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錦織は “我慢” の勝利、杉田と伊藤は接戦逃す [ウィンブルドン]

 日本の男子がグランドスラムで3人本戦入りするのは、昨年の全豪オープン以来だ。錦織圭(日清食品)に加え、予選を突破した伊藤竜馬(北日本物産)と杉田祐一(三菱電機)。年齢も近い3人はジュニア時代から仲もいい。
 先陣を切って初戦を突破したのが錦織で、203cmのビッグサーバー、ケニー・デ シェパー(フランス)にストレート勝ち。エースに続けとばかりに奮闘した2人だが、杉田は第19シードフェリシアーノ・ロペス(スペイン)に、伊藤はラッキールーザーシモーネ・ボレッリ(イタリア)にいずれも惜敗した。



「ほんとにつまんない試合だなと思いながらやってましたけど…」
 試合後に言ったその言葉がとにかく印象的だった。

 常にブレークを狙いながら、そのスリルを楽しみながらゲームを運んでいく錦織にとって、ブレークのチャンスがまったくない試合というのは「つまらない」のだ。

 203cmで左利きというデ シェパーの最大の武器はもちろんサーブ。まだ調子が上がりきらない第3ゲームでブレークできたことは幸いで、その後、第2セットのタイブレークに入るまで9度あったデ シェパーのサービスゲームで、ダブルフォールト以外で取ったポイントは1ポイントしかなかった。サービスブレークの兆しが見えない中、「落ち着いて自分のサービスをキープすることと、気持ちが落ちないようにということを心がけていた」という。

 実際、相手にブレークポイントは一度も与えず、第1セットはワンブレークを生かして6-4。最大のピンチは第2セットのタイブレークで訪れた。先に連続でミニブレークを許して0-3とされたからだ。「セットを落とす覚悟もした」と振り返ったが、デ シェパーのダブルフォルトをきっかけに5ポイントを連取。少ないチャンスの中、少しでも甘いショットは逃さない錦織の集中力とテクニックは見事だった。

 第3セットは最後の最後にこの試合2度目のブレークに成功し、7-5で締めくくった。

 かつては、「つまらない」試合で集中力を切らしてしまうこともあったが、そういう試合を辛抱してこそ、その先に楽しい試合が待っている。過去との違いを証明した一戦だった。

 勝利会見も喜びの表現は控えめだったが、そんな錦織が一番うれしそうに話したのは、杉田の予選突破について外国人記者に聞かれたときだった。グランドスラム初出場までの予選挑戦回数が18回というのは、史上3番目の多さということで、ちょっとした話題になっているのだ。
「18回も予選を戦うということがどれだけたいへんかはわかる。彼がついに本戦入りできて、すごくうれしい」

 錦織と同じコートで、予想を超えた杉田の接戦が進行していた------。



 この2週連続でツアーの決勝に進出したロペスに杉田は食らいつき、3セットともタイブレークに持ち込んだ。だが一つもものにすることはできなかった。

 試合中、腰や脚を気にするロペスの体調不良は明らかだっただけに、なんとかセットが欲しかった。第1セットのタイブレークは6-3で3つもセットポイントを握っていたが、ロペスは要所で手堅かった。持ち前のサーブ力を生かし、ラリーではしぶといスライスを散らして杉田の攻撃を封じた。

 「このレベルの選手が相手だと、一つのミスが命取りになる」ことを思い知ったが、臆せず気負わず自分らしいアグレッシブなプレーができたことは収穫になった。

 18回目の挑戦でようやく夢の舞台。だがこの〝記録〟はまだ誇れないという。「ここから18回本戦に出ることができたら、誇れるのかな」。遅咲きの25歳の本当の勝負はここからだ。



 杉田とは同学年で昔からのライバル……伊藤にとって昨年の全豪オープン以来のグランドスラム本戦。予選の最終ラウンドで敗れながらラッキールーザーで滑り込んだボレッリが相手だったが、セット1-3で敗れた。好サーバー同士、勝負どころがセットの終盤に訪れるのは想定内。だが、奪われたセットはすべてその終盤勝負に敗れた結果だから、なんとも歯痒い。

 ところが試合後の伊藤は意外とさばさばした表情で、「終盤のチャンスをつかみきれなかったのは悔しいですけど、相手もよかったし、第4セットを取れていたら自分が勝っていたんじゃないかと思う」ととにかく前向きだ。多少の突っ込みどころはあっても、伊藤らしいキャラでもう一度グランドスラムの常連目指して奮起してほしい。
 久々のグランドスラムの雰囲気は、新たな闘志に火をつけたことだろう。


【男子シングルス1回戦】 ※[ ]数字はシード順位

錦織圭(日清食品)[10] 6-4 7-6(5) 7-5 ●ケニー・デ シェパー(フランス)

フェリシアーノ・ロペス(スペイン)[19] 7-6(6) 7-6(6) 7-6(7) ●杉田祐一(三菱電機)

シモーネ・ボレッリ(イタリア)5-7 6-7(3) 6-3 6-7(5) ●伊藤竜馬(北日本物産)

Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)


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