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2019年を熱くしたライバル関係【5】フェデラーが最後に得たもの~フェデラーVSジョコビッチ~

写真は「ATPファイナルカ0」でのナダル(左)とチチパス(右)写真は「ウィンブルドン」でのジョコビッチ(左)とフェデラー(右)

ATPの2019年を振り返ると、いくつかの激しいライバル関係が存在した。今回はその一つ、ロジャー・フェデラー(スイス)VSノバク・ジョコビッチ(セルビア)のライバル関係を見てみよう。

これまでに20回も30回も同じ相手と対戦している場合、たとえフェデラーやジョコビッチのように偉大な選手であっても、すべての試合を詳細まで憶えていることは難しいだろう。例えば、マッチポイントでどちらがどんなことをしたとか、それぞれの試合の中で流れが大きく変化した正確なタイミングなどだ。


2019年のフェデラーとジョコビッチの対戦はわずか2回(通算では、ジョコビッチの26勝23敗)。しかし、間違いなくそのどちらも両者の記憶に長く刻み込まれるだろう。それほど素晴らしい2試合だった。


「ウィンブルドン」決勝 7-6(5)、1-6、7-6(4)、4-6、13-12(3)でジョコビッチ勝利


二人が「ウィンブルドン」決勝で顔を合わせた過去2回(2014年、2015年)でいずれも勝利していたジョコビッチは、さらに2015年の最終戦「ATPファイナルズ」を最後に、4年間フェデラーに負けたことがなかった。だが、「ウィンブルドン」で歴代最多となる8回の優勝を誇るフェデラーであれば、その状況を覆す可能性は十分にあると思われた。


根拠の一つは、フェデラーが準決勝でラファエル・ナダル(スペイン)を破っていたことだ。テニスの歴史上、最も素晴らしい試合と称されることもある2008年大会の決勝で死闘を繰り広げた相手を、この地での11年ぶりの対戦で下したのだ。さらにフェデラーはジョコビッチとの前回対戦となった2018年の「ATP1000 パリ」準決勝では、最終的に敗れたもののフルセットに持ち込んでおり、その試合はATPのサイトで「2018年シーズンのベスト試合」に選ばれていた。


しかし、前年の「ウィンブルドン」でケビン・アンダーソン(南アフリカ)を破って4度目の優勝を果たし、フェデラーに3連勝中だったジョコビッチは自信を持っていた。


12回目の「ウィンブルドン」決勝に臨んだフェデラーが第4セットを手にして、試合はフルセットへ。最終セットではジョコビッチが盛り返し、フェデラーのサービスゲームをブレークして4-2とリードを奪った。だが、この試合そこまでのジョコビッチは、何度も浮き沈みを味わっていた。


そもそも第1セットをタイブレークの末に取ったジョコビッチだが、第2セットはあっさりとフェデラーに奪われてしまう。迎えた第3セットは流れを取り戻し、再びタイブレークの末にセットを手にした。しかし大きく崩れることのないフェデラーは第4セット、センターコートを埋め尽くした観客と、テレビで観戦している何百万人ものファンが望むもの、第5セットが見たいという思いに応えた。


そして第5セット、4-2とリードするジョコビッチのサービスだった第7ゲームから、このシーズン最高のドラマが始まった。そのゲームをフェデラーがブレークバックしてファンたちが雄叫びを上げる。その後、両者がキープし合って迎えた第15ゲームをフェデラーがブレークしてリードを奪い、サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを迎える。


当時37歳と340日だったフェデラーは、オープン化以降、最年長でグランドスラム優勝を遂げた選手になろうとしていた。これに勝てば、「ウィンブルドン」9度目の優勝を飾るだけでなく、2018年1月の「全豪オープン」以来、久々に手にするメジャータイトルとなるはずだった。


8-7で迎えた第16ゲーム、フェデラーの40-15でファンは沸き返っていた。あと1ポイントで新たな栄冠を祝うことができるのだ。しかし、フェデラーはジョコビッチの深いリターンを返せずに40-30、さらにジョコビッチのフォアハンドパッシングショットが決まってデュース。結局、このゲームをブレークバックされてしまった。


