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「こんな形でキャリアを終わらせたくない」シャラポワは引退を否定

 マリア・シャラポワ(ロシア)にとって、夏のリオデジャネイロ五輪の出場が危機に晒されている。それもすべては電子メールを見落とし、メルドニウムの服用を中断しなかったからだ。

 シャラポワはグランドスラムを5度制した実績を持つ。彼女は先の全豪オープンでのドーピング検査で、ワールド・アンチ・ドービング・エージェンシー(WADA)が今年に入って禁止した薬物であるメルドニウムという無名の薬物検査に陽性となった。月曜日にロサンゼルスで行われた記者会見で、彼女は完全に自分の過失であり責任であると話した。

 シャラポワは国際テニス連盟(ITF)からある程度の出場停止処分を受けることが予想され、今季の彼女の活動が終わってしまう可能性もある。また、同時にロシア代表としてリオデジャネイロ五輪への出場も叶わなくなる可能性がある。

 「私は(今回の違反の)結果に直面すると思う」とシャラポワ。「こんな形で私のキャリアを終わりにしたくない。そして、ふたたびプレーするチャンスが与えられることを本当に欲している」。

 シャラポワは28歳。彼女は先週の段階で、メルドニウムの陽性反応が出たと知らされていたという。彼女は自身の健康問題のため10年の間、血流を高めるこの薬を服用していたのだという。メルドニウムは酸素の取り込みと持久力を高める効果があるために規制されたが、ほかにも国際的なアスリートの間で使用者が見つけられている。

 シャラポワをはじめ、全選手に、WADAから12月の段階で禁止薬物が変更されたというリストが送られていて、シャラポワは単にそれを見落としたのだという。

 「私は大きな責任と自分の仕事に対するプロフェッショナリズムを感じてきていた。そして私はとてつもないミスを犯してしまった」とシャラポワ。「私が本当に深く愛するファンや、同じく私が4歳からプレーしてきたスポーツ界を傷つけてしまった」。

 メルドニウムはミルドロネートの名で知られる薬物で、ラトビアで作られ、旧ソビエト地域では一般的に心臓疾患に対して用いられている。メルドニウムは虚血や血流不全、あるいは血流の障害に対しての治療で用いられる。だが、大量に服用することで競技力を上げることがわかっている。

 シャラポワがメルドニウムを服用するようになったのは、「2006年に生じたいくつかの健康問題」がきっかけだったとのことで、マグネシウムの欠乏や繰り返されたインフルエンザ、「不規則な」心臓検査の結果と糖尿病の初期症状が当時あったのだという。また、糖尿病に関しては家族からの遺伝もあるという。

 シャラポワに対する出場停止処分などの罰則は複数年におよぶ可能性があるが、本当にただのミスであるだけだと当局が信ずるに足るものがあれば、最低限の処分となる可能性もある。ただし、WADAの代表であるクレイグ・リーディー氏はAP通信の取材に対して、いかなるアスリートであってもメルドニウムの使用が認められ有罪となった場合は通常1年の出場停止処分になるだろうと話している。

 ITFのアンチ・ドービングプログラムはシャラポワの件に対する声明を発表し、彼女に対して暫定的な処分を今週から始めるとしている。WADAのスポークスマンのベン・ニコルズ氏は、ITFの決定が下るまでは当局としてコメントしないと話している。

 シャラポワと彼女の代理人であるジョン・J・ハガティ氏は、彼女がどこで薬物を摂取したのか、あるいは現在はどうなのかについてはITFが調査中であるとしてコメントを辞退している。メルドニウムはアメリカのDFA(アメリカ食品医薬品局)では認可されていない薬物でもある。

 「この薬物が東ヨーロッパでは普通に売られているものだと理解している」とリーディー氏はAP通信の電話インタビューで答えている。「より強いタイプのものは処方箋が必要かもしれないが、ほとんどの薬局のカウンターで購入できるものでもある。1月1日に禁止薬物のリストに入った時点で、この薬物の摘発が相次いだ。ただし、多くのアスリートたちがリストに掲載された薬物についてより注意を払っていたら、これらは起きていなかったかもしれない」。

