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グランドスラム

全仏ベスト8進出、22歳のダビドビッチ フォキナは何のために戦うのか

2021年「ATP1000 モンテカルロ」でのダビドビッチ フォキナ

「全仏オープン」で地元のファンから人気を集めている選手がいる。スペインのマラガ地方出身、22歳のアレハンドロ・ダビドビッチ フォキナ(スペイン)だ。茶色がかったブロンドヘアを宙に弾ませながらコートを懸命に走り回る姿は決して優雅とはいい難いのだが、素晴らしい力強さと敏捷性を見せる彼をどうしても目で追ってしまう。2019年にグランドスラムで初めて予選を勝ち抜いて「全仏オープン」本戦に出場し、期待の若手として注目を集めた。その頃から“フォキ”という愛称で呼ばれ、フランス人ではないにも関わらず地元ファンから親しまれている。そんなダビドビッチ フォキナが「全仏オープン」中にインタビューに答え、テニスへのモチベーション、そして手に汗握る接戦となった3回戦について語った。米テニスメディアTennis.comが伝えている。

「フォキと言う名前は、2年前にフランス人に聞いたんだ。フランスの人たちから受ける声援は、まるで地元でプレーしているみたいだよ」とダビドビッチ フォキナ。今や“フォキ”という名前はTwitterのプロフィールに使用するほど気に入っているようだ。


地元といえば、ダビドビッチ フォキナは祖国スペインで、コロナ禍で急増した捨てられるペットを救うべくAdoptas.orgというウェブサイトを立ち上げ、ペットの里親探しの活動を始めた。「コートに出る時、僕は動物たちのためにプレーしているんだ」とダビドビッチ フォキナは言う。肩のタトゥーの中に愛犬ラケットの名前があるほど、彼の動物好きは有名だ。「動物たちを助けるために勝ちたい。どういうわけか分からないけど、この気持ちが毎回僕の励みになっているんだ」


昨年から準備をしていたAdoptas.comを正式に立ち上げたのは今年の4月。その時点でダビドビッチ フォキナは2021年シーズン序盤の苦しい状況を挽回しようと必死になっていた。2021年1月に新型コロナウイルスに感染してしまったダビドビッチ フォキナは移動が制限され、オーストラリアで行われた複数の大会に出場することができなかった。2月に復帰するも、チャレンジャー大会「カンペール 2」でも運に恵まれず、初戦でトーマス・ファビアーノ(イタリア)に対し最初のセットを勝ち取ったが足を挫き、棄権を余儀なくされた。


だが、ペットの里親探しのウェブサイトが軌道に乗り始めクレーコートシーズンが始まると、ダビドビッチ フォキナは本来の調子を取り戻す。本戦で勝ち進めるようになり、特に「ATP1000 モンテカルロ」ではマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を破り、準々決勝に進出。自身初の対トップ10勝利をマークした。さらに「ATP1000 マドリード」でも3回戦に進出し、「全仏オープン」出場を前に初めてトップ50入りを果たした。「浮き沈みはあった。でもそれが毎日僕を後押しするモチベーションになったんだ」とダビドビッチ フォキナは語る。「向上するために、今日みたいな試合に出るためにね」


“今日の試合”というのは「全仏オープン」3回戦、第15シードキャスパー・ルード(ノルウェー)との対戦のことだ。その2日前、ダビドビッチ フォキナは予選勝者のボティック・ファン デ ザンツフープ(オランダ)に2セット先取しながら追いつかれ、フルセットの末に辛勝していた。だが、ルードとの対戦こそダビドビッチ フォキナが待ち望んでいた試合だった。ルードはクレーコートを得意とし、特にこの春に素晴らしい成績を残していたこともあり、今大会のダークホースとされていた。ルードがストレート勝ちする可能性も十分あったが、ダビドビッチ フォキナはそれを許さなかった。


第1セットも第3セットも、ダビドビッチ フォキナはセットポイントを凌ぎ、タイブレークで競り勝った。ところが第4セットはたった7ポイントしか取れず、ルードにベーグルされてしまった。フォキは疲れていたのか?もちろんだ。フォキは諦めたのか?それはあり得ない。彼の唸り声、飛び跳ねながら打つバックハンド、そしてすべてのボールを追いかけるハングリーさを目の当たりにし、観客たちは「フォーキ!フォーキ!」と大声援を送っていた。


ルードを12ポイントかけてブレークした後、試合の行方はダビドビッチ フォキナのラケットに委ねられた。最終セット、スコア6-5でサービスゲームを開始したダビドビッチ フォキナ。アンダーサーブまで駆使し、4回のブレークポイントを凌いだ。ロブを取りに行こうとして滑るなど、4回のマッチポイントを逃した。22ポイントの攻防の末、ダビドビッチ フォキナが5度目のマッチポイントを決め、4時間35分、7-6(3)、2-6、7-6(6)、0-6、7-5という激闘を制した。


「最後のゲームでは、様々な感情が僕の中を駆け巡ったよ」と彼は言う。「4つもマッチポイントがあって、簡単なボールをミスしてしまっていた。僕は震えていたよ。フォアハンドが打てなかった。すごく大きな試合で、観客は信じられないくらい素晴らしかった。僕のチームにとってすごく嬉しいことだ。毎日、毎週頑張っているのは、強くなってこういう試合に勝つためなんだ」


その後4回戦でフェデリコ・デルボニス(アルゼンチン)を下したダビドビッチ フォキナは、自身初のグランドスラム準々決勝に進出。残念ながら第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)にストレートで敗退したが、ダビドビッチ フォキナはこれからも祖国の動物たちのために諦めることなく戦い続けるだろう。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2021年「ATP1000 モンテカルロ」でのダビドビッチ フォキナ
(Photo by Alexander Hassenstein/Getty Images)

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