マイページ

グランドスラム

「私はずっと一生懸命にやってきた」と初優勝のケルバー [全豪オープン]

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月18~31日/グランドスラム/ハードコート)。

 フォアハンドがロングとなり、ベースラインを外れて第1セットを落としたとき、世界1位のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は両手を挙げるポーズをしていた。

 セレナがアンフォーストエラーを連発する試合をしたのは今大会では2度目。第7シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)に敗れ、シュテフィ・グラフ(ドイツ)と並ぶ22度目のグランドスラム優勝はならなかった。

 ケルバーは、グランドスラムの決勝は今回が初めてで、セレナとは過去に6度対戦して勝ったのは1度だけだった。だが、彼女はセレナを6-4 3-6 6-4で破り、グランドスラムの初優勝を果たした。

 セレナはこれまで、全豪オープンで決勝に進出したときはすべてタイトルにつなげていた。今大会もセレナが圧倒的に有利と思われていた。

 一方のケルバーは、1回戦で土居美咲(ミキハウス)にマッチポイントを握られながらも逆転勝利。このときの試合を彼女は「ドイツ行きの飛行機に片足が乗っていたわ」とジョークにしていた。

 「私がコートに立つたびに、みんなが私に勝利を期待する。どんな試合でも私が勝つと予想する。毎日毎日よ。それが私の人生」とセレナは試合後の記者会見で話している。「私はロボットになりたいと思うくらい。でもロボットじゃない。そうなりたいけれどね」。

 試合は、セレナがポイントを落とさずにキープする、印象的なサービスゲームでスタートした。しかし、レフティのケルバーは落ち着いて自分のサービスをキープし、さらにブレークして2-1とリードを奪った。そしてケルバーは、第7ゲームでセレナのアンフォーストエラーを誘い、再びブレークに成功した。

 ケルバーは28歳。彼女は21度のグランドスラム優勝を誇るセレナに対して鋭いアングルショットを放ち、ネットに出てきたセレナの横をパッシングショットで抜き、また、ネットミスを強いた。

 ケルバーはセレナから5度のサービスブレークを奪っている。そのうち2回は第1セットでのもので、3回が第3セットでのものだった。セレナは今大会はここまで失セットゼロで勝ち進んできていた。

 「私はずっと一生懸命にやってきた。そして今ここにいて、グランドスラムのチャンピオンになれたと言えている」とケルバー。これまでグランドスラムではベスト4が2度あったが、2012年のウィンブルドンを最後にベスト8から上のラウンドには進出したことはなかった。「本当にたいへんなことをしてしまったような気がするし、自分でも信じられない」。

 ケルバーは1994年にグラフが勝って以来のドイツ人女子の全豪オープン優勝で、次週のランキングでは2位に浮上する見込みだ。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ケルバーの優勝に対して素早く応え、「彼女がおそらくは世界最高と言われる選手を相手に、とても勇敢に、そして鋼のような精神力で戦って勝つシーンを見られたことは、とても素晴らしいことでした」と話している。

 ケルバーには、ほかにもお祝いのメッセージが殺到しているのだという。

 「私の携帯電話は爆発中だわ」とケルバー。「ドイツのテニス界にとってもいいことだと思う。シュテフィが勝って以来、ドイツの誰かがグランドスラムで勝ったということですから」。

 ケルバーがグランドスラムで初優勝するまでに要したのは33大会。昨年の全米オープンを49大会目のグランドスラムで制したフラビア・ペンネッタ(イタリア)が最長だが、ケルバーの33大会も史上では6番目に遅い記録だ。

 セレナは以前にも、18度目のグランドスラム優勝を目指していたときにナーバスになっていたのを認めている。18勝はクリス・エバートとマルチナ・ナブラチロワ(ともにアメリカ)に並ぶ記録で、オープン化以降では2番目となる勝利数だった。セレナは18勝目を挙げるまでに3大会でベスト8以下で敗れていた。しかし、18勝目を挙げて以降は4大会連続でグランドスラムを制した。

 現在のセレナは、昨年のウィンブルドンで挙げた21勝目で立ち往生している。

 昨年のセレナは全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドンを制していたが、全米オープンでは準決勝でロベルタ・ビンチ(イタリア)に敗れ、年間グランドスラムの達成を逃していた。今季はこの敗戦で再び年間グランドスラムを狙うことはできなくなった。

 この決勝では、彼女らしくないアンフォーストエラーの山を築いて負けたセレナだが、ケルバーを押していたのは確かだ。セレナがグランドスラムの決勝でフルセット負けを喫したのは今回が初めて。また、決勝でセレナを破ったのは、2001年全米オープンと2008年ウィンブルドンのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、2004年ウィンブルドンのマリア・シャラポワ(ロシア)、2011年のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)の3人だけだったが、ケルバーが4人目ということになった。

