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中国テニス選手の失踪劇、アメリカ大統領も巻き込む事態に

2020年「WTA250 深セン」でのペン・シューアイ

元ダブルス世界ランキング1位のペン・シューアイ(中国)が、中国共産党の最高幹部の一人で元副首相の張高麗氏から性的暴行を受けたほか、不倫関係にあったとソーシャルメディア上で告発したのは今月2日のこと。その後ペンは消息不明となっており、アメリカのジョー・バイデン大統領をも巻き込む事態へと発展している。米大手ニュースメディア CNNなど複数のメディアが報じた。

35歳のペンが中国版TwitterのWeibo(微博)に投稿した内容によれば、およそ3年前の2018年頃、政界を引退した張氏は、妻もいる自宅でペンに性的暴行を加え、それ以前にも二人には肉体関係があったという。この投稿はすぐさま中国当局によって削除され、アカウントにも規制をかけられたペンは以後消息を絶っている。そんな中、11月17日にペンがWTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモン会長に送ったとされるメールを中国国営放送のCGTNが公開。そこには告発を「真実ではない」と否定し、消息については「家で休んでいるだけで何も問題ない」といった内容が記されているが、本人によって書かれたものかは疑わしく、ペンの安否がいっそう心配されている。


中国側の対応を受けてサイモン会長は声明を発表し、「彼女が無理やり書かされたのか、誰かが代わりに書いたのか、それはわかりません。しかし、現時点でこのメールの信憑性は低く、彼女と直接話すまでは安心できません。ペン・シューアイは中国政府の元高官に対する性的暴行の疑惑について、信じられないほどの勇気をもって告発してくれました」と述べている。また、サイモン氏は中国のテニス協会からはペンが無事であると伝えられているが、あらゆる手段を駆使しても本人とは連絡が取れていないことを明かした。


女子のシーズン最終戦となる「WTAファイナルズ」は、今年は新型コロナウイルスの影響によりメキシコのグアダラハラで開催されたが、来年から2028年までは契約通り中国の深センで行われることになっている。そのほかにも2022年には10大会が中国で開催される予定となっており、ここ10年ほどでテニスの人気が高まった中国はWTAにとって大きな収入源となる。しかし、CNNのインタビューに応じたサイモン会長は、ペンの告発に対して適切な調査が行われなければ、中国から撤退することも辞さない姿勢を示した。「中国とのビジネスを停止し、それに伴うすべての複雑な問題に対処する覚悟はできています。今回の件はビジネスよりもはるかに大きな問題だからです。女性の主張は尊重されるべきもので、監視されるべきものではありません」


さらに、アメリカでは共和党のジム・バンクス下院議員が、バイデン大統領に対して中国に圧力をかけるよう促している。大統領に宛てた書簡でバンクス氏は「ペン・シューアイの安否について我々が納得できる回答を中国が出してくるまでは、中国とのいかなる対話も中断するようお願いしたい。また、ペン・シューアイを黙らせ、その人権を侵害していることについて中国当局が適切に対処しなければ、中国で開催される2022年の冬季オリンピックに悪影響を及ぼし、ボイコット運動を助長させることになると、中国当局に警告していただきたい」と述べている。


IOC(国際オリンピック委員会)も短い声明を発表しているが、「このような性質の問題を解決するには平和的な外交が最良である」として事件への言及を控えた。


一方、テニス界からも心配の声が多くあがっており、元世界女王の大坂なおみ(日本/日清食品)やセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)らがSNS上で一連の出来事にショックを受けていることやペン本人と家族を心配する言葉などを綴っている。#WhereIsPengShuai(ペン・シューアイはどこ?)というハッシュタグも作られ、事件は世界中の関心を集めている。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2020年「WTA250 深セン」でのペン・シューアイ
(Photo by Zhong Zhi/Getty Images)

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