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テニスで最も難しいこと:「全仏オープン」「ウィンブルドン」連覇

写真はフェデラー(左)とナダル(右)

年間の大会スケジュールを見ると、クレーコートの「全仏オープン」とグラスコートの「ウィンブルドン」の2つのグランドスラムの間隔は短く、選手たちはこの短期間で違うサーフェスに対応しなくてはならない。そのため、同じ年にこの2つの大会で優勝することは非常に難しいとされる。今年は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着くのを待ち、観客数を増加させるために「全仏オープン」の開幕が1週間延期されたので、2大会の間隔はさらに短くなり、連続優勝はより難しくなっている。WTA(女子プロテニス協会)公式ウェブサイトが全仏・全英連続制覇の難しさを伝えた。

1968年にテニスがオープン化されてから、女子選手で同じ年に両大会で優勝できたのはたった6人。マーガレット・コート(オーストラリア)、ビリー・ジーン・キング(アメリカ)、クリス・エバート(アメリカ)、マルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)、シュテフィ・グラフ(ドイツ)、そしてセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)のみ。男子選手となるとさらに少なく、達成したのはロッド・レーバー(オーストラリア)、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)、ラファエル・ナダル(スペイン)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)の4人だけだ。


ここに法則が見えるだろうか?「全仏オープン」「ウィンブルドン」のダブル優勝を達成した選手は、いずれもグランドスラムで10回以上優勝している強者ばかり。それだけ全仏・全英の同年制覇が難しいということの証明だろう。


このダブル優勝を2002年と2015年に達成しているセレナは、2015年の大会中に記者に対し冗談っぽく語っている。1つのグランドスラム大会でも2週間で全7試合という優勝への道のりは精神的にも身体的にも辛く苦しいものなのに、数週間のうちに2つの全く異なるサーフェスのグランドスラム大会で優勝を狙うためには、「気が狂いそうになる」状態を耐え抜く能力が必要だ、と。


サーフェスに得手不得手がある場合は更にハードルが高くなる。例えば選手の特長が、グラスコートかクレーコートのどちらか片方では有効に働くが、両方でとはいかない場合などだ。セレナのサーブは史上最高と称されることが多い。だが、彼女のコーチであるパトリック・ムラトグルー氏は、彼女のサーブはグラスコートでは強い武器だがクレーコートではそれほど威力を発揮できないと語る。「クレーコートでは、彼女は最高のコンディションである必要があるんだ。サーブがそこまで効果的ではないから、より努力が必要になる。すべてのラリーが戦いさ」


グランドスラムで通算12回優勝しているビリー・ジーン・キングは、「全仏オープン」では一度しか優勝していない。十代で初めてクレーコートでプレーした時は、足の下にビー玉が転がっているような気がしたという。クレーコート上で「スライド」する方法を習得できない選手も多いが、キングは必死の努力を重ね、1972年にはクレーの名手だった当時16歳のエバートの、プロテニスコーチだった父親に教えを乞うた。それというのも「本当の名選手なら一度は”全仏オープン”で優勝すべきだ」と言われることにうんざりしていたからだった。


1974年にはエバートが、1982年と1984年にはナブラチロワがダブル優勝を達成。当時「ウィンブルドン」のグラスコートは今よりもっと球足が速かった。「全仏オープン」のクレーコートとの差はあまりに大きかったので、ベースラインでのストローク戦を得意とする選手たちでさえ「ウィンブルドン」ではサーブ&ボレーに挑んだ。それだけ、ベースラインにとどまっていてポイントを取ることが難しかったからだ。だがもちろん、普段はやらないサーブ&ボレーに挑むことも十分に困難だった。「全仏オープン」で3度優勝しているマッツ・ビランデル(スウェーデン)が言うことには、「(サーブ&ボレーを得意とする)オーストラリアの選手たちは、僕らの不器用なサーブ&ボレーを見て笑ってたよ」


「全仏オープン」「ウィンブルドン」のダブル優勝を4回(1988、1993、1995、1996年)達成しているグラフが登場した頃には、「ウィンブルドン」の球足は大分遅くなっていた。クレーコートで育ち、運動能力が高く、タフさ、パワー、創意工夫を兼ね備えたグラフは、その時代に最適な選手だった。そしてグラフは93年のインタビューで、多様なショットを成功させることができる自分の能力に自信があると語った。このような自信を持つことこそ、選手が手にするべき最後のピースなのかもしれない。


2021年の「全豪オープン」同様に、「全仏オープン」と「ウィンブルドン」でも選手たちは定期的に新型コロナウイルスの検査を受け、大会が定めるホテルに宿泊し、“バブル”の中で過ごさなくてはならない。昨年第2次世界大戦以降初めての中止となった「ウィンブルドン」は、2年ぶりに開催される。今年「ウィンブルドン」で優勝するには、「全仏オープン」1週間延期により短縮されたグラスコートシーズンにも対応しなければならない。テニスで最も難しいと言われる全仏・全英の同年制覇は、今年はこれまでよりさらに厳しいものとなりそうだ。


(テニスデイリー編集部)



※写真はフェデラー(左)とナダル(右)
(Getty Images)






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