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全米オープン

魅せた錦織、真夜中の死闘でラオニッチ倒す。クルム伊達は複で8強 [全米オープン]

 また、日本テニスにとってうれしい日が訪れた。錦織圭(日清食品)がミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を破って準々決勝に進出。4-6 7-6(4) 6-7(6) 7-5 6-4の、真夜中の激戦だった。グランドスラムのベスト8は2012年の全豪オープン以来。自身にとっての 〈ボーダーライン〉 と定めていた場所にやっとたどり着いた。また、クルム伊達公子(エステティックTBC)がダブルスで第2シードペン・シューアイシェイ・スーウェイ(中国/台湾)を7-6(4) 6-4で破り、復帰後初のグランドスラム・ベスト8入りを決めた。
 しかしジュニアの部では、高橋悠介中川直樹が1回戦で敗退。前日の3人とあわせ、日本勢は5人本戦に出場して誰も2回戦に駒を進めることができなかった。

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 午前2時26分。2万4000人を収容するアーサー・アッシュ・スタジアムに残った観客の数は、目測で2000人ほどだったが、4時間19分の死闘を見届けた人々は、満員に匹敵するほどの熱量で23歳と24歳のライバル対決を盛り上げた。

 スタートは錦織の動きが硬かった。サーブの入りが悪いせいでリズムに乗れないのか、ラリー戦に持ち込んでも先にミスが出てしまう。単調な試合展開と時計の針を見比べて、徐々に観客が席を立ったのは無理もない。

 だが第2セット中盤からは錦織らしいプレーが戻り、タイブレークを奪った。ラオニッチは今大会ここまで6つのタイブレークをすべて制し、タイブレークには絶対的な自信を持っている。それを落としてややトーンダウンしたかに見えたが、第3セットでふたたびのタイブレークは錦織の4-2からラオニッチが奪い返した。大事なところで痛恨のダブルフォールトをおかした錦織は、「あのときはかなり嫌な流れでした。もう一度集中するのが難しかった」と振り返る。

 何度ブレークポイントを握っても、時速220kmを越えるサーブが叩き込まれて手も足も出ない。しかし集中力は切れなかった。真夜中のテニスコートで湧いた特別なアドレナリンのせいだろうか。いつか必ず訪れるはずのチャンスを信じ続ける力がなければ、ラオニッチのようなビッグサーバーに勝つことはできないだろう。
 第4、第5セットと少ないチャンスをブレークにつなげた。ストロークが冴え渡り、相手のサーブもある程度読めてきたという。自身のサーブでは第3セット以降一度もブレークポイントさえ握らせていない。

 178cmの小さな体で196cmのサーブに食らいつき、鮮やかなパッシングショットや絶妙のドロップショットなど多彩なプレーを見せてくれる錦織のテニスを観客も好み、後押しした。
 「夜中の2時なのに多くの人が残ってくれてとてもうれしかった。でもみんな、これからどうやって家に帰るのかな」と英語の会見でジョークまじりに話した錦織。ちなみに、2時26分の終了時刻は大会史上もっとも遅い記録に並ぶもので、4時間19分の試合時間は今大会最長試合だった。

 1歳違いのライバル、ラオニッチにウィンブルドンの借りを返したあとは、初のグランドスラム・ベスト4をかけ全豪オープン・チャンピオンのスタン・バブリンカ(スイス)に挑む。過去2敗しているが、今の錦織を前にして、2年前の対戦成績を論じることなど意味がない。

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 クルム伊達のパートナー、ストリコバは2日前の夜にシングルス3回戦で、第7シードのユージェニー・ブシャール(カナダ)からの勝利を逃していた。1回戦で敗れた伊達とともにダブルスに専念できる状態。気合が入っていた。
 
「シングルスに残っていると、気持ちがそっちにいってしまう。だから、ペン・シューアイが勝ってくれないかなと思って昨日の試合を見ていました(笑)」と伊達。2回戦で第4シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)を破ったペンは勝ち進み、伊達の願った通り前日の4回戦でも第14シードのルーシー・サファロバ(チェコ)を下す快進撃だった。加えて、全仏やウィンブルドンをはじめとして数々のダブルス・タイトルを手にしてきたペン/シェイ・スーウェイ(台湾)は、今大会を最後にコンビ解消するという。

 それでもさすがは実績あるペアだったが、競り合いの中で執念を見せたのは伊達/ストリコバ組だった。第1セット2-5からタイブレークに持ち込まれたものの、タイブレークの3-4から伊達がボレーで3ポイントを連取。セットポイントを握ると、最後は伊達がバックハンドでストレートのリターンエースを決めた。
 第2セットは第6ゲームで先にブレークを許したが、2-4から4ゲームを連取。伊達とストリコバ、ともに攻める気持ちが功を奏した。



 “第一期” 現役時代の伊達はほとんどダブルスに出場しておらず、グランドスラムも92年全豪オープンのベスト8が最高。今回はそれに並ぶ成績で、復帰後は初となる。

 準決勝まで進めばウイリアムズ姉妹が待っている可能性が高い。準々決勝でジェン・ジーアンドレア・フラバチコバ(中国/チェコ)を何が何でも破りたい。

Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)

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錦織 圭 vs ミロシュ・ラオニッチ 男子シングルス4回戦(インタビュー付) 全米オープンテニス2014

錦織圭 4回戦終了後記者会見 全米オープンテニス2014


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