 リーディー氏はメルドニウムは「とても強力な薬物」になるかもしれないと話している。

 だが、シャラポワは子供の頃からアメリカに在住。ロンドン五輪では銀メダルを獲得し、ロシアの旗手もつとめた。

 「私が思うに、まったくナンセンスな話だ」とロシアテニス協会の代表であるシャミル・タルピスチェフ氏はタス通信に対して話している。「選手たちは物理療法家と医師によって与えられるものを摂取するものだからだ。いずれにせよ、シャラポワは五輪に出場することになるだろうと思っている。だが、我々としては今後の成り行きを見守る必要がある」。

 ウクライナの2人のバイアスロンの選手たちとロシアの自転車競技のエドゥアルド・ボルガノフもまた、メルドニウムが禁止されたあとに陽性反応が出ている。また、月曜日にはロシアのアイスダンスの選手でヨーロピアン・チャンピオンのエカテリーナ・ボブロワもメルドニウムの陽性反応が出たと話している。

 シャラポワが検査を受けたのは、全豪オープンの準々決勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れたすぐあとだったという。以来、彼女は左前腕部の故障でプレーしてない。また、彼女はすでにインディアンウェルズの大会の欠場を発表している。

「彼女はとても組織的に動いていて、彼女のキャリアは深刻な事態になっている」とハガティ氏はAP通信に対して話している。「最初に摂取し始めた2006年当時は認められた薬物で、禁止薬物のリストにも入っていなかったし、そのあとも何年も検査を受けてきていた。彼女はそれが認められているものだと考えていたから何年も摂取してきて、それはOKだと思っていたから単に見落としてしまったんだと思う」。

 「彼女が(薬物検査で陽性という)レターを受け取ったとき、ショックを受けていた。完全に打ちのめされていた。彼女は自分の公正さに対してとても高いプライドを持っていたし、そうやってテニスに取り組んでいた。だから、ただちに自分の責任を果たしたいと話していた」とハガティ氏は言う。

 シャラポワは彼女の世代では最高のプレーヤーの一人。WTAツアーで35回の優勝実績があり、また、3600万ドル以上の生涯獲得賞金額がある。現在は世界7位だが、故障のため、昨年のウィンブルドン以来、ここ8ヵ月ではフェド杯の決勝などわずか3大会でしかプレーしていない。

 また、シャラポワは世界でもっとも稼ぐ女性アスリートとしても知られ、各種の契約金や事業での収入などもある。有名なシュガポワもその一つで、経済誌「フォーブス」によれば、2015年には2950万ドル(およそ33億円)の収入があったとされる。

 「マリアについてのニュースは私にとってあまりにも突然のことだった」とWTAのCEOを務めるスティーブ・サイモン氏は言う。「マリアはリーダーであり、素晴らしく高潔な女性であるといつも思ってきていた。それでも、それが認められたものであったとしても、自分の身体に何を入れたのかついて、すべての選手たちが責任を持つ必要があるのもマリアにはわかっていると思う」。

 シャラポワは17歳だった2004年のウィンブルドンで優勝。2005年には世界ナンバーワンにもなった。2006年には全米オープンを、2008年には全豪オープンを制して、2012年と14年に全仏オープンを制してキャリア・グランドスラムを達成している。

 だが、シャラポワはキャリアを通じて故障に苦しんできており、断続的に試合から離れていた。右肩の靭帯の手術を受けたあとはサービスのモーションを変え、またハムストリングの故障も抱えている。

 シャラポワはロシア生まれでフロリダに移住。現在はロサンゼルスに住んでいる。

 彼女が記者会見を開くと言った理由には引退などを含めていろいろな憶測があったが、彼女はそれを否定した。

 「私が引退を発表するつもりなら、それはロサンゼルスのダウンタウンのホテルで、こんな汚いカーペットの上でははやらない」とシャラポワは話している。(C)AP

Photo:LOS ANGELES, CA - MARCH 7: Tennis player Maria Sharapova addresses the media regarding a failed drug test at the Australian Open at The LA Hotel Downtown on March 7, 2016 in Los Angeles, California. Sharapova, a five-time major champion, is currently the 7th ranked player on the WTA tour. Sharapova, withdrew from this weekÂs BNP Paribas Open at Indian Wells due to injury. (Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)
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