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ウィンブルドン

フェデラーとジョコビッチの対戦相手がそろって棄権、プレーを途中でやめることについての意見 [ウィンブルドン]

イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」1回戦をプレーしたロジャー・フェデラー(スイス/右)は、対戦相手のアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ/左)が第2セット途中でケガのため棄権しての勝ち上がりだった。

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の男子シングルス1回戦で、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の試合は、わずか40分しかもたなかった。また、同じセンターコートでその次に組まれていたロジャー・フェデラー(スイス)の試合も、43分が経ったところで打ち切られた。

 対戦相手たちが試合前から抱えていた故障のために途中棄権を決め、ともに2回戦進出を決めたテニス界のビッグスターふたりは、その後、観に来てくれたファンたちに償いをする方法について、冗談を言い合ったという。

「僕らはロッカールームでちょっとジョークを言い合ったんだ。観客をとどまらせて、センターコートで練習の1セットをプレーすべきじゃないのか、ってね」とジョコビッチは言った。

 短かった彼らの仕事日は、かなり類似していた。マルティン・クーリザン(スロバキア)がここ2ヵ月悩まされていたという左脚の問題で棄権したとき、ジョコビッチは6-3 2-0と快調に進んでいるところだった。また、フェデラーは、アレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)が、先月に捻挫した右足首の痛みのため、もはや続けられないと判断したとき、6-3 3-0でリードしていた。

 これらの試合は、相手の途中棄権であっても記録の中で勝利とみなされる。おかげでフェデラーはウィンブルドンで85番目の勝利を手にし、ジミー・コナーズ(アメリカ)とのタイ記録を破って、オープン化以降の時代での最多記録を刻むことができた。一方ジョコビッチは、全グランドスラム大会を通して234番目の勝利を記録し、コナーズを追い抜いて、フェデラーの315勝に次ぐ単独2位の座に抜け出した。

 しかし、場合によっては、何時間も列に並んだ末に、1枚のチケットに56ポンド(70ドル)も払ったセンターコートの観客たちにとって、その午後の成り行きは意地悪だった。彼らはウィンブルドンで7度優勝したフェデラー、3度優勝したジョコビッチのプレーを、ほんのわずかな時間しか見ることができなかったからだ。とはいえ、彼らは女子ナンバーワンのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と、元ナンバーワンのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)というトップ選手たちの試合はフルに観戦することができた。

「観客たちのことを考えると申し訳なく思うよ。彼らは、いいテニス、試合を観に来たんだ。少なくとも彼らは、僕らふたりが持てるもののすべてを出したところを見ている。また彼らは、ほかのふたりの選手が少なくともトライしていたところを目にした」とフェデラーは言った。「でも、起こったことは不運だった」。

 この火曜日に試合の途中で棄権した選手は、ほかにも2人いた。第19シードのフェリシアーノ・ロペス(スペイン)は左足の故障で、ヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)は右脚の故障でそれぞれ棄権した。これで今大会の1回戦における棄権者は合計7人になった。これはオープン化以降の時代で50大会目を迎えたウィンブルドンにおいて、男子の1回戦棄権者数としては、2008年とタイの最多記録となる。

 この事実が、『グランドスラム大会は、選手が大会前に棄権したとしても、変わらず賞金を受け取ることを選手に許すよう、ルールを変えるべきではないか』という論議を勃発させた。

 このシステムはATPツアーによって----彼らはグランドスラム大会の運営には関与していない----今年、実験的に採用されており、メインドローの故障した選手に代わり、予選決勝で敗れた選手が本戦出場権を得られるというものだ。この仕組みの裏にある論理は、次のようなものだ。

 故障を抱えたプレーヤーたちは、試合を終えることなく今日はもうこれで終わり、と言わざるを得ないかもしれないと事前に知りながら、とりあえず試合に出た者として、単に賞金を収集するためにコートに入ることはなくなる、というものである。

「今日、自分が肉離れを起こしていて、医師が『試合に出るべきではない。深刻なリスクをおかすことになる』と言ったとしても、プレーできるふりをしてコート上に2ゲームほどとどまり、それでも賞金を受け取ることもできるわけだ」とティプサレビッチは言った。彼はジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)に対し、わずか12分の間に0-5とリードされてから棄権することを決めていた。

 ウィンブルドンの1回戦敗者は、3万5000ポンド(約4万5000ドル)を稼ぐことになる。「トップ10でもない限り、これは選手にとってかなりの大金だよ」と、84位のドルゴポロフは言った。

 ティプサレビッチ、ドルゴポロフ、ジョコビッチ、フェデラーは、皆、グランドスラム大会がATPの試みに倣うのを見たいとしている。

「試合を終えられないとわかっているなら、選手はコートに行くべきではない。問いは、彼らが本当に試合を終えられると信じているか、否かということだ。もし信じていたならコートに行っていいと思う。さもなければ、その選手は出場を断念し、ほかの選手に場所を明け渡すべきだと僕は感じている」とフェデラーはコメントした。

「ATPはルールを調整した。でも、たぶんグランドスラム大会も...選手にとって、ことを少しより楽にするため、何ができるか見てみるべきなのかもしれない」と続けた。

 火曜日のセンターコートで、フェデラーとジョコビッチは楽な勝ち上がりを決めた。昨年の決勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れて準優勝だったケルバーは、イリーナ・ファルコーニ(アメリカ)を6-4 6-4で倒すためにより努力を強いられ、2度全米オープンの決勝を戦っているウォズニアッキは、ティメア・バボス(スイス)を退けるのに6-4 4-6 6-1とフルセットを必要とした。

 しかし皆が話題にしているのは、短かった男子の試合のほうなのだ。

「もし、ひどく苦しい痛みならプレーできないことは明らか。もし、そこここがちょっと痛い程度なら、あるいは自分にひどいダメージを与えることなく、そこそこちゃんとした試合ができるはずだと感じたなら、コートに出ていくべきだね。ファンたちに対する責任があるんだから、と僕は思うよ」と、第23シードのジョン・イズナー(アメリカ)は言った。

 イズナーは、同国対決となった14番コートの試合で、テイラー・フリッツ(アメリカ)を6-4 7-6(3) 6-3で下した。「今日、ウィンブルドンのセンターコートは観客に、払った金に値するものを与え返さなかった。それは間違いないよ」と、彼は言った。

 初めてウィンブルドンで生観戦するため、マンチェスターからわざわざ旅してきた54歳のコレット・シェラットさんは、間違いなくそんな苦い後味を覚えていた。

「これまで42年間、ずっとテレビでウィンブルドンを観てきて、ここに来るというのは私の願いの一つだった」とシェラットさんは言った。「センターコートで試合を観ることに、すごくワクワクしていたの。でも、それから、そこで起こったことのために、もう二度とここには来ないでしょうね、という気分になったわ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」1回戦をプレーしたロジャー・フェデラー(スイス/右)は、対戦相手のアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ/左)が第2セット途中でケガのため棄権しての勝ち上がりだった。(撮影◎Getty Images)
Photo: LONDON, ENGLAND - JULY 04: Roger Federer of Switzerland and Alexandr Dolgopolov of Ukraine walk off court after their Gentlemen's Singles first round match on day two of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at the All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 4, 2017 in London, England. (Photo by Michael Steele/Getty Images)

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