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オフコート

将来のためにオンライン教育で学ぶプロテニス選手たち

「ATP250 ブエノスアイレス」でのムナール

4月の初め、ジャウメ・ムナール(スペイン)は忙しくしていたが、祖国スペインで行われた2大会で連続して決勝に進出したことだけがその理由ではなかった。コート上では、23歳のムナールはマルベージャでのチャレンジャー大会と、「ATP250 マルベージャ」で鮮烈な印象を残した。しかしコート外では、ムナールはそれ以上に大きな課題に忙しく取り組んでいた。一生懸命に勉強し、再び学生として過ごしているのだ。

選手生活と並行して高等教育を受けようとする選手は年々増えており、ムナールもその1人だ。パレルモ大学、インディアナ大学イースト校、オンライン教育サービス企業のコーセラなど一流の世界的機関との提携のもと、ATPツアーは選手たちに英語とスペイン語での多様なリモート教育の機会を提供している。ATP公式ウェブサイトが伝えている。


「感染症の大流行の間、時間がたくさんあった。本を読んだり映画を見たり、テレビを見たりして何時間も過ごした。ある時それをやめてこう思った。“なぜこの時間を何か本当に役立つことに使わないんだ?”って。それで、ATPの選手向けの福利厚生を見てみたんだ。コーセラがその中にあった」


コーセラは、イェール大学、ミシガン大学、グーグル、IBMといった世界的に有名な大学や企業の参加を得て大規模な公開オンライン講座を提供している企業だ。コーセラのおかげで、ムナールは自身が関心を持つトピックについて学び、教育の世界に再び足を踏み入れる機会を得た。ツアーの中断期間を勉強のために使ったのはムナールだけではない。2020年、現役と引退した選手が100人以上コーセラの講座に登録した。


その1人であるマーカス・ダニエル(ニュージーランド)は、コーセラで講座を履修した後の2020年11月に「ハイ・インパクト・アスリーツ(HIA)」というチャリティー・プラットフォームを創設した。


「実はコーセラは以前にも何度か利用したことがあって、とても使いやすいと知っていた。僕が履修した効果的な利他主義の授業は、社会に恩返ししたいという僕の情熱に再び火をつけてくれて、HIAみたいなことを始めるために僕のお尻を叩いてくれたんだ」


ムナールの場合、高校を卒業した後に経済学の学部過程に入学していたが、コーセラでの勉強を経て、学士過程に戻って修了する気になったという。現在23歳のムナールは、南米のトップ大学の1つであるパレルモ大学に入学し、4月はフルタイム相当の講座を受講した。


「勉強や授業、学びに脳を集中していると、テニスから離れて息抜きをすることができる。選手たちは毎日テニスクラブにいる。一日中、小さな黄色いボールを見つめているんだ。
同じことばかりでなく何かを学び、新しいことに心を開くことは、いつだって素晴らしい。誰にとっても素晴らしいことだと思うよ」


ATPとの提携のもと、パレルモ大学はスぺイン語での幅広い学部課程や大学院課程、そして短期講座向けの奨学金をATP所属選手に提供している。学びの過程は全てオンラインで完結するため、選手たちはテニス選手としてフルタイムで働き世界を旅するかたわら、援助を受けながら世界的に名の知れた大学での教育を受けることができる。


2020年7月に提携が開始してから、ムナールやフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン)を含む8人の現役選手が学位取得を前提とする課程に入学した。


ラジーブ・ラム(アメリカ)は、インディアナ大学イースト校のオンライン課程で学位を取得した選手の1人だ。同大学はATP所属選手に奨学金を提供している他、選手たちの学びを全面的に支援するために柔軟に対応し、個別の学業アドバイザーも用意している。こうした提携のほかにも、ATPツアーは、選手らがテニス引退後の生活にうまく適応できるようにするための教育機会を得られるよう、支援を行っている。


最近では、パブロ・アンドゥハル(スペイン)やマシュー・エブデン(オーストラリア)を含む7人の選手たちが、ハーバード大学の「クロスオーバー・イントゥ・ビジネス」という半期のプログラムに参加した。このプログラムでは、ハーバード大学のビジネススクールでMBAを学んでいる学生たちが、プロスポーツ選手たちのメンターとしてマッチングされる。このプログラムで事例についての議論や分析をすることで、選手たちはより良いビジネス上の意思決定を下せるようになるため、現役期間中や引退後にビジネス活動に取り組みやすくなる。


「実際の事例に取り組めたのがすごく嬉しい。事例について話をして、メンターとたくさん討議をしたことはすごく役立ったし、新しいアイデアが湧いた。そうした事例をどうやって運営するか、こういう人々に説明してもらえるというのはとても重要で、得難い機会だと思う。この経験は将来僕が別のことを達成するのに役立つはずだ。とても感謝しているよ」とアンドゥハルは話す。


最高レベルでテニスをプレーしながら高等教育を受けるというのは、まるでせわしないジャグリングのように最初は思えるかもしれない。しかし、毎日1時間半を勉強のために取っておくムナールのような選手にとって、テニスと勉強との間で最適なバランスを見つけることは有益な経験となっている。


「慣れが必要だ。テニス選手を続けながら勉強したければ、当然こういうことをしなければいけない。でもそれは素晴らしいことだ。少なくとも僕の考えではね。ATPとパレルモ大学を通してそうする機会を得られた。1つのことに集中するだけじゃなく、この2つを組み合わせるのは僕にとっては素晴らしいことだよ」とムナール。


「人生は長い。だけど漫然と時を過ごすことができるほど長くはない。僕は1秒1秒を有効に使いたいし、ATPがもたらしてくれるこうした機会を活用すれば、それができると思うんだ」


(テニスデイリー編集部)


※写真は「ATP250 ブエノスアイレス」でのムナール
(Photo by Marcelo Endelli/Getty Images)

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