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全米オープン

疲れと緊張……錦織らしさ出せず、チリッチに完敗 [全米オープン]

 日本人初、アジア男子初のグランドスラム・ファイナリストとなった錦織圭(日清食品)の夢はしばしお預けだ。世界ランク16位のマリン・チリッチ(クロアチア)に3-6 3-6 3-6のストレート負け。試合時間1時間54分の完敗だった。

 最後まで錦織圭らしさは戻ってこなかった。
 きっかけは何度かあった。だがそのたびに、198cmの高さから豪快なサーブがうなりを上げた。スピード自体はミロシュ・ラオニッチ(カナダ)ほどではないが、センターに、ワイドにと、ライン際に突き刺さる。奪われたエースは17本。ツアー屈指のリターナーの錦織だが、この厄介なサーブを攻略することができなかった。

 だが敗因はチリッチのサーブだけではないだろう。ラリー戦になれば勝機ありと見られていたにもかかわらず、錦織はラリー戦に勝てなかった。

 「あんなに硬くなった経験はこれまでにないくらいだった」
 グランドスラムの決勝に初めて進み出た選手の多くが口にすることを、錦織もやはり口にした。準決勝とも違う、他のツアー大会とも違う、高揚感と緊張感。相手がロジャー・フェデラー(スイス)のほうがよかったのではないかということは、おそらくテニスを知る人なら皆考えたことだろう。錦織自身もそれを認めた通り、相手が格下で、勝ち越してもいるチリッチだったことで、勝利が現実味を帯び、同時にプレッシャーも高まったのだ。日本のフィーバーぶりも嫌でも耳に入る。平常心を保つのは難しかった。

 好サーバーのチリッチが相手なら、錦織自身のサービスキープは前提。それを考えれば、第1セットのファーストサーブの入りが48%では不十分だった。チリッチはそれを下回る44%だったが、チリッチにはファーストサーブを非常に高い確率でポイントにつなげる力がある。今日も第1セットでは91%だった。

 錦織は第6ゲームで早くもブレークを許してしまう。奪われた4ポイントのうち3つはアンフォーストエラーだった。このブレークでチリッチはリラックスし、ストロークものびのびとパワフルに、持ち味を発揮していった。

 第2セット以降、錦織にもチャンスはあった。第2セットでは5つ、第3セットでは3つのブレークポイントがあったが、ブレークできたのは第2セット第8ゲームの一度だけ。ただしこのセットはすでに2ブレークを許しており、結局最後のゲームもブレークされて終わった。

 今日は気温も高くなく、「長い試合が好きかも」とまで言い始めた錦織には、2セットダウンからでもまだ挽回できるスタミナがあったはずだが、ラオニッチ戦以降、スタン・バブリンカ(スイス)戦、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)戦とタフマッチを戦ってきた疲れは、確かにあった。そのせいで動きが鈍い状態では、そこから試合を覆す自信が湧いてこなかったのだろう。
 
 こうして敗れたとはいえ、出場を悩んだほどの大会で見せた、奇跡の進撃だった。ただ、「恩人」と呼ぶ日本テニス協会元会長の盛田正明氏が今大会不在だったことは残念らしく、「次、優勝するのを見てもらうために、今日は負けました……」とはにかんで俯き、会見場をドッと湧かせた。
 そう、それでいい。テニスにはすぐに 〈次〉 がある。
 
Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)


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錦織 圭 vs マリン・チリッチ 男子シングルス決勝 全米オープンテニス2014

錦織圭決勝戦後インタビュー 全米オープンテニス2014





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