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グランドスラム

「全仏オープン」でも自動ライン判定機能を採用すべき?準決勝を機に議論再熱

「全仏オープン」で主審と意見が食い違うクレイチコバ

「全仏オープン」(フランス・パリ/5月30日~6月12日/クレーコート)の女子シングルスで決勝進出を決めた、世界ランキング33位のバーボラ・クレイチコバ(チェコ)。第17シードマリア・サカーリ(ギリシャ)との準決勝における重要な局面での判定をきっかけに、自動ライン判定機能導入の議論に再び火がついた。伊ニュースサイト UBI Tennisなど複数のメディアが報じている。

クレイチコバは、この準決勝の第3セットでマッチポイントを握る。サカーリのショットがベースラインを超えたと思った彼女は両手を突き上げて勝利を確信した。ところが、線審がアウトとコールしたこの判定に対し、コートに残されたボールの跡を確認した主審はインと判定して、マッチポイントはやり直しとなる。最後はクレイチコバが文句なしの力強いショットを決め、3時間18分に及ぶ激戦を制した。


もしクレイチコバが負けていたら、主審はきっと槍玉に挙げられていただろう。というのも、テレビ放送向けに採用されている自動ライン判定システム「ホークアイ」は、サカーリのショットが明らかにアウトであることを示していたのだ。元世界1位のアンディ・マレー(イギリス)がこの判定を「残酷な過ち」とTwitterで非難したのをはじめ、テニス界の各方面から様々な声が挙がっている。


「これを教訓に、全仏でも他3つのグランドスラム大会のようにホークアイを採用するかもしれない」と話すのは、18度のグランドスラムシングルス優勝を誇るクリス・エバート(アメリカ)。「今年は大会全体を通して、試合を大きく左右する場面でのライン判定ミスが散見されているわ。この試合だけじゃない。今のやり方はうまく機能していないということよ」


クレイチコバ本人は記者会見中にこの判定が物議を醸していることを知らされた。「クレーコートでホークアイが使われていないことについては、なんとも言えないわ。役に立つ時もあれば、そうでない時もあるから、私にはわからない。難しい問題ね。判定は主審がどう考えるか次第で、もしその人の判定が間違っていると思っても、選手は誰かに訴えるわけにはいかないもの」とコメントしている。


クレーではボールの跡が残ることから、「全仏オープン」は自動ライン判定システムの採用を見送っている。「ホークアイ」はクレーコートにおける精度に難があるため、使用が承認されておらず、現在クレーコートの大会では「ATP1000 マドリード」だけが別の自動ライン判定システムを導入しているものの、同大会に出場した選手の一部はその精度に不満を唱える。クレーコートの表面は天候によって変化しやすく、例えば、乾燥した日に風が強ければ表層が吹き飛ばされ、ボールの跡がより広がってしまうことも。一方小雨が降っている時は、ラインが光って見える。こうしたことがコンピュータのモニターに大きな影響を与え、自動ライン判定システムを難しくしているのだ。


「全仏オープン」のトーナメントディレクターを務めるギー・フォジェ氏は、人間的な要素が重要だと述べる。「機械と人間のどちらが正確かという以前に、人の仕事がかかっている問題だ。我々は主審や線審を若い時から育て上げており、高い精度を誇っている。線審は、いずれ主審になるための大事なステップでもあるんだ」と主張。自動判定システムの導入については、ジャッジの正しさを見分けるため、主審のバックアップとして使用する可能性はあるとした。


ロジャー・フェデラー(スイス)やピート・サンプラス(アメリカ)を指導したコーチのポール・アナコーン氏は、「全仏オープン」の会場で「ホークアイ」の精度を検証している。彼によれば「興味深いことに、かなりミスが多い」そうで、「システムを合理的に導入して、選手にも慣れてもらうことはできると思う。シンプルな方がいいと思うけど、それよりも精度が高いことが重要だ」と述べている。フォジェ氏の言う人間的な要素も考慮しつつ、「多少の誤差があるかもしれないけど、それがこのシステムなんだという共通認識を持てば、そのうち選手も受け入れてくれるかもしれない」と導入に対して前向きな姿勢を示している。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全仏オープン」で主審と意見が食い違うクレイチコバ
(Photo by TPN/Getty Images)

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