マイページ

オフコート

テニスのニュースタイル、ハイブリッド

※写真はメドベージェフ(左)とズベレフ(右)

テニスの試合に勝つ方法はたくさんある。今年の「全米オープン」期間中に、大会公式サイトUSOpen.orgでは一部の試合を統計分析によって深掘りすることで、試合のハイライトを伝え、選手のパフォーマンスについてのさらなる洞察と数値を明らかにしている。

「ゲームスタイル」という言葉は、選手の全般的な戦略や傾向を指す。それはしばしば、選手の身体的な特徴や技術的な強み、それにどのようにテニスを学んだかによって形成される。以下に最も極端なゲームスタイルのうちの2つと、テニスの進化の過程を可視化するため、「全米オープン」のデータを分析した結果を紹介しよう。


ゲームスタイル1:ビッグサーバー


最も攻撃的なゲームスタイルの1つが、ビッグサーバーだ。伝統的に、平均的な選手よりもずっと背が高いことを利用して実現するスタイルで、速いサーブを打ってプレーを支配し、ベースラインの内側に入り込むことを可能にする。しかし、とても背が高いということは動きに負の影響を与える。結果的に、ベースラインでの打ち合いや守備のスキルは標準以下となる。


ここでは、例として身長211㎝のイボ・カルロビッチ(クロアチア)と、身長208㎝のジョン・イズナー(アメリカ)を分析した。


サーブ速度
カルロビッチ:時速130.3マイル(約209.70㎞)
イズナー:時速125.8マイル(約202.46㎞)
「全米オープン」平均:時速116マイル(約186.68㎞)


返球時の位置(ベースライン内部/2m以内/2m以上後方)
カルロビッチ:56% / 36% / 8%
イズナー:43% / 45% / 12%
「全米オープン」平均:26% / 46% / 26%


ベースラインからのポイント獲得率
カルロビッチ:32%
イズナー:29%
「全米オープン」平均:50%


守備的なポイントの獲得率
カルロビッチ:13%
イズナー:15%
「全米オープン」平均:38%


結果として、ビッグサーバーはサービスゲームをとても高確率でキープするが、相手のサービスゲームをブレークする機会を作ることには、平均的な選手よりも困難を感じる。


ゲームスタイル2:カウンターパンチャー


ビッグサーバーと対極にいるカウンターパンチャーは、安定したベースラインからの打ち合い、俊敏な動き、そして守備によって遅いサーブを埋め合わせるタイプで、身長は低めのことが多い。加えて、カウンターパンチャーは守備スキルに自信があり、コート後方に構えることで、ボールに追いつく時間を生み出す。


例として、身長170㎝のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を分析した。


サーブ速度
シュワルツマン:時速103マイル(約165.76㎝)
「全米オープン」平均:時速116マイル(約186.68㎞)


返球時の位置(ベースライン内部 / 2m以内 / 2m以上後方)
シュワルツマン:18% / 50% / 32%
「全米オープン」平均:26% / 46% / 26%


ベースラインからのポイント獲得率
シュワルツマン:59%
「全米オープン」平均:50%


守備的なポイントの獲得率
シュワルツマン:42%
「全米オープン」平均:38%


結果的に、カウンターパンチャーはリターンゲームで恒常的にプレッシャーをかけることができる。しかし、自分のサービスゲームをキープするためには、人より努力をしなければならないことが多い。


これらのゲームスタイルの戦いは公平に思える。どちらにも強みと限界があり、それによって見応えある試合が生まれるのだ。しかしテニスは進化し、選手たちも進化した。


ゲームスタイル3:ハイブリッド


ビッグサーバーの身長と、カウンターパンチャーの動きと安定性を兼ね備えた選手を想像してみよう。そんな選手は無敵になり得る。強力なサーブでサービスゲームを効率よくキープし、リターンの時にはコート後方に構えて自分の安定したプレーと動きを信頼する。対戦相手は息つく暇もないだろう。


身長198㎝のダニール・メドベージェフ(ロシア)と、同じく身長198㎝のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を紹介しよう。どちらの選手も、平均よりうんと早いサーブを打つ。しかし、返球時の位置の分布を見れば、彼らは安定したプレーと動きの良さに自信があり、コート後方に構えるのを厭わないことがわかる。


サーブ速度
ズベレフ:時速130マイル(約209.22㎞)
メドベージェフ:時速120マイル(約193.12㎞)
「全米オープン」平均:時速116マイル(約186.68㎞)


返球時の位置(ベースライン内部 / 2m以内 / 2m以上後方)
ズベレフ:26% / 41% / 33%
メドベージェフ:27% / 42% / 31%
「全米オープン」平均:26% / 46% / 26%


ベースラインからのポイント獲得率
ズベレフ:58%
メドベージェフ:59%
「全米オープン」平均:50%


守備的なポイントの獲得率
ズベレフ:44%
メドベージェフ:40%
「全米オープン」平均:38%


強力なサーブで対戦相手を痛めつけ、同時に安定したプレーで壁となる選手は、どんな対戦相手にとってもかなり厄介だ。今回のメドベージェフの初優勝は、彼らの時代の幕開けを告げるのだろうか。


(テニスデイリー編集部)


※写真はメドベージェフ(左)とズベレフ(右)
(Getty Images)

オフコートの関連記事

PAGE TOP
menu