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グランドスラム

初出場で準優勝の対照的な二人がペアで東京オリンピックを目指す

「全仏オープン」での(左から)カラツェフ、ベスニナ、クラブチェク、ソールズベリー

今年の「全豪オープン」で株を上げたアスラン・カラツェフ(ロシア)は、ダブルスの元オリンピック金メダリストであるエレナ・ベスニナ(ロシア)に「全仏オープン」(フランス・パリ/5月30日~6月13日/クレーコート)で一緒にプレーしようと早々と声をかけた。ベスニナは「アスラン、まだ2月よ!」と返信したそうだ。ATP公式ウェブサイトが伝えている。

「全豪オープン」でグランドスラム本戦初出場にしてベスト4進出という快挙を成し遂げたことで、カラツェフのテニス選手としてのキャリアは一変した。しかし、彼の頭の中にあったのはただ一つのことであった。元ダブルス世界ランキング1位のベスニナと混合ダブルスに出場することだ。


二人でチームとして出場するのは今大会が初めてで、カラツェフは混合ダブルスに出場すること自体もキャリア初だ。そして二人は「東京オリンピック」(日本・東京/7月24日~8月1日/ハードコート)への出場を視野に入れている。現在27歳のカラツェフは、シングルスの世界ランキングでキャリア最高の25位に浮上(現在は26位)し、既にシングルスの出場権を手にしている。


「大会の前に話したんだ。2ヶ月前くらいかな。僕と混合ダブルスに出てみないかと」とカラツェフは振り返る。「一緒にオリンピックに出場するためのいい機会だからね。彼女は経験豊富だ。これまでに素晴らしいキャリアを築いてきたし、2年間中断があったけど、今もそのキャリアは続いている」


2016年「リオデジャネイロオリンピック」での女子ダブルス金メダリストであるベスニナは、カラツェフが声をかけた時、まだ育児休暇からの復帰したばかりだった。ベスニナは女子ダブルスで3つのグランドスラムタイトルを獲得しており、その1つは2013年の「全仏オープン」でのものだ。彼女は2018年11月に女児を出産した後、2年間テニスから離れていた。


「彼からのメッセージを見た時は正直驚いたわ」とベスニナは語る。「彼は2月にメッセージを送ってきたの。私は“WTA500 ドーハ”で1試合に出場したところだった。彼は“やあ、全仏で僕と混合ダブルスに出る気はある?”って感じで、私は“アスラン、まだ2月よ!”と返したわ」


カラツェフいわく「常に闘志に満ちている」という燃えるようなベスニナ、そしてベスニナいわく「とてもとても物静か」だという冷静なカラツェフのペアは、「全仏オープン」準優勝を飾る過程でラジーブ・ラム(アメリカ)とニコール・メリチャー(アメリカ)のペアを破った際、これ以上ないほど対照的であった。


第2シードの同ペア相手に6-7(3)、6-2、(10-8)で逆転勝利を収めた後、カラツェフは「彼女は本当に気合が入っていたよ!」と語った。「僕は気合が入っているのを見せないようにした。試合に集中しようとしていたんだ。第2セットでも彼女は高いテンションを保っていて、常に僕らはいいプレーをしていると言い聞かせてくれた。“このまま行きましょう、このまま!”ってね。時々アドバイスをくれる時もあった。どこをもっとカバーして、どこをもっと空けるべきかとか…彼女の経験を共有してくれたんだ」


「彼はとてもとても物静かな人よ。あまり喋らないし、自分の内側にいがち。考え方も、プレーもね」マッチタイブレークでの3-6の劣勢を覆して勝利を手にした後、ベスニナはこう語った。「空気を少しだけ和らげようとしているの。彼に対して、“あなたは上手いわ。このコート上にいる他の誰よりもずっと上手い。ただ自分のプレーをすればいいのよ。ただ流れに身を任せて、試合はもらったようなもの。あなたは素晴らしいプレーをしているし、今コートにいる中で最高の選手よ”というようなことを言ったわ。彼にそういう自信を持たせようとしたの」


ほんの少しの自信がカラツェフにどんな効果をもたらすかをベスニナは知っている。カラツェフは「全豪オープン」で予選を勝ち抜いてグランドスラム本戦に初出場。準決勝まで勝ち進んでノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れはしたが、一気にその名を知らしめた。カラツェフが有望なジュニア選手であった頃から彼を見ていたという34歳のベスニナは、自宅で彼の試合結果を追っていたが、前の週に行われた「ATPカップ」でロシアチームが優勝したのが鍵だったと話す。


「彼は諦めずに努力を続ける選手の本当に素晴らしい例で、信念をもって小さな大会に出場していた。いつもいい試合をしていたわ。“全豪オープン”で予選から準決勝まで快進撃を続けて、躍進を遂げることができたのは素晴らしかった」


「その前の週にロシアチームの一員として“ATPカップ”で優勝したことが、大きな後押しになったと思うわ。それによって確信が得られて、自信がついたんだと思う。チームの一員としてプレーしていて自分が打たなければならない時は、ほんの少しの信じる気持ちが必要になるものだから」


二人のうちどちらがリーダーかという点については、混合ダブルス初出場のカラツェフは自分だと思っている一方、経験豊富なベスニナは自分だとわかっているというように、行き違いがあるかもしれないが、二人の共通の目標は同じだ。


「素晴らしいパートナーに恵まれたわ。アスランとプレーするのは本当に楽しいの」とベスニナ。「彼はいつでもとても自信に満ちていて、とても真剣。私はコート上では彼より少しだけリラックスしているわ。こういう大きな試合に出るのは最高よ。それこそが必要なことなの。大きな舞台、大きなポイント、スーパータイブレーク。成長して自分のプレーを向上させるためには、こういう試合が必要なのよ」


「僕は混合ダブルスでいくらか経験を積まないといけない」とカラツェフは付け足す。「時々ネットに出て、正しい位置に正しい瞬間に動くことを学んで…僕にとっては新しいことだ。いい経験だよ。僕は気に入っている」


カラツェフとベスニナは決勝でデザレー・クラブチェク(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)ペアに敗れたが、ペアとして初出場でグランドスラム準優勝という素晴らしい成果を上げた。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全仏オープン」での(左から)カラツェフ、ベスニナ、クラブチェク、ソールズベリー
(Photo by TPN/Getty Images)

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