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オフコート

女子トップは16位、男子は34位。テニスのインフラ作りに成功した国

「東京オリンピック」でのリバキナ

カザフスタンがテニス界で存在感を見せ始めている。9月20日付の世界ランキングを見てみると、女子では「東京オリンピック」ベスト4のエレナ・リバキナが16位、男子では今季2大会で準優勝のアレクサンダー・ブブリクが34位で、それぞれカザフスタン勢のトップに立っている。男女共に世界ランキング300位以内に4人ずつランクインしているカザフスタンの台頭は、固い結束と鋼のような決意をもって長い年月を掛けて努力し達成されたものだ。ATP(男子プロテニス協会)公式ホームページが伝えている。

「これはたまたま起こったことではない。努力の結果だ」と語るのは元世界ランキング33位のアンドレイ・ゴルベウ(カザフスタン)。カザフスタンの首都で行われた「ATP250 ヌルスルタン」(カザフスタン・ヌルスルタン/9月20日~9月26日/室内ハードコート)で取材に答えた。「カザフスタンテニス協会の僕たちは、一つのチームとして行動している。もちろん、選手はそれぞれ自分のコーチやチームを持っているけれど、協会として一つに団結しているんだ。同じ方向に向かっているのさ」


カザフスタンテニス協会は、小さな子供からプロ選手まで、すべてのプレーヤーにプラットフォームを提供してきた。2021年にはITFフューチャーズを27大会、ATPチャレンジャーを7大会、そしてATP250大会とWTA250大会を2週連続で開催するなど、数多くの大会を実施している。


ゴルベウはカザフスタンの若者たちに対し、自分の若手時代にはなかった支援をしっかり活用するよう勧めている。「すごくいいスタート位置が用意されている。テニス協会会長自身があらゆる方面に関わりながら原動力となり、皆を助けようとしている。そして同時に、しっかりと基礎から作り上げていこうとしている」とゴルベウは続けた。


「僕の世代の選手は、コートもない、お金もない、支援もない、ただ両親からの援助と自分の実力だけが頼り、という時代を経験している。いわゆる“恵まれない人生”から抜け出そうという意思と願望だけを頼りに、僕たちは何かを成し遂げられた。そこに今のようなインフラと協会からの支援があればどうなると思う?若手はそれを活用すべきだ」


カザフスタンのテニス環境が向上したのは、2007年に実業家であり慈善活動家でもあるボラート・ウテムラトフ氏が、カザフスタンテニス協会会長に就任してからだ。ウテムラトフ氏は自己資金や政府の支援金を投じ、テニスの発展に尽力してきた。その成果はなかなかのものだ。カザフスタンは人口1800万人を有し、内陸国としては世界最大級の広さを持つが、国内に35ものインドアテニスセンターを建設しインフラを整えた。


そして、ITF(国際テニス連盟)で25年以上若手選手の育成に関わってきたデーブ・マイリー氏を招き、テニスディレクターに任命した。「すべての選手を知っているよ。彼らのコーチも、彼らが何時間プレーしているのかも、フィットネストレーニングを取り入れているのかもね。私達は、彼らが成長するための大会を準備している。選手の才能を伸ばしながら、他の国でも行われているような正しいトレーニングをしているか確認している」とマイリー氏は語った。


すべてのテニスセンターでは10歳以下のプレーヤー向けのプログラムが準備されており、若い頃から試合で競い合うことが重要視されている。例えば、10歳以下の将来有望な選手たちのために、“マスターズ”大会が14も開催されている。そこではそれぞれの選手が5試合を戦い、順位付けがされる。


他にも、マイリー氏のチームはたくさんの子供たちの中からトップクラスの選手を選び、ヌルスルタンにあるテニスアカデミーへ斡旋もしている。アカデミーには宿泊施設があり、様々なサーフェスのコートが33面用意され、週あたり20時間、選びぬかれたコーチからテニスの指導を受けることができる。まさにワールドクラスの待遇だ。インフラも大会も整っており、カザフスタンのあらゆる年齢層の子供たちが参加することができる。


このような協会の支援もあり、ジュニアツアーではカザフスタンの選手の活躍が目立ってきている。女子はトップ200に3人、男子はトップ400に2人がランクイン。彼らは毎年1月にその年のランキングの目標を決め、トレーニングを積んでいく。


「私たちはコーチらと協力し、世界で求められる技術的、戦略的、身体的、そして精神的な強さを身に着けるためのトレーニングを確立しようとしている。試合での競争とランキングを原動力とし、コーチングと身体トレーニングで支援する。体系化しているけれど、もちろん、柔軟にするべきところも忘れない」とマイリー氏は続けた。その結果、あらゆるレベルの国際的なテニス大会で、カザフスタンの選手を見ることが多くなってきたというわけだ。


「皆、もう仕組みは分かっているよ。10歳以下の選手としてテニスを始めれば、やがて“デビスカップ”や“ビリー・ジーン・キング・カップ”に国の代表として出場するチャンスがある、ってね」とマイリー氏は語った。「目標の1つとして、3年以内に男女2人ずつジュニアグランドスラムへ出場させることを掲げている。結構現実的な目標だと考えているよ。最終的な目標は、もっと強い選手をもっとたくさん輩出したい。テニス人口も増やしたいが、同時により強い選手にはトップに行く道があることを示したい。ジュニアやプロレベルの代表チームに強い選手を送り出したいんだ」


(テニスデイリー編集部)


※写真は「東京オリンピック」でのリバキナ
(Photo by Abbie Parr/Getty Images)

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