 第3セットを5-3とし、サービング・フォー・ザ・マッチを迎えたケルバーだったが、そこをキープできず、セレナが逆襲するかと思われた。セレナにとっては試合をイーブンに戻すチャンスでもあった。

 しかし、セレナはそのサービスゲームを落として敗れた。最後はフォアハンドのボレーが長くなっての幕切れだった。それは、この日46本目のセレナのアンフォーストエラーだった。

 ケルバーはラケットを落とし、背中から倒れ込んだあと、近づいてきたセレナと抱き合った。

 「最初にお祝いを言わせてください」とセレナはオンコート・スピーチでコメントしている。「この瞬間を楽しんでください。私もあなたの優勝をとてもうれしく思います」。

 のちに、ケルバーと同じくらい結果に満足しているように見えた、と言われたセレナは、「本当に。私は演技の世界に入るべきでしょうね」と話している。

 だが、セレナは、「彼女の優勝がとてもうれしく思えたのは本当のこと。彼女はずっと長い間、活躍してきていたから。彼女の態度からみんなが学べることはたくさんあると思う。彼女は常にポジティブで、決して諦めない」と付け加えている。「私は勝てなかったけれど、彼女が成し遂げたことをうれしく思うわ」。

 試合後のケルバーは目に涙を浮かべて自身の陣営の元に行って祝福し合い、センターコートに戻ると腕を上に挙げた。

 表彰式でのケルバーには笑顔が戻っていた。

 「あなたは本当に多くの若い選手たちにインスピレーションを与えた人物です」とケルバーはセレナの功績を讃えた。「あなたは歴史をつくった。あなたはチャンピオンです。本当に信じられないくらい偉大な人物であり、あなたが成し遂げてきたすべてにおめでとうと言いたいです」と続けた。

 31日の大会最終日は男子シングルスの決勝が行われる。これまで全豪オープンの決勝では5勝0敗のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、ロイ・エマーソン(オーストラリア)と並ぶ全豪オープンで過去最多の6勝目を目指してコートに立つ。相手は全豪オープンの決勝で0勝4敗のアンディ・マレー(イギリス)だ。

 マレーは女子シングルス決勝のあと、ロッド・レーバー・アリーナで深夜まで行われた兄のダブルス決勝に姿を見せた。ジェイミー・マレー(イギリス)とブルーノ・ソアレス(ブラジル)のペアはダニエル・ネスター(カナダ)とラデク・ステパネク(チェコ)のペアを2-6 6-4 7-5で倒し、優勝している。

 「アンディ、君はベッドにいなくちゃだめだろ」と兄のジェイミーは優勝スピーチで話していた。(C)AP

※トップ写真は表彰式でのアンジェリック・ケルバー(右)とセレナ・ウイリアムズ


テニスデイリーのおすすめ

PAGE TOP
menu

ランキング人気記事ランキング

※写真はデビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ「日本対ブラジル」(大阪・靭テニスセンター)の第1試合で杉田祐一と対戦したブラジルのギジェルメ・クレザ(左)とジョアン・スベスナ監督(右) Photo:OSAKA, JAPAN - SEPTEMBER 15: Team captain Joao Zwetsch (R) of Brazil talks to Guilherme Clezar of Brazil in his singles match against Yuichi Sugita of Jap

2017.09.17

スポーツマンらしくない行為としてクレザに罰金 [デ杯ワールドグループ・プレーオフ 日本対ブラジル]

2017.09.16

ダブルスは雨で順延、17日に3試合を予定 [デ杯ワールドグループ・プレーオフ 日本対ブラジル]

※写真は「ジャパンウイメンズオープン」(東京・有明テニスの森)で予選から決勝進出を果たした加藤未唯

2017.09.16

「フィジカル・バトルなら負けない」加藤未唯が激戦制し、初のツアー決勝へ [JAPAN WOMEN'S OPEN]

※写真は「ジャパンウイメンズオープン」(東京・有明テニスの森)のシングルスで予選からベスト4進出を決めた加藤未唯

2017.09.15

加藤未唯が自身初のツアー準決勝進出「最後まで気持ちがぶれずにできた」 [JAPAN WOMEN'S OPEN]

※写真はデビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ「日本対ブラジル」(大阪・靭テニスセンター)の第2試合でブラジルのチアゴ・モンテーロをフルセットで倒した添田豪 Photo: OSAKA, JAPAN - SEPTEMBER 15: Go Soeda of Japan celebrates after winning his singles match against Thiago Monteiro of Brazil during day one of the Davis Cup World Group

2017.09.15

添田豪が相手エースのモンテーロをフルセットで倒し、日本が初日2勝 [デ杯ワールドグループ・プレーオフ 日本対ブラジル]