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クルム伊達が2回戦進出、土居の武器を封じる [JAPAN WOMEN'S OPEN]

「JAPAN WOMEN'S OPEN」(9月14~20日本戦、12~14日予選/賞金総額25万ドル/有明テニスの森公園コート)は14日、本戦初日を迎え、世界ランキング160位でワイルドカード(主催者推薦)での出場となったクルム伊達公子(エステティックTBC)が、同ランク83位の土居美咲(ミキハウス)に6-4 6-2と快勝し、2回戦に進出した。

 クルム伊達が昨年から抱える股関節のケガは、時間をかけて治療を行った甲斐もあり、大きく回復しているとはいえ、まったく不安がないわけではない。それでも、大会初日に見せたプレーは、心身の充実をうかがわせるものだった。

 土居は全米オープンで2回戦進出、世界ランク12位のベンチッチからマッチポイントを奪う善戦を見せた上り調子の24歳だ。

 「タフな試合になることはわかっていた。ただ、試合前にやるべきことが定まっていたというわけではなかったが、イメージは持っていた」というクルム伊達は、試合序盤から的確なプレーで左利きの土居の武器を封じ込める。

 本来、ライジングでとらえるクルム伊達のショットは早い展開を生み、これが彼女の真骨頂とも言えるスタイルだが、左利きの強力なフォアハンドを持つ土居に対しては、その早い展開は諸刃の剣にもなりかねない。

「早い展開で土居ちゃんの(左利きの)フォアに打つと、フォアのダウン・ザ・ラインに打たれ、そうなれば自分が走らされて苦しい展開になる。対戦相手が決まったとき、もっと早い展開になるというのを危惧しました」

 試合前に持っていた「イメージ」とは、それをやられないパターンとも言えるだろう。
 序盤はバックハンドにボールを集めてミスを誘い、徐々にボールを散らせると、土居を走らせ、気持ちよくフォアハンドを打たせなかった。

 もちろん、24歳の豊かな才能が光ったラリーも多かった。ショット1本の威力だけを見れば、土居に軍配が上がっただろう。それでも、44歳のベテランは、それを続けて打たせないクレバーさと、劣勢ではしのいでチャンスにつなげる忍耐力で、ゲームの主導権を渡さなかった。

 「体も思っていた以上に動いていたけれど、試合が進む中でいつ動かなくなるかわからないということも考えながらプレーしていた。そんな中で、今日はやるべきことがやりきれた」

 試合中盤からは、土居をコート奥から走らせるドロップショット、キレのあるスライスのアプローチ、ダブルスで磨いたボレーと多彩なショットを次々に決め、観客を魅了した。

 これを「経験」と一言で片づけてしまえば簡単だろう。だが、もっと深い覚悟のようなものが詰まった試合だった。

 ワイルドカードでの出場が決まったあとの記者会見で「相手や結果がどうかというよりも、今シーズン残されたチャンスの中で、ケガから少しずつよくなっている体でどれだけ自分のテニスができるか」と話していたクルム伊達だが、それ以上に、その自分のテニスを最大限に駆使しながら、いかに目の前の相手に勝ちきるかという姿を見せてくれた。

 16日にはダブルス1回戦を戦い、シングルス2回戦はその翌日の17日。これだけのパフォーマンスを見せれば、次戦も――という期待は高まるが、「体は、次の朝起きてみないとわからない」と慎重だ。しかし、そう語る表情は明るい。

 まだ終わりは決めていない。それでも、残り時間が限られていると自覚するからこそ、一試合一試合にかける思いは強くなるのだろう。

テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)

※写真は2回戦進出を決めたクルム伊達公子

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