ジュニア

連載第14回 本玉真唯【世界へはばたけ、日本のジュニア】


Fly to the World
~世界へはばたけ、日本トップジュニアの横顔~

【第14回】


 一昨年10月、当時まだグランドスラム・ジュニアに出場したこともなかった16歳が、同じ〈グレードA〉に属するワールド・スーパージュニアで優勝した。小学生の頃から国内のジュニアタイトルをいくつも手にしてきたが、世界に9大会しかないITFジュニア最高グレードのチャンピオンという肩書きは、経験したことのない感激とともにプレッシャーを生み出すものでもあった。そのせいだろうか、昨シーズンは決して順風満帆だったとはいえない。しかし、秋のスーパージュニアで再び決勝に進出。連覇はならなかったが、1年前よりも収穫は多かったと胸を張り、2017年へ弾みをつけた。




本玉真唯
ほんたま・まい

♥プロフィール

生年月日◎1999年8月30日生まれ(17歳)

所属◎S.ONEグリーンテニスクラブ

身長/体重◎163cm/57kg

利き手◎右利き(両手バックハンド)

世界ジュニアランキング◎最新/19位(2017年1月16日付)、最高/19位(2017年1月9日付)

主な成績◎2011年全国小学生優勝、2013年全日本ジュニアU14優勝、2014年全国中学生優勝、中牟田杯優勝、2015年全日本ジュニアU16優勝、世界スーパージュニア優勝、16年世界スーパージュニア準優勝、ブラジル・グレード1複優勝(/宮本愛弓)など


   ◇   ◇   ◇

 HONTAMA------こう表記されていると、すぐには日本人とわからない。本玉と書かれていては読み方がわからない。ホンギョク? モトタマ? しかし一度覚えると、忘れられない名前である。

 「レストランとかで順番待ちのときに名前を呼ばれると、みんなに見られますね。でももう慣れたし、そんなに損なこともないかな」

 本玉真唯。ホンタマ・マイ。あっけらかんと笑うこの17歳は、現在、日本の女子ジュニアのナンバー2だ。全小に始まり、常にその世代のトップを争い、毎年のように大きなタイトルを獲得してきたが、「才能があるとか思ったことはなくて、自分で言うのもなんですけど、けっこう真面目に、一つ一つ積み重ねて、やっとここまできた…そんな感じです」とはにかんだ。

 ライジング打法を武器とし、低く滑っていくそのショットは見た目よりもはるかに返しづらいと、対戦相手は声を揃える。ネットプレーを積極的に絡め、前へ前へというアグレッシブなプレーが本玉の身上だ。

 ほかの選手よりすぐれていると思うところは、「脚の筋肉」だと即答した。
「振り回される練習をさんざんしてきたので、脚力はあると思います。少なくとも、日本の同年代の中では一番走ってるかなって」

 その一方で、上半身には悩みを抱えている。
「肩まわりが固くて、人の何倍もケアしないと痛くなっちゃうんです。寝る前には1時間半くらいかけてゆっくりストレッチをしないといけない。やらないと心配で眠れないんですよ」

 だから、ストレッチポールは国内外にかかわらず、家を離れるときの必需品。試合の前夜はストレッチだけでなく、さらに忙しい。対戦相手の分析はもちろん、試合中に起こるかもしれないことを想定し、そのときの対策を具体的に考えておき、ノートにまとめるそうだ。

 何を聞いてもポンポンと興味深い答えが返ってくるのは、普段から周囲の大人の話をよく聞いているのだろう。両親の教育の賜かもしれないし、小学4年のときからコーチについている山岸依子コーチの影響も大きいようだ。本玉と同様に、小学生の頃からトップジュニアとして活躍してきた山岸コーチは、「テニスが強いだけじゃなく、日本の代表選手としてふさわしい人になろうね、という話はよくします」と以前話していた。勝つこと以外にも、そのときどきに必要な経験を大切にしてきたという。

 一昨年の世界スーパージュニアであれよあれよと頂点に立ち、世界のジュニア界で一目置かれる存在になった。それまでグレード4以下での優勝や準優勝は珍しくなかったが、スーパージュニアで獲得したポイントでランキングが一気に上がり、翌2016年はすべてのグランドスラムで本戦出場。しかし、一度も2回戦を突破することはできなかった。連覇を狙ったスーパージュニアは準優勝。しかしそのプロセスで得たものは前年よりも大きかったという。

 1年間の数々の悔しい経験と、その中で培ってきたものへの自信は、チャンピオンという肩書きよりも大きな武器になる。2年目の挑戦はもっと楽しくなるに違いない。





【オフコートQ&A】

------テニス以外に好きなことは?

友達と食べ歩きとか。あと、おしゃれにはけっこう興味があります。ファッション雑誌で勉強して、モデルさんと同じにならないのはわかってますけど(笑)、自分に合うスタイルを探しています。

------ゲンかつぎはするほう?

例えば優勝したときに聴いた曲は、大事な大会でまた聴いたりします。スーパージュニアで聴いていたのはMIWAでした。失恋ソングだったんですけど、気分が落ち着く感じで。ほかに好きなのは平井大さん。こっちはテンションが上がります。

------食事で気をつけていることはある?

果汁100%のオレンジジュースは疲れがとれるので、よく飲みます。豚肉も疲労回復にいいので食べるようにして、牛肉は消化がよくないので、なるべく食べない。ナショナルの中山(芳徳)コーチが知識豊富で、みんなで食事するときによく教えてくれます。

テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)



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