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全米オープン

ジョコビッチの涙のワケとは?「全米オープン」ファイナリストが試合をふり返る

「全米オープン」表彰式で涙を浮かべるジョコビッチ

現地9月12日に行われた「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月30日~9月12日/ハードコート)大会最終日、男子シングルスの決勝で第1シードノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)に4-6、4-6、4-6のストレート負けを喫した。男子では52年ぶりとなる年間グランドスラム、そしてグランドスラム最多優勝記録の更新という2つの偉業達成が懸かっていたジョコビッチは、試合終盤と表彰式で目に涙を浮かべていたが、そんな決勝について両選手がふり返っている。それぞれのコメントを紹介しよう。

ダニール・メドベージェフ
「戦術について、普段は試合前日にコーチと5分から10分くらいしか話さないんだけど、今回は30分くらい話し合ったよ。なぜかって?僕たちは過去に何度も対戦していて、ノバクが何度も戦術やアプローチを変えるので、それぞれの試合が異なっていたからなんだ。今年の“全豪オープン”で対戦した時との違いは、どんな時にどうするか、明確なプランが僕の頭の中にあったことだね。彼によるところが大きいけど、いつ攻勢に出るか、守備的になるかをあらかじめ計画していたことが功を奏した」


「今日の彼がベストの状態だったとは思わない。多大なプレッシャーを抱えていたからね。もちろん僕にもプレッシャーはあった。セカンドサーブでも攻めて行くというリスクによってね。でも、彼相手に簡単なサーブを打つわけにはいかなかった。厳しい状況の中でも自信があったおかげでなんとかこなすことができたよ」


「彼には(昨年の)“Nitto ATPファイナルズ”でストレート勝ちしたこともある。テニスは残酷なスポーツで、トップ選手と対戦する時はミスする余地をほとんど与えてもらえない。今回は奇妙なことに簡単な試合になったけど、恐らく彼の出来が良くなかったことなんかも重なったんだろう。彼がいいプレーをできていれば結果はどうなっていたかはわからない。とにかく僕は勝ててハッピーだよ(笑)」


「どんなことでも最初は特別なものだ。ジュニア時代の初優勝も、フューチャーズ大会における最初のタイトルも、すごく嬉しかった。でも2回目以降、その感覚は変わってしまう。グランドスラムで優勝することができて、とにかく嬉しい。2回目や3回目の時にどう感じるかはわからないけどね」


「(世界1位のジョコビッチに約1400ポイント差に迫っているが、今後の予定は?という質問に対して)僕はパリのマスターズ大会と“Nitto ATPファイナルズ”でタイトルを防衛しないといけない。ノバクは今シーズン、防衛すべき大会はもうほとんどないんじゃないかな。厳しいチャレンジだけど、インディアンウェルズのマスターズ大会や“Nitto ATPファイナルズ”で勝てたらいいね。ただ、今年のうちに世界1位になるというのは僕の第1目標ではないよ。いつか達成できたら最高だけどね」


ノバク・ジョコビッチ
「(試合が終わった時、どんなことを思ったか?)いろんな感情がこみ上げた。表彰式で言ったこと(「僕は生きている人間の中で一番幸せだよ。観客のみんなのおかげでこんな気分になれた。試合には勝てなかったけど、心は喜びで満たされている」)は本気だよ。もちろん、悲しくもある。この負けは、いろんなものが懸かっていたこともあって消化しづらいからね。その一方で、これまでニューヨークでは経験したことがなかった感情も覚えた。観客が僕を特別な存在にしてくれたんだ。予期していなかったけど、観客からたくさんのサポートとエネルギー、そして愛を送られたことは、一生忘れないだろう。だから、試合終盤でのブレーク中に涙がこみ上げたんだ。多分、21回目のグランドスラム優勝を果たした場合と同じくらいに強い感情だろうね。とても特別な体験だったよ」


「メドベージェフのショットは見事だった。明確な戦術を持ち、それを完璧に実行したね。一方の僕はすべてが平均以下だった。足が思うように動かず、最善は尽くしたけど、多くのミスをしてしまった。特にサーブは全然ダメだったね。メドベージェフのような選手を相手にする時は、自分のサービスゲームでプレッシャーをかけないといけないのに、正直なところ、僕はまったくうまくいかなかった」


「(“全仏オープン”決勝でステファノス・チチパス相手に2セットダウンから逆転勝利した際には、1回ブレークできれば勝てると思っていたと語っていたが、そういうことは今回感じなかったか?)状況が異なるね。今回はあの時ほどいい気分じゃなかったから。とはいえ、ターニングポイントになり得た場面はあった。第2セットのメドベージェフの最初のサービスゲームで3本のブレークポイントを得た時にね。もしあそこで早々にブレークできていれば、違う気分になれただろう」


「といっても、彼は素晴らしかった。メンタル面もアプローチの仕方も試合内容もすべてが見事だった彼を祝福するよ。より良いプレーをしていて勝者にふさわしかった。それに異論はないよ。僕ももう少しうまくやれていれば良かったけど、スポーツでは勝つこともあれば負けることもある。今回の負けは特に残念だけど、彼の勝利を喜んでもいるんだ。彼はいい人で、勝利に値するプレーをしたからね」


「(アレクサンダー・ズベレフやメドベージェフが台頭してきたが、世代交代が始まると思うか?)もう始まってると思うよ。昨年はドミニク・ティームがここで優勝したし、ダニールもこれで世界1位になるのか、まだ近づいている段階なのかわからないけど、成長している。世代交代は避けられないから、当然のことだよ。僕たち年上の選手たちはなんとかしがみついてる。僕に関しては、今後もグランドスラム優勝を目指して戦っていくつもりだよ」


「でも次世代の選手たちは、そう呼ぶべきかわからないけど、すでに地位を確立し、取って代わりつつある。彼らはみんな素晴らしい人たちで、選手としてとてもクオリティが高いから、テニス界は安泰だね。世代交代がスムーズにいくことを願ってる。僕たちはテニス界を代表する存在としての自覚を持ち、より多くのファンを獲得する責任があるからね」


「僕に関しては、最後に躓いてしまったけど、相対的に見れば満足するべきだろうね。これまで言ってきたように、僕の目標はグランドスラムで自分のベストなテニスを見せることで、今年は3回優勝し、1回準優勝したんだから。今日の決勝が終わった時は、ホッとした。これまで数週間にわたってメンタル面でも感情面でも多くのことに対処しなければならなかったからね。それが終わって嬉しかった。もちろん悲しいし残念だけど、観客が示してくれたサポートに感謝してるよ」


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全米オープン」表彰式で涙を浮かべるジョコビッチ
(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

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