見が分かれるのはなぜだろうか? ある専門家は、同じドレスが「金と白」または「青と黒」に見えることで話題になった「ザ・ドレス」の写真に似た原理だと指摘する。また、朝型の人間にはテニスボールが「イエロー」に見えやすいのでは、という興味深い仮説も出ている。

◆テニス関係者の意見は?
 イギリスのメトロ紙(2月21日)によると、大手テニスボールメーカーのペン社は、テニスボールの色を「視認性の高いイエロー」と表現している。同社の上位組織であるヘッド社も「オプティック・イエロー」との呼び名を使う。

 また、アトランティック誌の記者が数社に問い合わせたところ、ガンマスポーツ社から「オプティック・イエロー!」との回答を得ている。ツイッターでは少数派となった「イエロー」だが、ボールメーカーの見解はイエロー寄りだと言えそうだ。

 意見が割れているのは、人間の色覚に原因がある。アトランティック誌が色覚の専門家にコメントを求めたところ、心理四原色(赤・緑・青・黄)の中でも、黄色と緑は感じ方の分かれやすい色であるという説明が得られた。これを裏付けるかのように、近代化の遅れている文化圏では黄色を表現する語彙が貧弱であり、緑に至ってはすべての文化圏で乏しい。テニスボールの色に議論があるのは、グリーンとイエローがもともと混同されやすいためだと言えるだろう。

◆環境光に目は騙される
 色の感じ方は、周囲の状況にも左右される。メトロ紙に対してペン社が説明したところによると、例えば黄色がかった物体の近くで観察すると、同じボールでも相対的にグリーンに見えやすい。

 影響する要因は他にもある。アトランティック誌では前述の色覚の専門家が、「ザ・ドレス」の写真との関連を指摘している。人によってドレスが異なるカラーに見えるのは、それぞれが無意識に異なる環境光を想定しているためだ。例えば暖色(赤系)の光に照らされている状況を想定した場合、人間の視覚は赤の成分を写真から無意識に差し引き、結果としてドレス自体は青と黒のように感じられる。同誌記者が調査したところ、少数の例外を除き、ボールがイエローだと答えた人はドレスは白と金、ボールがグリーンだとした人はドレスは青と黒に見えると回答した。すなわち、人によって色処理の傾向が固定されていることが明らかになった。

 これについて色覚の専門家は、あくまで仮説だと強調した上で、ライフスタイルに由来する可能性を指摘している。朝型の人は寒色の光(晴れた空など)に慣れているため、ボールの色から青を差し引いた結果、黄色がかった色に認識するというからくりだ。

◆なぜ現在の色に?
 インターネットを騒がせたテニスボールの色騒動には、どうやら環境光やライフスタイルが影響していることがわかった。では、そもそもなぜ現在の色に落ち着いたのだろうか?

 ザ・サン紙は、テレビ放送という意外な理由を紹介している。白黒テレビの画面には白いボールが芝生に映えたが、カラー画面の時代になると見づらいことが判明した。オレンジやネオンピンクなど様々な色が試されたのち、最終的に「オプティック・イエロー」が優れているという結果に落ち着く。以来、ウインブルドンでも1986年から採用されるなど、多くの大会で使用されることになった。

 メトロ紙では、公式試合ではイエローまたはホワイトの球を使うというルールを紹介している。しかし例外もあり、ジュニア大会では、赤、オレンジ、緑のボールの使用が認められている。こどもの場合、身長に応じた低めのバウンドが適しており、弾力性の弱さに応じて異なるカラーリングが設けられている。

 どうやらボールの色には、人間の色覚やテニス放送の歴史など、興味深い事実が隠されているようだ。ゲームを観戦する際は、何色に見えるか考えてみるのも面白いかもしれない。

(テニスデイリー編集部)

※写真はネクストジェネレーション・ATPファイナルズでボールを選ぶ選手
(Paolo Bona / Shutterstock.com)

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