それまでの71年間、「ウィンブルドン」男子シングルス決勝で、相手のマッチポイントを凌いで優勝した選手はいなかったし、第5セットのタイブレークで優勝が決まったこともなかった。だがこの2019年大会から、最終セットが12-12になった場合は、従来の2ゲーム差をつけるまで続けるのではなく、タイブレークを採用することが決まっていた。これは、2018年大会の準決勝、アンダーソン対ジョン・イズナー(アメリカ)が26-24という長丁場になったことがきっかけだった。


だがジョコビッチは2つのマッチポイントを防ぎ、「ウィンブルドン」決勝初の最終セットでのタイブレークを取って、5度目の優勝を飾った。


実はフェデラーの方が14ポイント多く得ており、ウィナーの数も40本も多かった(94本対54本)。しかし、勝負どころをモノにしたジョコビッチが48回目の対戦に勝利し、「ウィンブルドン」決勝でフェデラー相手に3連勝を達成した。


「Nitto ATPファイナルズ」グループステージ 6-4、6-3でフェデラー勝利


勝てば次へ行ける――ジョコビッチとフェデラーの2019年シーズン2度目の対戦は、勝った方がシーズン最終戦の準決勝へ進める一方で、負けた方は帰国の途につくことになるというものだった。どちらもグループステージですでにドミニク・ティーム(オーストリア)に敗れており、生き残りをかけて木曜の夜に対戦することになった。


ジョコビッチは6度目の年末ランキング1位を目指し、準決勝進出を狙っていた。一方のフェデラーは、通算28度目のマスターズ1000大会優勝を果たした3月のマイアミ以来となる、シーズン2つ目のビッグタイトルを求めていた。


さらにフェデラーにとっては、ジョコビッチ相手に盛り返したいという思いもあっただろう。前述の試合を含む過去11回の対戦で9度敗れていたフェデラーだが、「ウィンブルドン」での精神的にきつかった敗戦がこの49回目の対戦に影響するのではないかという周囲の憶測を吹き飛ばした。


フェデラーは語った。「彼とはもう試合をしたくないと思ったりはしていないよ。実際のところ、彼とまた対戦して、やり返す機会が得られたのはいいことだと思う。ノバクと試合することになって興奮しているよ」


そんなフェデラーの高揚感は試合に現れていた。フェデラーはシーズン最高とも言えるプレーを披露し、攻撃的なプランでジョコビッチを完璧に抑え込む。第1セットの1-1で迎えた第3ゲーム、ジョコビッチが2度のダブルフォールトなどで0-40としてしまうと、フェデラーはそのブレークチャンスをバックハンドでモノにした。同セットでのフェデラーはサービスゲームで87%のポイント獲得率を誇り、アンフォーストエラーはわずか1つだった。


第2セットの第4ゲームでようやくジョコビッチはブレークチャンスを掴んだものの、フェデラーがそれを凌いだ上、続く相手のサービスをブレーク。観客は「レッツ・ゴー、ロジャー、レッツ・ゴー!」と声をあわせて声援を送った。


結局フェデラーがさらにもう一度ブレークして試合終了。最終的に彼は23本のウィナーを決め、アンフォーストエラーは5つだけだった。


試合後、フェデラーはこのように語っている。「この試合ではいろんなことがうまくいった。サーブも良かったし、読みも当たり、ゲームプランも明確で、すべてがぴったりとはまったんだ。ノバク相手に、今後もこういうプレーができるといいね。でも、もしこんなにうまくいくのは今夜が最後だったとしても、その価値はあったよ。我ながら素晴らしいプレーができたと思う」


フェデラーは続く準決勝でステファノス・チチパス(ギリシャ)に敗れてしまい、シーズン最終戦のタイトルを手にすることはできなかった。だが、ジョコビッチ相手に盛り返し、2020年に向けて期待させる兆候を示すことはできたのだ。


※写真は「ウィンブルドン」でのジョコビッチ(左)とフェデラー(右)
(photo by Shaun Brooks/Action Plus via Getty Images)







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