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全豪オープン

「全豪オープン」で線審を使わないのは正しい選択なのか

写真は2020年「全豪オープン」の会場

時代の変化と共に、テニスも試合の中にテクノロジーを取り入れてきている。だがそれにより失われるものもある。ラインジャッジのテクノロジーは年々優秀になり、人間の線審は近い将来に必要なくなるのかもしれない。ウェブメディアEssentially Sportsが報じている。

来月開催される「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/2月8日~21日/ハードコート)では、線審はおらず、「ホークアイ」と呼ばれる自動ライン判定システムがイン・アウトを判定する。これは将来的にそうなっていく変化なのだろうか、それとも単にウイルス感染予防対策の一つなのだろうか。「全豪オープン」本戦ではこのシステムが使用されるが、予選では使用されない。


この決定の裏には、2つの要因がある。1つは新型コロナウイルス感染予防のため、関係者の数をなるべく減らすという目的のためだ。感染予防対策にオーストラリアは非常に力を入れているので、大会のため海外からやって来る選手たちに同行できる関係者の数は限られており、選手たちはオーストラリアに入国後14日間、隔離されて過ごさなければならない。


もう1つは、テニス界のテクノロジーへの移行だ。「ホークアイ」が実戦に使われるようになってから10年以上が経ち、その技術はより正確に、速くなってきている。そのことも「線審不要」論を後押ししている。


その強力な推奨者は、世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)だ。ジョコビッチは線審が試合に参加することに強く反対している。彼がそれを明言したのは「全米オープン」で線審にボールを当ててしまい、失格となる事故があった頃だったが、ジョコビッチは彼の意見と大会での失格は何の関係もない、と言っている。


「技術は進歩している。僕の意見では、線審をコートに立たせておく理由はまったくない」とジョコビッチ。


一方で、自動ライン判定システムの採用は、テニスから人間的要素を一つ取り去ることになる。世界ランキング2位のラファエル・ナダル(スペイン)は、それに反対している。


「個人的には、自動ライン判定システムより線審の方が好きだ。将来もそうであってほしい。テニスはこの50年、他のスポーツに比べてあまり変わっていないから、もちろん改善の余地はあると思う。でも僕には自動判定システムがテニスの“ショー”としての価値を上げるとは思えない」


ナダルの言うことは一理ある。スポーツは時代に連れて進化するだろうが、線審をなくすことがその方法だろうか。正しいやり方は、線審と自動判定システムの両方を共存させることだろう。例えばサッカーでは、審判がいて、その間違いを正すためにテクノロジーが使われている。テニスでも同様のことができるはずだ。


線審をなくしてしまえば、何千人という人々が職を失うことになる。多くの人がそれで生計を立てている、高い技術を要求される職業なのだ。


そして線審という役割がなくなってしまうと、長年変わらずに続いてきたテニスの試合の文化が変わってしまう。さらに、現在の主審たちはまず線審として経験を積んで、主審になったのだ。もしも線審がなくなれば、主審を育てる新たな方法を見つけなければならなくなる。


線審に代わる自動ライン判定システムは、これまで2020年の「全米オープン」と「Nitto ATPファイナルズ」で使われ、今また2021年「全豪オープン」で取り入れられた。きっかけはウイルスの流行だが、テニスの将来を変えていくことになるのだろうか。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2020年「全豪オープン」の会場
(Photo by Cameron Spencer/Getty Images)

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