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オフコート

ドキュメンタリーで見せた大坂なおみの傷つきやすい素顔

「全豪オープン」での大坂なおみ

テニス界のスーパースターである大坂なおみ(日本/日清食品)は、メンタルヘルスを理由に「全仏オープン」で記者会見を受けることを拒否した。そして彼女は自分のやり方で発信している。グランドスラムで4回優勝を果たしている彼女は米TIME誌にエッセイを投稿。またRacket Magazineのゲスト編集者となり、Netflixの「大坂なおみ」というドキュメンタリーの制作に関わった。この三部作のドキュメンタリーでは過去の映像も交え、大坂がテニス界の大スターになるまでの時に生々しいまでの道のりを見ることができる。米経済誌Forbesが報じた。

このドキュメンタリーは、将来を垣間見せるプロ転向時期から、女子シングルスでアジア人初の世界ランキング1位に上り詰めた瞬間等を見せてくれる。大坂は2018年の全米オープン決勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にドラマチックな勝利を収めた。その勝利が世界の注目を集め、また幅広い背景の人々にアピールする、母親は日本人、父親はハイチ系アメリカ人という国際的な出自と相まって、彼女は世界で最も市場価値のあるアスリートの一人となった。


23歳の大坂は、女性アスリートの中で史上最高額の所得を得ている。昨年の収入は6000万ドル(約66億1260万円)で、その内の5500万ドル(約60億6155万円)はスポンサー契約から来ている。契約している会社はナイキ、タグ・ホイヤー、マスターカード、日清食品、日産、全日空、Sweetgreen、グーグル、ルイ・ヴィトン、Workdayなど20社以上に及ぶ。これはロジャー・フェデラー(スイス)、レブロン・ジェームズ、タイガー・ウッズといった大物アスリートたちに匹敵する額だ。


だがコート上での成功、金銭的成功、世間からの賛美は、彼女を厳しい衆人環視の下に置くことになった。ドキュメンタリーでは、彼女が周りから猛烈に注目されることに対し居心地の悪さを始終感じているのがわかる。そして、時に自分に自信が持てずに葛藤していることを認めている。


「みんな私のことをテニスプレーヤーとして知っている。じゃあもし私が強いテニスプレーヤーじゃなかったら、私は何?」と大坂がつぶやく。


友人でもあり、助言をくれる間柄でもあった元NBAスターのコービー・ブライアントの死後、試合で負けが続いた大坂は、彼が教えてくれた「マンバメンタリティー」を実践できているだろうかと悩んだ。


「自分は彼を失望させているんじゃないかと思った。私はテニスで、彼の教えてくれたメンタリティーを実践していくはずだったのに、今の自分は何?グランドスラムで勝てていないし、メンタルの弱さで試合に負けてばかり。それって、彼と全然違う。彼とそのことで沢山話をしたのに、話したことを私は全く実行してない」


「だから彼にテキストを書いたの、こんな時はどうしたらいいのと。だけど送信しなかった、それでは負け犬みたいだから。そしてもう、二度と彼とその話をする機会はない」


オープニングのシーンは、姉のまりさんとテニスの練習をしている子供の頃のホームビデオだ。だがこのドキュメンタリーは、彼女の幼い頃のテニスについてより、彼女がどんな人間に成長したかに重点を置いている。


大坂は大切な事柄を訴えるために自分の立場を活用し、パワフルな発信者となった。コロナ禍で行われた2020年の「全米オープン」では、警察官による暴力の被害者であるジョージ・フロイド氏らの名前を書いたマスクを付けて登場し、人種差別に対する意識を世界中に呼び起こした。


彼女はテニス以外の様々な分野にも興味を示し、ニューヨーク・ファッションウィークの舞台に登場したり、自分のスキンケアライン等も始めた。またドキュメンタリーの中では彼女の家族やボーイフレンドとの強い繋がりも見ることができる。ソフトな話し方の彼女が、自身の傷つきやすさについてやその他、記者会見で見るよりももっと多くの面を見せてくれている。ドキュメンタリーのエグゼクティブ・プロデューサーには、NBAのスターであるレブロン・ジェームズも名を連ねている。



※為替レートは2021年7月27日時点


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全豪オープン」での大坂なおみ
(Photo by Fred Lee/Getty Images)

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