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オフコート

全米王者が語るグランドスラム優勝のプレッシャー

「全米オープン」でのティーム

足は重いが、心は軽い。ドミニク・ティーム(オーストリア)は、初めてのグランドスラム優勝を勝ち取った2020年シーズンの終わりをそんな状態で迎えた。「全米オープン」優勝というキャリア最大の勝利のほんの数ヶ月後、母国オーストリアで開催された「ATP500 ウィーン」では地味に終わった。2021年は相手の途中棄権による1勝を含めてここまで5勝にとどまっている。そんなティームが、グランドスラム優勝のプレッシャーや自身のプレーについて語った。インドのメディアThe Times of Indiaが報じている。

世界ランキング4位のティームは、2月に開催された「全豪オープン」を残念な形で終えた。4回戦でグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)にあっさりと敗れたのだ。次に出場した「ATP250 ドーハ」では1勝のみ。続く「ATP500 ドバイ」では初戦を突破することすらできなかった。


昨年ティームは「全豪オープン」決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦し、第5セットを4-6で落として敗れた。27歳のティームはその時に、最高のプレーをすればグランドスラムで優勝でき、ジョコビッチ、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)というビッグ3が我がものとしてきた舞台を自分のものにできるのだと気づいた。そして9月の「全米オープン」で初めてのグランドスラム優勝を手にし、その重圧を意識しないままに、シーズン末の「Nitto ATPファイナルズ」では決勝まで勝ち進んだ。


「あの気づきによって、すごい重圧がのしかかってきた。“全米オープン”ではどうにかそれを乗り越えた。“全豪オープン”の前にその葛藤がまた始まった。優勝したいという希望を持ってグランドスラムに臨むのは、優勝は可能だという確信をもってグランドスラムに臨むのとは違う。この状況に置かれてまだ1年だから、どうやってこれに対処するのか、まだこれから学ぶ必要がある」とティームは明かす。


「僕の大きなパワーがあれば、どこからでもウィナーを打てる。スコアがどれだけ拮抗していようが、僕は自分のショットを信頼してる」


ティームの母のカリンさんは、現在17のタイトルを持つティームが2019年の「ATP1000 インディアンウェルズ」で12個目のタイトルを獲得した時から、タトゥーを入れるようになった。「全米オープン」後には自由の女神像のタトゥーを入れた。実現可能な全てのことの象徴だ。


ティームにとって4度目のグランドスラム決勝であった「全米オープン」決勝は、彼に全てを要求した。ティームは第5セットのタイブレークアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)をなんとか退け、1949年のパンチョ・ゴンザレス(アメリカ)以降で初めて、「全米オープン」決勝で最初の2セットを先取された状態から逆転勝利を飾った。実に71年ぶりの記録だ。


「選手としての目標を実現するというのは途方もないことだ。最初は、そのために僕がどれほどのものを費やしたのか気づいていなかった。ある意味では、今もまだ回復していない。それに対処し、消化するというプロセスは、まだこれから学ぶ必要がある」


パンデミックに大きく影響を受けた2020年シーズンのうち、特に春と夏の期間を、ティームはうまく活用した。オーストリアの自宅で、切望していた休息の時間を取ることができたのだ。「移動もなく、毎週のように結果を出すという重圧にさらされることもなく、最初の何週間、何ヶ月かを楽しんだよ」とティーム。


ティームは屋外での活動を大いに楽しむ。広大な空間でハイキングやランニングをするのが好きなのだ。精神面と身体面での成長のバランスを保つため、ティームは手に入るものならほとんどどんな本でも読む。


「脳のためにたくさん本を読むようにしているんだ。ほとんどどんな内容でもね。犯罪小説みたいな軽くて簡単なものも、もっと難しい哲学的な本なども読む。読書が好きなんだ」


「全仏オープン」で2度準優勝を果たしているティームは、右足の不調を治すために「ATP1000 マイアミ」出場を見送った。4月19日から始まる「ATP250 ベオグラード」で、クレーコートでの戦いを開始する予定だ。


ビッグ3からバトンを受け取ろうと混戦を繰り広げる次世代選手たちの先頭を走るティームは、安定性という点でも強固な立場にある。2020年にはキャリアハイの世界ランキング3位に到達し、2016年6月以来ずっとトップ10にとどまっている。これは継続中の記録としてはナダル(2005年4月25日から継続)に次ぐ記録だ。


「安定してトップ10に入っていることをとても誇りに思っている。それはつまり、成績の浮き沈みがあまりなかった、大部分はすごく高いレベルでプレーできているということだ。トップ10に残り続けるのはすごく難しい。テニスはすごく競争の激しいスポーツで、トップ10に割り込んでくる可能性のある素晴らしい選手がたくさんいる。でも、実際にそこに入れる選手は多くない。自分が5年近くもトップ10にいるということは誇らしいよ」


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全米オープン」でのティーム
(Photo by Al Bello/Getty Images)

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