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ナダルにいったい何が起きたのか? [バルセロナ・オープン・バンコサバデル]

「悲惨なプレーだった。モンテカルロ(ATP1000)で得たポジティブな手応えのあとだけにすごく大きなショックだが、現実を受け入れなければならない。受け入れるか、死ぬかだ」

 バルセロナ・オープン・バンコサバデル(ATP500)の3回戦、自滅と言って過言ではないテニスで敗れたあと、第2シードラファエル・ナダル(スペイン)はこう言った。
 
 2月のリオ(ATP500)でもナダルを破ったファビオ・フォニーニ(イタリア)は、今年2度目の勝利はナダルの衰えゆえではなく、自分がよく戦ったせいだと言い張った。しかし逆を思った者は少なくなかったはずだ。確かにフォニーニは、鋭いフォアハンドストロークでナダルを苦しめていたが、ナダルがおかす彼らしからぬミスの数々は、実際、驚きを誘った。
 
 ナダルはベストのときのように、一貫して厳しいコースを突くことも、深いボールでフォニーニの攻撃を封じることもできなかった。ボールが浅い上に相手を走らせることができないので、ラリーの主導権を握られ好きなように打ち込まれる。
 
 「モンテカルロでできていたように、角度のあるバックハンドでオープンスペースをつくることができなかったし、フォアハンドには通常の正確さがなく、彼を後方に押し返すことができなかった。フォアで高さを出すことはできたが、深さとパワーがなければ高さなんてなんの役にも立たない。適切なタイミングでボールを叩くことができず、そうなったとき僕のプレーは劣化する。ボールを叩かなければならないが、正確さとコントロールを失わずに打ち込めるようでなければならないのに」

 試合後のナダルは、自分の落ち度を知っている最たる人物だった。
 
 第1セットを自らの決め球のミスがきっかけで落としたあと、第2セットの第1ゲームですぐにフォニーニのサービスを破ったナダル。これで立ち直るだろう、と皆が期待したが、しかし、これまで何度となくやってきた『復活』は起こらなかったのである。
 
 ブレーク合戦で2-1とリードしたあと、互いにサービスをキープし合っての4-3からのナダルのサービスゲームは、自らの浅いボールによりフォニーニに先手を取ることを許してしまう。強気に出たフォニーニのフォアの逆クロスが冴えていたのは確かだが、ナダルはなんでもないフォアをネットに引っかけ、4-4と追いつかれた。

 続くフォニーニのサービスゲームで、ナダルは0-40とし、3つのブレークポイントをつかむが、平凡なセカンドサービスのリターンを2本連続でネットにかけ、スコアは30-40に。次のポイントでフォアの逆クロスのエースを叩き込み、ブレークしたときにはランニング・ガッツポーズも出た。しかしそれは、期待された復活の狼煙ではなかったのである。
 
 キープすればよしという、5-4から迎えたサービスゲームでは、最初のフォアの逆クロスでサイドを割り、続いてフォアの決め球をネット中段にぶち当てた。信じられないミスのオンパレードだ。1ポイントのみ相手のミスで取ったが、失ったポイントはすべて自らのミス。こうしてふたたびブレークを許し、5-5と追いつかれたナダルは、明らかに敵よりも自分の不調に苦しめられていた。
 
 それから互いにサービスキープして、勝負はタイブレークに持ち込まれる。ナダルはまず、走らされてフォアをアウトし、次のポイントではネットに出たものの、ややためらってバックハンドボレーをネットにかけた。次は、振られた末に浮き球を与え、フォニーニがフォアの逆クロスでエース。相手のミスで2ポイントを返したあとで、ナダルのフォアのストレートが決まって3-4となるが、浮き沈みの激しいナダルのプレーレベルは一向に安定しなかった。
 
 自らのミスで2ポイントを献上し、3-6となったあと、意地の攻撃を見せて6-6と追いついたナダル。しかし、そこから自らの2本のミスで試合を閉じることになる。ナダルがアンフォーストエラーを次々おかすため、終盤のフォニーニは特に自ら攻めず、ただボールを返して様子を見ているように見えた。
 
 「ひどいプレーをした、それだけだ。アグレッシブにプレーすることができず、いつもより多くのミスをおかしてしまった。せっかく奪ったリードをキープすることができず、正直、悲惨なプレーだったが、今の現状を受け入れなければならない」

 試合後、敗因を聞かれたナダルは、こう答えた。
 
 ボールが浅くなったり、思いきって打ってミスしたりと、フォアの調子が乱れていたのは誰の目から見ても明らかだったが、それについては「フォアをしっかり打ち抜くことができず、ボールに力を込めることができなかった。フォアもバックもひどかったが、僕の強さはフォアに起因し、フォアがだめなときはプレーもだめになる。今日の僕のフォアは、僕の現ランキングにまったく値しなかった」と容赦なく自分を評した。
 
 その原因は心理的なものか、と聞かれると、「もちろん、プレーがまずいときには、心も落ち着きを失うが、問題は精神的不安じゃない、技術的なものだ」と答えている。
 
 「守るときにはよりよくコートをカバーできるように、そしてよりよく攻撃できるように、ハードワークを積まなければならない。先週は、非常にいい感触を覚えていたが、今週はその反対だ。また出直し、モンテカルロのレベルに戻れるようにしなければ。(ノバク・)ジョコビッチに敗れたとはいえ、モンテカルロでは本当に自信を感じ始めていたんだ」とナダルは言い張った。
 
 「ここで、それをより確かなものにしたかったができなかった。マドリッド(ATP1000)に向け、モンテカルロでのよい感触を取り戻さなければならない。早くこのアップダウンに終わりがきて、よいレベルに戻れるよう祈る。いま約束できるのは、そのために全力で努力するということだけだ。未来のことはわからないが、きっとベストのレベルに戻れると信じている」

ラファエル・ナダル(スペイン)4-6 6-7(6) ○ファビオ・フォニーニ(イタリア)

Tennis Magazine/ライター◎木村かや子)

Photo: BARCELONA, SPAIN - APRIL 23: Rafael Nadal of Spain attends a press conference after losing against Fabio Fognini of Italy during day four of the Barcelona Open Banc Sabadell at the Real Club de Tenis Barcelona on April 23, 2015 in Barcelona, Spain. (Photo by Manuel Queimadelos Alonso/Getty Images)

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