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ウィンブルドン

チリッチは痛みと涙の狭間に「勝つ可能性があまりないとわかって...」 [ウィンブルドン]

「ウィンブルドン」決勝で、足裏のマメに痛みにより治療を受けるマリン・チリッチ(クロアチア/右)と集中し続けるロジャー・フェデラー(スイス/左)

 この日のマリン・チリッチ(クロアチア)には、決して本当の意味でのチャンスはなかった。

 ロジャー・フェデラー(スイス)に対する日曜日の「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/7月3~16日/グラスコート)男子シングルス決勝で、ビッグサーバーのチリッチは左足の靴擦れに耐えながらプレーした。少しの間、彼はかなりいい調子であるように見えていたのだが、フェデラーの調子が速やかに上がり、6-3 6-1 6-4の勝利に向かって突き進んでいく中で、チリッチのこの煩わしいケガは速やかに悪化していった。

「間違いなく、僕にとって不運な日のひとつだった」と、チリッチは敗戦のあとに言った。「マメがつぶれ、液体が硬くなった皮膚の下から流れ出したんだ。おかげで素早い反応をしなければならないときや、素早く方向転換する必要があるたびに、そうすることができなかったんだ」。

 チリッチによれば、最初にその靴擦れ----足の水泡を感じたのは、サム・クエリー(アメリカ)に対する準決勝の第4セット途中だった。金曜日の試合ではそれほど悪くはなかったが、同日夜に、より深刻な状態になった、とチリッチは言った。

「足の状態があまりよくないと感じた。試合後には、そう悪くはなかったんだが」とチリッチは言った。「僕らは、その夜にマメから水を出そうとしたんだが、土曜日の朝にはより悪くなっていた。医師とフィジオは、できる限り助けようとしてくれたんだ。彼らはベストを尽くしてくれた、本当にすごく助けてくれたんだよ」。

 対フェデラー戦で、チリッチは自分のサービスから試合を始め、双方の選手がサービスをキープして2-2となった。それからフェデラーは2度ブレークに成功して第1セットを取り、第2セットの序盤にふたたびブレークを果たして3-0とリードを奪った。

 そのゲームのあと、エンドチェンジで自分のベンチに戻ったチリッチは、明らかに取り乱した様子で、白いタオルで頭を覆うと涙を流した。

「様々な感情が混ざり合った。言うまでもなく少しフラストレーションがあり、同時に集中しようと努めてもいた」とチリッチは言った。「このような状況にいるときは辛いものだよ。勝つ可能性があまりないとわかっている。ただ戦い抜く、ということだけだ」。

 第2セットのあとチリッチはトレーナーを呼び、左足のテーピングをし直した。

 フェデラーはチリッチに何かが起きているのはわかったが、それが何なのか正確には知らなかったという。

「何だかわからなかったから、何も言えなかった。僕はただ、プレーに集中しろ、と自分に言い聞かせた。自分の試合に集中し、プレーを続けろ、と」とフェデラーは言った。

 フェデラーは、グランドスラム・タイトルとしては合計19番目にあたる、8度目のウィンブルドン・タイトルを獲得した。「よかったのは、(その時点で)僕がすでにリードしていたことだ」。

 この試合に臨んだとき、チリッチは2度目のグランドスラム・タイトルまであと1勝と迫っていたのだ。これに先立つ対フェデラーの7戦で、1勝6敗と分が悪かったとはいえ、チリッチは3年前の全米オープン優勝への過程でフェデラーをストレートで下していた。フェデラーは、昨年のウィンブルドン準々決勝でチリッチを倒すことにより、その埋め合わせをしたが、彼は35歳で、28歳のチリッチはテニス界で指折りのハードヒッターでもある。しかし前述のケガが、日曜日の試合をフェデラーにとっての真の楽勝にしてしまった。

「最初の5、6ゲームは、僕らが、そして観客が望んでいた通りのすごくいいテニスだった。素晴らしいバトルになるだろうという予感があった」と、チリッチのコーチであるヨナス・ビヨルクマン(スウェーデン)は言った。「でも残念なことに、そうなる運命ではなかったんだ。彼は序盤ほど良く動けなくなり始め、それから100%の状態ではないのだというサインを少し見せ始めたので、言うまでもなく、それが問題なのだと僕らにもわかったよ」。

 その問題は決してなくなりはしなかったが、チリッチはサービスをキープしようと努め、フェデラーのサービスのときには1ポイントを取ることにさえ苦労しながらも、試合の中にとどまった。

「本当にベストを尽くしたかったんだ」とチリッチは言った。「可能な限り、トライしたかったんだよ」。(APライター◎CHRIS LEHOURITES、翻訳◎テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」決勝で、足裏のマメに痛みにより治療を受けるマリン・チリッチ(クロアチア/右)と集中し続けるロジャー・フェデラー(スイス/左)。(撮影◎小山真司/テニスマガジン)

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