マイページ

全米オープン

フェデラーが5連覇した「全米オープン」の連覇が極めて困難な理由とは?

2008年「全米オープン」で優勝したフェデラー

2021年の「全米オープン」決勝でダニール・メドベージェフ(ロシア)がノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒し、ここ10年で7人目の「全米オープン」覇者となった。言うまでもなく、昨年の覇者ドミニク・ティーム(オーストリア)はタイトルを防衛し損ねた。今年は怪我のせいで出場を見送ったのだ。

近年の証拠に基づいて言えば、「全米オープン」は支配的な立場を築いて安定的に優勝するのが最も難しいグランドスラムだ。事実、ここでタイトル防衛に成功した男子選手は、過去10年間で1人もいない。


シーズン最後の四大大会である「全米オープン」はハードコートで行われるが、ハードコートは比較的球足が速いため、強打を武器とする選手が活躍しやすい。その一方で、トップ選手たちのいかなる目立った差も中和してしまう。これに他のいくつかの要因も相まって、「全米オープン」はほぼ間違いなく、近年で最も予測不能な主要大会となっている。


ラファエル・ナダル(スペイン)が圧倒的強さを誇る「全仏オープン」、ジョコビッチに支配されている「全豪オープン」、そして2000年代にはロジャー・フェデラー(スイス)が、2010年代にはジョコビッチがその強さを発揮している「ウィンブルドン」と違って、ここ10年間、誰一人として「全米オープン」で安定的に勝ち続けることはできなかった。


フェデラーは2004年から2009年に6年連続で「全米オープン」決勝に進出した最後の選手であり、そのうち5回で優勝している。それ以降は、8人の異なる「全米オープン」優勝者が生まれた。


2010年以降に5回決勝に進出して4回優勝したナダルと、7回決勝に進出して3回優勝したジョコビッチは、比較的安定している。しかしこの二人のどちらも、その安定をもって「全米オープン」2年連続優勝を成し遂げるには至っていない。


それでは、フェデラーはどうやってニューヨークでのタイトルを4回連続で防衛することができたのだろうか。そして、なぜそれが今ではこれほど難しいことになっているのだろう。その理由をスポーツウェブメディアSportskeedaが分析した。


2004年から2008年の期間、フェデラーはテニス界においては支配と同義だった。確かに、テニス界を支配したのは彼が初めてではなかった。フェデラーより前には、ピート・サンプラス(アメリカ)やアンドレ・アガシ(アメリカ)、ジョン・マッケンロー(アメリカ)、そしてイワン・レンドル(アメリカ)といった選手たちが支配的立場を築き、「全米オープン」で何度も優勝していた。しかし、彼らとフェデラーの支配との間には大きな違いがあった。


これら4人の選手のいずれも、「全米オープン」を4年以上続けて制することはできなかった。レンドルの1985年から1987年の3連覇と、マッケンローの1979年から1981年の3連覇が彼らの最高記録だ。しかしフェデラーは5年連続優勝を達成した。では、フェデラーがこれを成し遂げられた理由は何だったのだろう。その答えは彼の効率性にある。


絶好調の頃、フェデラーは試合を短く、速く済ませる傾向があった。2004年から2008年の間、フェデラーが「全米オープン」で5セットの試合を戦ったのは2回だけだ。1度目は2004年準々決勝のアガシ戦、2度目は2008年4回戦のイゴール・アンドリエフ(ロシア)戦だ。


フェデラーの出場した決勝が5セットにもつれたことはなく、2009年に初めてそれが起きた時には、フェデラーはフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に敗れた。試合の短さのおかげで、肉体に過大な負荷をかけることがなく、大会期間中を通してフェデラーが体の調子を維持するのに役立ったのだ。


実質的に、フェデラーは「全米オープン」会場のアーサー・アッシュ・スタジアムを、「ウィンブルドン」での彼の栄光のハードコート版の延長とした。


どのグランドスラムの大会も、卓越した精神的・身体的なスキルを要求する。しかし、「全米オープン」は1年の最後の主要大会であるため、この点でおそらく他の大会よりも負担が大きい。


選手たちがニューヨークにたどり着く頃には、何ヶ月もテニスを続けてきたことで、身体の複数の箇所に痛みを抱えているのが普通だ。多くの選手は、厳しい8ヶ月のシーズンを終えて既に疲れ切っている。このことはおそらく、多くの選手が劣勢から逆転優勝を遂げることができない理由でもある。2020年の決勝でのティームの逆転勝利は、むしろ例外であった。


世界最高の選手たちを相手に、中立的なサーフェスで7試合連続勝利をするということ自体が一つの功績だ。だが、何年も連続してそれを達成するには、近年では誰一人として実現できていない精神面と肉体面での努力が求められる。


ティームは2020年に「全米オープン」タイトルを獲得し、次のシーズンの大部分は怪我をした状態で過ごした。ナダルは、ニューヨークで終盤まで勝ち残った後は、秋のシーズン全体を通してプレーできたことはほとんどない。そしてジョコビッチでさえ、2011年と2015年の優勝の後は、燃え尽きたように見えた。


絶頂期のフェデラーが見せた類の圧倒的な優位を築くのは難しく、そのことが、選手たちが毎年毎年最高のパフォーマンスを続けることを妨げている。近年の実態から得られる証拠と、ツアーでかつてなく身体的な要求が高まっていることを考え合わせると、再び誰かが「全米オープン」タイトルを防衛するのを見るのは、まだしばらく先のことになるのかもしれない。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2008年「全米オープン」で優勝したフェデラー
(Photo by Rob Tringali/Sportschrome/Getty Images)

全米オープンの関連記事

PAGE TOP
menu