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オフコート

片手バックハンドは滅びゆく芸術?元世界1位選手が語る

写真は2010年「全豪オープン」でのエナン

ジュスティーヌ・エナン(ベルギー)の美しいバックハンドは多くの選手を苦しめ、最強のバックハンドと讃えられた。エナンの片手バックハンドは、リシャール・ガスケ(フランス)、スタン・ワウリンカ(スイス)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)など男子選手のバックハンドとも比較されるほどの武器だった。そんなエナンが先日、片手バックハンドの未来について語った。英スポーツメディアSky Sportsが伝えている。

エナンはグランドスラム7勝を誇る元世界女王だが、現役時代は素晴らしい片手バックハンドで多くのファンを魅了した。エナンのバックハンドは体を横向きにしたクローズドスタンスから、肩と腰を回転させ、セミウエスタングリップを使ってボールにトップスピンをかけ、ネットの向こうに弾き返すというものだった。ラケットヘッドを頭の高さまで上げ、素早くかつ力強くボールに回転を加える。この素晴らしいテクニックで、身長167cmという小柄な選手から放たれるとは思えないボールが相手のコートへと飛んでいく。


現在現役の選手で片手バックハンドを使っている選手はほんの一握りだ。特に今は強力なグラウンドストロークが主流であることも、片手バックハンドが不人気となる一因となっている。今後片手バックハンドは滅びゆく運命なのだろうか?


「最近はもう人気がなくなってきたわね」とエナン。「私はバックハンドの練習をたくさんしたわ。思ったほど自然にできる動作ではなかったからね。私が8歳から10歳の頃は、バックハンドの練習をたくさんしていたわ。私はあまり力がある方じゃなかったから、父や、他の多くの人も両手でさせたがったの。でも、それはそれでまた大変だっただろうけど」


「私は、片手バックハンドがとても美しいと感じていた。シュテフィ・グラフ(ドイツ)やステファン・エドバーグ(スウェーデン)を見て、彼らはスライスを多用していたかもしれないけれど、私にとってこうやってバックハンドを打つことは普通のことだったの」


「たくさん練習が必要だったわ。テニス選手を夢見る小さい女の子がそれをやりたがるのは理解できるでしょ。あまりパワーがない子にとっては、技術的にとてもクリーンなものを作り上げることが大事なの」


エナンは、試合のスピードが早くなり反応速度が求められるようになると、多くの選手がコート全体を使ったパワフルなショットに頼りがちになると認めた。それでも、多様なショットを使い分けることは今日の試合でも重要だと語る。


「若い選手にできるだけ多くの武器を授けることが必要だと強く感じているわ。冒険させて、色々試させて、感じてもらうの。毎回同じフォアハンドとバックハンドを打つような選手にならないようにね」


「スライスやドロップショットを持っていれば、防御もできるし、リズムを変えることもできて、たくさんの事ができるようになる。ただ、昔みたいに人気が出るかはわからないけれど」


現在、エナンはベルギーのルーヴァン=ラ=ヌーヴにあるジュスティーヌ・エナン・アカデミーを率いており、元コーチのカルロス・ロドリゲス氏と一緒に未来のテニス選手育成に励んでいる。ただし、若い選手に片手バックハンドを伝授することにこだわりは持っていないという。


「ここで片手バックハンドを使う選手を育てているわけではないの。個性を尊重しなければいけないわ。アカデミーでは、選手の創造力を育て、テニスを楽しめるようにすることを信念としているの」


「ある子供に単にボールを打って、とだけ言っても、その子はその後の人生で使えるような色々な武器を身につけることは出来ない。代替案が無いと、時にとても難しい状況に陥ってしまう」とエナンは語った。


手首の怪我のため現在休養中のドミニク・ティーム(オーストリア)も、美しい片手バックハンドの使い手だ。ティームは最初から片手バックハンドに憧れていたエナンとは異なり、11歳の頃に両手バックハンドから片手バックハンドへ変更したそうだ。そして、エナン同様かなりの練習時間をバックハンドに割いたという。


「実は、コーチの判断だったんだ。僕は変更した当時はたったの11歳だったからね。すごく練習したよ。多分、僕の自然なショットスタイルは両手バックハンドだったんだろうね。多くの人が思っているみたいに、自然にできるショットじゃないんだ。すごく練習した結果のショットなんだよ」


「でも、僕の正直な意見を聞きたいなら、もし僕がコーチになったり、自分の子供にバックハンドのスタイルを選ばせるなら、たぶん両手バックハンドを使わせるだろう。男子でも女子でも、今の試合スタイルにはそのほうが少し有利だからね」


だがティームと元世界女王のリンゼイ・ダベンポート(アメリカ)は、現世界女王のアシュリー・バーティ(オーストラリア)は、両手と片手のバックハンドを見事に使いこなしているという点で意見が一致した。「バーティは両手で強いバックハンドを打ち、片手で見事なスライスを打つ。完璧な組み合わせね」とダベンポート。


最後に、自分のバックハンドの打ち方をどう感じるかと聞かれたティームは次のように答えた。「キレイに見えるけど、僕よりもっと美しい片手バックハンドを打つ選手は他にもいるよ。僕はスタン・ワウリンカ(スイス)のが一番好きだな」


(テニスデイリー編集部)


※写真は2010年「全豪オープン」でのエナン
(Photo by Paul Crock-Pool/Getty Images)

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