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オフコート

ナダルの重いスピンショットを助けてきたラケットの変遷

「A Day at the Drive」でのナダル

ラファエル・ナダル(スペイン)は、ベースラインから放つ大砲のような重いショットと不屈の闘志によって、過去20年近くにわたってテニスファンたちを魅了してきた。彼は2003年にテニス界に突如現れて以来ずっと力強さと気概を示し続けてきたが、これに匹敵するものを持ったテニス選手は、もしいたとしてもわずかであろう。

ナダルの成功は彼自身の才能と努力の結果だが、信頼のおけるバボラ(Babolat)のラケットがなければ、ナダルのショットはこれほど強力ではなかったかもしれない。先日、ナダルとバボラが提携開始から丸20年を迎えた機会に、ナダルのトレードマークとなっているラケットのシリーズの20周年特別版「ピュア アエロ ラファ」が発売された。オンラインメディアのSportskeedaが報じている。


現在愛用の「ピュア アエロ」にたどり着く前に、ナダルは何種類かのラケットを試してきた。ナダルがこれまでに使用したラケットがそれぞれどんなものなのか、見てみよう。


2003年にプロ転向した当時、ナダルは現在廃盤となっているバボラ ソフトドライブを使っていた。その仕様は次のとおりだ。


フェイスの大きさ:100平方インチ(約645.16平方cm)
長さ:27インチ(約68.58cm)
ガットなしの重量:9.5オンス(270グラム)
スイングウェイト(振った時の重み):270
硬さ(剛性):65
フレーム厚:22-26mm
組成:グラファイト、ファイバーグラス
ストリングパターン(ストリングの本数):縦16×横19


当時、コートは今より球足が速く滑らかであったため、テニスは完全にパワーに依拠してはいなかった。ボールに大きく水平に回転をかけるのは決して主流ではなく、選手たちはベースラインの内側で、球が跳ねたところを早いタイミングで捉え、素早くラケットを振って返球したものだ。


ナダルはこのようなスタイルがぴったりはまる選手ではないが、当時のナダルはその後よりも素早いプレーをしていた。そうしたプレーに貢献していたのがこのラケットだ。後継モデルと比べると、持った時に軽く感じられるラケットであった。


ナダルがバボラ ソフトドライブを使っていたのは数カ月間だけで、2003年中にバボラ ピュア ドライブに変更した。仕様は次のとおりだ。


フェイスの大きさ:100平方インチ(約645.16平方cm)
長さ:27インチ(約68.58cm)
ガットなしの重量:10.6オンス(300グラム)
スイングウェイト:323
硬さ:68
フレーム厚:23-26-22mm
組成:グラファイト
ストリングパターン:縦16×横19


テニスのプレーが攻撃的なものからより中立的なものにゆっくりと変化していく中で、プロ選手たちはより力強いストロークを求めるようになった。シャフト部分のフレームは分厚くなり、中央の空いたフレームで空気を切り裂けるよう、空気力学的なデザインに変わった。とはいえ、バボラ ピュア ドライブの力強さはナダルが後に使うことになるラケットには及ばなかった。


バボラ ソフト ドライブとバボラ ピュア ドライブの1番の違いは、後者の方が30グラムほど重たいということだ。このおかげで、ナダルはより鋭いグラウンドストロークを打てるようになった。ちなみに、2004年の「ATP1000 マイアミ」でナダルが最大のライバルであるロジャー・フェデラー(スイス)と初めて対戦した時は、このラケットを使っていた。


2005年、バボラ社は有名なバボラ アエロプロ ドライブを発売し、これがナダルの代名詞と言える武器となった。仕様は次のとおりだ。


フェイスの大きさ:100平方インチ(約645.16平方cm)
長さ:27インチ(約68.58cm)
ガットなしの重量:10.6オンス(300グラム)
スイングウェイト:343
硬さ:72
フレーム厚:23-26-23mm
組成:グラファイト、タングステン
ストリングパターン:縦16×横19


ナダルは2005年の「全仏オープン」で強烈なフォアハンドで対戦相手を圧倒し、初めてのグランドスラム優勝を果たした。数年おきに仕様の変化はあったものの、ナダルはこのモデルで10年近くプレーを続けた。


かつてアリストテレスは「全体は部分の総和に勝る」と言ったが、ナダルと彼の代名詞となったラケットについて言えば、まさにそのとおりであった。ナダルの粘り強いプレースタイルはラケットの特性を強化した。このラケットには、タングステンの重みなど様々な要素があったが、それらが融合することで、ナダルのトップスピン中心のプレースタイルが生まれたのだ。


ナダルはラケットにさらなる重みを加える必要に迫られる2015年まで、バボラ アエロプロ ドライブを使い続けた。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が継続的に主要タイトルを制するようになり、ナダルにはラケットをグレードアップするしかなくなった。


2012年にナダルはラケットヘッドの重さを3グラム増やしていたが、2015年に全く違うモデルのバボラ ピュア アエロに切り替えた。このモデルの仕様は次のとおりだ。


フェイスの大きさ:100平方インチ(約645.16平方cm)
長さ:27インチ(約68.58cm)
ガットなしの重量:10.6オンス(300グラム)
スイングウェイト:324
硬さ:67
フレーム厚:23-26-23mm
組成:グラファイト、タングステン
ストリングパターン:縦16×横19


2015年はナダルが大きなスランプに陥った年で、複数の主要大会で早期敗退を喫していた。それを思えば、ナダルが新しいものを試そうとしたのも納得だ。バボラのこの新しいラケットは、粗いストリングパターンと楕円形のハトメを組み合わることで「FSIパワーストリング」のパターンを最適化したものだ。この時期のナダルのフォアハンドはかなり浅い返球になっていたため、これはさらにスピンをかけやすくするためのものであった。


ラケットの変更はすぐさま効果を発揮することはなく、ナダルは2015年と2016年の2シーズンを不調で過ごした。その後、ナダルは2017年にスピンではなくパワーを強化することを試み、ラケットヘッドに2グラム重みを加えた。


こうした調整が功を奏し、ナダルはその年にテニス界の頂点に返り咲いた。これ以降、ラケット表面には様々な塗装を施してはいるが、現在まで同じモデルのラケットを使い続けている。


バボラ ピュア アエロは、より標準的なバボラ アエロプロ ドライブと比べるとスイング軌道が柔軟で、重量も軽い。ただし、ナダルが選手生活の中で使用してきたモデル間の違いは、フェデラーが使用してきたウイルソンのモデル間の違いと比べると、圧倒的に少ない。


いずれにしても、ナダルのラケットは、重たいトップスピンに象徴される彼のプレーを微調整するのに長年役立ってきた。そしてバボラは、提携する最高の選手のためにテニスラケットをデザインすることにかけては、常に限界に挑み続けてきたのだ。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「A Day at the Drive」でのナダル
(Photo by Daniel Kalisz/Getty Images)

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